見出し画像

過去の暴落に学べ

(1)急激な市場の変動

2024年8月5日、日本市場は過去の記事のように日経平均-4,451.28円という過去最大の値下がり幅を記録する大きな暴落に見舞われました。この暴落は2024年の7月31日に日銀が政策金利の追加利上げをしたことよる円高に端を発し、「令和のブラックマンデー」と称されました。

しかしその翌日の8月6日には、今度は一転して+3,217.04円と過去最大の上昇幅を打ち立て、その後は何もなかったかのように上下しており、狼狽売りさえしなければ大きな影響はなかったともいえます。

誰もがこう思ったことでしょう。
「あの暴落は一体何だったんだ・・・」

ここで気になるのが、過去の暴落。
過去の暴落と今回の暴落の違いを知ることで、未来に来るであろう暴落に対処できるのではないかと考えたのです。

(2)過去の暴落

過去の大きな米国の暴落には次のようなものがあります。
・1929年:ウォール街大暴落
・1987年:ブラックマンデー
・2008年:リーマンショック
・2020年:コロナショック

そしてこれらの歴史的暴落時に見られる傾向には、次のようにいくつかの共通点があります。これらの観点から、株式市場を客観的に見ていきましょう。

・行き過ぎた過熱感
・金利の引き上げ
・構造的要因の存在

1.行き過ぎた過熱感

1929年のウォール街大暴落や1987年のブラックマンデーでは、直前まで株式市場が過熱していたことが分かります。
 
金を借りて株を買い、価格が上がった株を担保にまた株を買うという、株が上がり続けないと破綻する行動が悲劇を招いたのです。
 
また、2008年のリーマンショック前は空前の米国住宅バブルであり、住宅を買えば価格が上がるという集団幻想が世の中を席巻していました。こちらも購入対象が株か住宅かの違いであり、本質的に大きな差はありません。
 
こうした「投資」というよりも「投機」に近い、行き過ぎた過熱感がバブルを生みだしました。そして、その右肩成長が終焉を迎えて逆回転をはじめたときに、急激な経済的破滅が起こるのです。

2.金利の引き上げ

国は経済の過熱感を抑えるために、政策金利の引き上げを行ないます。
 
ブラックマンデー前、ルーブル合意でのドル安是正に失敗した際、米国はインフレ懸念を抑えるために政策金利を5.5%から6.0%に引き上げました。
 
リーマンショックの本質的な引き金となった住宅バブルの崩壊も、FRBが金融引き締めのために政策金利を5.25%まで引き上げたことが原因です。
 
このように、金利の引き上げと過熱感の抑制はセットであると考えられるのです。

3.構造的金融危機

また、大きな暴落には次のような構造的な要因が存在します。

 ・1929年:ウォール街大暴落
 ▶ブローカーズローンを扱う銀行の経営悪化
・1987年:ブラックマンデー
 ▶ルーブル合意によるドル安是正の失敗
・2008年:リーマンショック
 ▶サブプライムローンのデフォルトリスク
・2020年:コロナショック
 ▶ロックダウンによる経済の停滞

もしこうした金融危機がなければ、相場が過熱している場合、「株価が下がってチャンスだ」とばかりに買いが入り続けていくことでしょう。
 
過熱感継続の代表例が先日の令和のブラックマンデーです。この暴落には構造的要因が存在しなかったためか、翌日には大きく戻すという、記録的ではあったものの暴落と表現するには暴落的様相を感じないものとなりました。 

4.暴落対策のメカニズムの強化

一方で、こうした暴落について調べていると、過去の暴落局面において政府が緊急で金利の引き下げを行なうという行動に出ることも見えてきます。

ウォール街大暴落が起きたころはまだ経済政策も整っていなかったのか、株価が元の水準に戻るまで22年もかかりました。

しかし、ブラックマンデーでは2年で株価が回復。リーマンショックでは1年で株価が底打ち。コロナショックでは1ヶ月で株価が底を打ったというように、暴落に対する対応が次第に確立されてきていることも事実です。

構造的な要因があったとしても、最近の暴落の底入れの早さはかつての米国市場の比ではありません。
 
それだけ米国の暴落対策メカニズムがしっかりと機能しているということであり、これは希望的観測ですが、もしかしたら今後の暴落は市場に大きな影響を与えなくなってくるのかもしれません。

(3)まとめ

最終的に、暴落は過熱感、金利上昇、構造的金融危機の3つが揃ったときにくるということが見えてきました。

そういった観点では、米国はこれから金利を下げていくフェーズですから、株式相場にはプラスであり、大きな暴落につながることはないのではないでしょうか。

多少の株価の上下に狼狽せず、コツコツと資産を積み立てていきましょう。

(4)参考書籍

こうして今回、暴落について調べた内容を分かりやすく以下の書籍にまとめてみました。Kindle Unlimited会員だと無料で読めるようにしておきましたので、ぜひお手にとってみてください。






最後まで読んでくださって、ありがとうございました! これからも楽しみながら書き続けていきます!