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稲盛さんの言葉に力をもらいました。

 京セラやKDDIの創業者で、JALの再建にも力を発揮された
 稲盛和夫さんが亡くなりました。
 
 私は、稲盛さんにお会いしたことはありませんが、
 本や映像を通じて、稲盛さんの影響を実は受けています。
 今日は、その体験を共有します。
 
 私は約2年前にハピネスプラネットという会社を創業しました。この会社をつくること思い立ち、設立準備を始めたのは、約3年前になります。
 
 その時点で、30年以上に渡り、日立で研究開発とその事業化を行ってきました。それまでも、現在の事業の発展に寄与する技術については、
 既存の事業部と一緒に事業化を推進してきました。
 
 ところが、ここでやろうとしている「デジタル技術で、人や組織を幸せで生産的にする」という事業は、その従来のやり方ではうまくいきそうにありませんでした。
 
 まず、これは既存事業と違いすぎて、推進する事業母体がありません。
 従って、新しい事業体を創る必要がありました。
 
 しかも、この推進には、思い切った挑戦ができ、
 柔軟な試行錯誤が可能な体制と資金が必須であると考えました。
 
 ただ、それを社内に創るのは、現実的でないだろうと思いました。
 仮に、そのような部署を社内につくれたとしても、状況が変わると組織の免疫作用が、異分子である新組織を排除することも懸念されました。
 
 このために、より独立性を高めるため、
 日立の社外に、他社の資本もいれた「出島会社」をつくるしかない
 と考えたのです。しかも、今後の試行錯誤を可能にするために、
 10億円程度の資金は必要と考えました。
 
 しかも、これを進めるには、一人ではできません。
 思いをともにする仲間と一緒に進めることが必要でした。
 しかしこれは、大切な仲間たちに、日立を辞めて、
 この新しい会社に移籍してもらうことを意味します。
 本当に、そこまでやる必要があるのかと自問しました。
 
 ここで、私が思い出したのが、稲盛さんの
 
  動機善なりや、私心なかりしか
 
 という言葉です。
 
 私は自問自答しました。
 この新会社の設立に、利己的な私心が本当にないのか、
 本当に、純粋に世のためであり、自分を目立たせようとか
 自分だけ儲けようなどという心は本当にないのかをです。
 
 人は、誰でも、ちょっと人に褒められると、いい気になったり、
 天狗になりしやすいものです。
 実際に、私は、少し前に昇格したり、多少の知名度もできていました。
 稲盛さんは、そんな時が一番危ないというのです。
 
 そんな時こそ、やろうとしていることは
 正しい動機に基づいているか、本当に一点の私心もないのか
 を徹底して問うことが大事だというのです。
 
 私は、これを自分に対し、確信が持てるまで問いました。
 その結果、確信と覚悟を持って始めたのが、
 このハピネスプラネットという会社です。
 
 この会社ではHappiness Planet Gymという名前で、
 前向きでつながりあう組織とマネジメントづくりを、心理学やデータに基づくメソッドとデジタル技術によって行っています。既に多様な100を越える企業や団体から3900人に参加いただいており、今も拡大しています。

このメソッドでは、体系的な16個カテゴリーの指針を日々参加者に提供します。例えば、
 
  「Challenge/困難には立ち向かい、学ぼう」
 
 という指針が、朝にシステム/アプリから参加者に提案されます。
 
 これは幅広い学術的な知見を統合することにより開発したものですが、
 実は、この指針の中には、稲盛さんの思想と通じるものが結構
 入っています。例えば、上記の指針は、稲盛さんの言葉である
 
  「日々の仕事で、魂を磨き、心を高める」
 
 とも重なるものです。仕事を通して、我々は自分自身を磨くことが
 できますし、それが仕事の至福です。楽な仕事をしていては、
 この仕事の至福を得ることができません。これは幸福論の古典である
 ヒルティの『幸福論』の思想とも通じるものです。
 そして、これがウエルビーイングを考える上でも大変重要なことです。
 
 稲盛さんの思想には、京セラや日本という
 枠を越えて普遍的なことが沢山あったと思います。
  
 大きな影響を残して、稲盛さんが旅立ちました。
 
 我々が、次の時代をつくる番です。
 
 矢野


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矢野和男(ハピネスプラネットCEO、日立製作所フェロー)
AIと人間社会行動や幸せについて研究しています。これがAIと合わさって大きなな変化をもたらすと考えています。著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』http://amzn.to/1mgfZHF http://bit.ly/Unmhs6