ファシリテーションのプロが語る「本音を引き出すセオリー破りの質問術」
Potage代表 コミュニティ・アクセラレーター河原あずさです。対話づくりのスキル=ファシリテーションのスキルを活かして、個人や組織やコミュニティの背中を押すお仕事をしています。
と、自己紹介を読んでもわかる通り「ファシリテーション」は私にとってとても大事なスキルです。ステージ進行のみならず、組織の文化を産み出すワークショップ、アイデアソンやハッカソンといった事業アイデアを創出するプロセスなどにおいて重要な役割を果たします。私はこのスキルを駆使し、様々なクライアントに対してサービスを提供しています。
そして、ファシリテーションのスキルを企業や個人に提供するだけでなく、新しいファシリテーターの育成も行っています。例えば企業のマネージャー向けにファシリテーターの育成講座を実施しており、対話スキルやチームマネジメントのやり方をコミュニティづくりの技術を応用してお伝えしています。
また、一般の方向けに「THE MODERATORS & FACILITATORS(通称モデファシ)」というオンラインスクールも運営しています。ここでは主に、イベントや配信におけるステージ進行の基本的なスキルを教えています。既に100人以上が卒業し、様々な場所で「モデファシスキル」を活かして活動しています。
次期開講は2023年7月なので、興味がある方はぜひ下記のLINEから連絡をください。友達登録をいただければ最新情報が届きます。
オーソドックスなインタビュー手法「過去→現在→未来」とその限界
さて、このスクールでは、動画講座を受けていただきながら、様々な実践課題を提出してもらいます。そのうちの1つが、受講生同士でペアを組んで行う「相互インタビュー」です。それぞれ10分間、相手に対して自由なテーマでインタビューをするのです。
提出された課題を見ると、多くの受講生が次のような流れでインタビューを進めています。
と、このような流れです。「過去→現在→未来」と話を深掘りしています。
しかし、もっと面白く、かつ深い情報を引き出す方法がありますよ、と課題のフィードバックでお伝えしています。これは一見、スムーズで自然な流れに見えるし、話を組み立てる上で最も直感的で分かりやすい順番ではあります。一方で「ここだけの面白い話」が引き出しやすいかと言うと、必ずしもそうではないのです。
特に、人事のバックグラウンドを持っている方は、この「過去→現在→未来」のフローを自然と使いこなす傾向が強いです。おそらく、日々の面接などで、ある意味オーソドックスなこのスタイルに慣れているからなのでしょう。。
しかし、一方で、私がモデレーターやファシリテーションをする際には、あえてオーソドックスなアプローチを崩す局面をつくることを、日々心掛けています。大事なのは、相手の内に眠る言葉を表に丁寧に引き出して、ここでしか聞くことができない話を組み立てることです。そのために大切なのが「予定調和ではない話の流れを作り出すこと」なのです。
「時制を崩す」インタビュー手法「未来→過去→現在」の効果
それでは、どのように予定調和を崩すのか、具体的な方法をお話しします。いちばん手っ取り早い方法の一つが「時制の流れを崩す」ことです。例えば「過去→現在→未来」という時間の流れ通りに聞いていくのではなく、時間軸の流れを変えて質問を組み立てるのです。
例えば、私が多用するのが「未来」について聞く質問からトークをスタートする方法です。この方法は、時間が限られた短いトークセッションや面接の時などに特に有効です。
具体的にどう進めるかと言うと、ゲストの方に簡単な自己紹介をしてもらった後、例えばこんな質問をぶつけるのです。
「○○さん、ありがとうございます。さて、いきなり急な質問で恐縮なんですが、〇〇さんの夢について教えてください。10年後までに〇〇さんはどんなことを実現したいですか?」
いきなり未来について聞くと、相手も想像していないのか、思わず「えっ?」と驚くような反応をします。ゲストの方の想定とは、ある意味、逆の順序で話を進めているからです。
そして、その後は何を聞くかというと、今度は一気に過去に飛ぶ質問をします。
「なるほど!面白いですね。ぜひ、その夢を持ったきっかけについて教えてください!」
すると、相手の口から過去の具体的なエピソードが自然と溢れ出します。そして、次は過去から現在に戻るべき、次のような質問をするのです。
「今、その夢に近づくためにどんな活動をされていますか?」
このように未来から過去へ、そして現在へと時間を行ったり来たりすることで、相手がもともとしゃべる予定もなかった、思いもよらない言葉が言語化されることがあります。そして、その言葉を元にした対話が、お互いにとっての新しい発想を生み出すきっかけになるのです。
ステージやトークのライブ配信を企画する際に、私はこの「時制を崩す」テクニックを実際に活用しています。「未来から質問する」流れは、ゲスト自身も想像していなかった新たな視点や意見を引き出すからです。ゲストが「あ、このセッションは他でやってきたものとは(いい意味で)ちょっと違うな」と感じることで、より柔軟な喋りをしようというスイッチが入ります。そして、その後に出てくる発想はとても新鮮で、面白いものが多いのです。
未来起点で新たな視点を発掘する「フィードフォワード」
未来の話から入るというのは、キャリア開発や新しい発想を導くためのアイデア作りなど、さまざまなプロセスにおいて非常に効果的です。
どういうことかというと、この方法は、コーチングで用いられる「フィードフォワード」という手法の応用なのです。
フィードフォワードは、コーチングのテクニックの一つで、過去を振り返って「反省」するのではなく、未来に目を向けて「ゴール起点でバックキャストして物事を整理しよう」という考え方に基づいています。ゴールを設定し、「これからどうあるべきか」に焦点を合わせ対話をすることで、個人の成長や目標達成に向けた建設的な次のアクションを促します。
過去の行動や結果を反省するフィードバックとは対照的に、フィードフォワードは前向きな視点を提供し、具体的な改善策や将来のビジョンを提示することに重点を置くのです。
フィードフォワードは、自身の将来の可能性について考え、その可能性に向かっての行動変化を促します。未来起点の問いかけを重ねることで対話相手は自己認識を深め、自分自身のこれからの行動や態度の小さな変化が、目標達成にどのように貢献していくかを整理することが可能になります。
対話相手に自身の成長や発展のためには何が必要か、そしてそれをどのように達成するかを具体的に考えさせるため、過去の失敗にこだわるのではなく、新たな行動や習慣の創出、自己改善へと繋がる前向きなエネルギーを自然と生み出す対話のプロセスなのです。
私たちは常に未来を見つめ、その未来に向けて行動する生き物です。「まず未来の夢から」という発想で話を始めることで、視点をポジティブなものに誘導し、持っている自身の理想に対する強い意識や想像力を引き出すことが可能となるのです。
一般的なインタビューでは、過去から始めることがセオリーになります。しかし、一旦それを捨てて、未来から話を始めるだけで、対話相手が普段から言い慣れている、決まり切った言葉を超えた、まったく新たな発想や視点を引き出せる可能性が上がるのです。ぜひ皆さんも試してみて下さい!対話相手と自身と、お互いに発見がある対話がつくれるかもしれませんよ。
講座「THE MODERATORS &FACILITATORS」もぜひ参加いただきたいと思います。下の公式LINEに登録いただき「モデファシ興味あります!」とメッセージをいただければ、詳細をお送りします。みなさまからのアクセスお待ちしています!
※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)
※この文章は、原文作成にChatGPT(GPT-4)を活用して執筆されています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?