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「親に本音を話せる子になってほしい」を考えたら、ただのマネージメントの話だった

10歳、8歳、4歳の子を持つお母さんもやっています、会社経営者の翠川です。先日、ふと夫と子どもたちについて話をしていたら、衝撃的な一言

「どうせ子どもが親に本音を話すことなんてないんだから」

その言葉に私は大きな衝撃を受けました。かくいう私は、自分の親には本音をぶつけてきたんですよね、本音を言わないと問題解決が遠のくと思っていたから。

性別、時代、親との関係性、ひいては個体差。色々あるかとは思うのですが、なんせ私はいつまでも子どもに本音で話してもらいたい

もちろん、すべての機会で本音を望んでいるわけではありません。時と場合によって、嘘をつくことだってあるでしょう。私にも経験があります。ですが、基本的には、また特に重要なところは本音で話さなければ、問題解決には繋がらないでしょう。

では、本音で話してもらうためには、どうすれば良いのでしょう。考えてみました。


問題解決する気があるかどうか

まずは子どもたちに、親は問題を解決するのに使える存在であることを伝えること。そして、その成功体験を積んでいくことが大切な気がします。

私自身は、自分ではどうにもならないと思ったとき、意を決して相談する先は両親でした。両親に本音で相談すれば、本音で全力で考えてくれました。小娘ひとりで出来ることと、大人が家族単位で出来ること、スケールが違うことに気がついてパスしようと思ったのです。

今思えば、私が本音を親に言える関係でいられたのは、「そんなこと自分でどうにかしなさい」といわれたことが一度もなかったのが、本音で相談できた最も大切な要因だったのかもしれません。

能力的に、経済的にも、全てをベストな問題解決ができないこともあるかもしれません。それでも、よりベターな方法で問題解決する気はある!と親としての姿勢を子どもたちに伝えることが大切だと思います。それが、子どもたちが親に対して本音を言う第一歩になるのではないでしょうか。

絶対的な味方であるか

「絶対的な味方である」と認識してもらうことも重要です。よく、「子どもを褒める」ことばかりがフォーカスされやすいですが、どちらかというとそれよりは、子どもからのアプローチに対して「否定しないこと」「いつも反応すること」が重要に思います。

一方で「子どもの癖に」「余計なこと考えなくて良い」「馬鹿らしい」などの否定を何回かされれば、もう本音は言わなくなります。

また、何か発言したとき、重要なことも何気ないことも、「いつも受け入れ態勢が整っています」と反応することが、「いつでも聞いてくれる人」になり、その回数が重なることで「この人は味方だろうな」になると思います。「いつも味方だからね」とたまにいえば伝わる、ということじゃやっぱりないんですよね。日々の積み重なりです。

少し話は脱線しますが、私自身、自己肯定感がとても強く、娘と息子たちに自己肯定感を植え付ける実験をしていて、実践していることがあります。それは、「ママ〜」と呼ばれたときの返事を「はあい」「なあに」に設定して習慣化したということです。

彼らはそれぞれが1日100回くらい「ママ〜」と呼んで来ますが、その返答は機嫌が良くても、イライラしていても、いつでも「はあい」です。これをルールにするだけで、良い返事をしたり、反応できなかったり、ちょっと不機嫌に「何?」といってしまったり揺れることを防げます。つまり、1日100回、「自分は受け止めてもらえている」という成功体験をさせてあげれるのです。

絶対的味方であるかどうかの線を太くするのは、このような積み重ねのような気がするのです。親の愛情表現の一部であり、その愛情が子どもたちにとっての安心感を生み出すのだと思います。

秘密保持する気があるか

最後の一点、「情報を漏らさないかどうか」についても大事な観点だと思います。親が子どもの話を他人に軽々しく話すと、子どもは親を信用できなくなるかもしれません。

母親あるあるだと思うのですが、子育ての悩みとして親戚や友達に「あの子ったらこんなこといってきて…嫌になっちゃうわよね〜」と会話のネタ&ちょっとしたガス抜きで話しているのが、巡り巡って「そんなこといってるんだって?!」と本人の耳に入ったりする。そういうことがあったら本音なんか言いたくなくなりますよね。

そう考えると、ネタにするのは、うちの子素晴らしいんだよね!という視点での情報リークにしておいて、本音の相談事などは他言無用。逆に、絶対秘密にしておいてほしかったことを、完全に秘密保持してもらえると信頼は積もるようにも思います。

上記のような心得を持ちそのような環境を整えることで、子どもたちは自然と本音を話すようになるのではと実践中です。子どもたちの心の成長にも繋がると信じてこれからも精進していきたい…とここまで、「子どもが本音を話せる親はどんな親か」を書いてきましたが、これって、「部下が本音で相談できる上司はどんな上司か」と同じ構造なんですよね。

本音で話せる上司の条件と同じだった

ここまでのポイントを、ビジネスシーンに置き換えてみると、こういうことになるでしょうか。「相談したいと思う上司の条件」です。

1.問題を解決しようとする姿勢を見せている。
完全解決とは行かずとも、よりベターな解決策を見つける気があるというスタンスを持っていることが、普段のコミュニケーションから伝わってくる。

2.窮地において、絶対的な味方でいてくれる。
日頃から、部下の存在を否定するような発言はしない。意見を受け入れる体制があることを、事あるごとに言葉にしている。

3.秘密を保持してくれる。
良かった点をどんどんシェアすることはあれど、口外しないよう前置きをされた相談事については他言無用。信頼関係の構築につながる。

ここで、日経電子版で見かけた衝撃的なこの記事を貼っておく。

仕事への熱意や職場への愛着を示す社員の割合が日本は2022年で5%にとどまった。サンプル数が少なくデータがない国を除けば、調査した145カ国の中でイタリアと並び最も低かった。4年連続の横ばいで、世界最低水準が続いている。
(中略)
「普段からよく社員と対話すること、そしていい仕事をしたらきちんと認識し、それを褒めることだ。社員一人ひとりの強みを生かし、引き出していくという意識が大事だろう。何をしてほしいか、何を期待しているか分からないような指示ではダメで、コミュニケーションの質の向上も求められる」

5%ということは、「20人に1人のやる気がない」「世界最低水準」な日本です。本音で話せる上司が増えれば、もう少しランクが上がるとやはり思ってしまうし、本音で親と話してきた人は、本音で話せる相手を見つけることも上手なのではないのかと、考えてしまいます。

子育てはマネージメントとよく似ています。このnoteを書くことで、親としても、仕事仲間にも、本音で相談される人間でありたいと、気持ちを新たにしました。お互いに、人間力を磨いていきましょう。

サポートいただけたいた方は仲間と思って日々精進しようと思います。とりあえず、ビールを買って乾杯させていただきます。