見出し画像

誰でも真似できる事業のつくり方 連続起業家から学ぶ『凡人の事業論』

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

IT業界では知らない人がいない、元ヤフー社長の小澤隆生さん。最近だとPayPayの立ち上げ人としての顔が有名ですが、ベンチャーキャピタリストとしても1号ファンドの投資先19社中11社がIPOという凄まじいトラックレコードをお持ちです。誰がどう見ても天才なわけですが、どういうことか以下の書籍を上梓されました。

小澤さんと知り合ったのは2000年ごろだったと思います。ビズシークというスタートアップをしているときにテレビの密着取材か何かがあって、仲間のオフィスに遊びに行くシーンの撮影で当時の我々のオフィス(電脳隊、PIM)にいらっしゃったのを記憶しています。その後、同じ時期に彼は楽天、我々はヤフーという大企業の一員となり、カルチャーギャップなどの共通の課題を抱えていたので交流が続いていました。

個人として直接仕事っぽいことをしたのは、彼が楽天を辞めて個人投資家となったときに、私もヤフーを辞めて時間に余裕ができたときです。投資先の社長がエンジニア採用や人事に悩んでいるという相談がきたときに、「エンジニアの気持ちが知りたいならコード書くのが一番ですよ!」と雑な回答をしたところ、ホントに経営者向けのプログラミングスクールをやることになりました(笑)。半年くらいで延べ100人ほどの経営者にプログラミングの基礎を実践形式で教えました。生徒の1/3くらいはその後IPOなり大成功を収めた方々で、今考えると畏れ多いことでした。

また同じ年に、本書の中でも言及のある「すごい豆まき」の第1回・2回ではイベント運営の裏方としてご一緒しました。

その後ヤフーに戻ってモバイル化の旗振り役をしていたわけですが、なんとM&Aにより小澤さんがヤフー入りということになりました。そこからはヤフオクやショッピングのモバイル版や、YJキャピタルでは2号ファンドのパートナーとしてもご一緒することに。豆まきぶりに仕事でガッツリ関わりました。

前置きが長くなりましたが、本書では「凡人」という設定の小澤さんが再現性の高い事業のつくり方を対談形式でわかりやすく説明してくれます。ゴール設定、打ち出し角度、センターピン、実践&失敗のイテレーションというステップに分解された具体的なメソッドは、事業運営に関わる方には非常に参考になると思います。特に「失敗力」については重要です。小さく始めて小さく失敗しながら倒すべき「センターピン」を見つけることこそが、事業の成否を決めるのです。

本書のタイトルに「凡人」がついているのは、小澤さんが三木谷さんや孫さんといった日本を代表する起業家に仕えていたことに起因しています。これに関連するエピソードとして、ヤフー時代に孫さんの会議でのできごとがあります。

後に「eコマース革命」と呼ばれるヤフーショッピングテコ入れの戦略会議での出来事です。当時小澤さんはYJキャピタルの代表などの仕事も兼務していたのですが、この戦略をやり切るには生半可な努力では叶わない。トップ自らがフルコミットしてリードするべきだという話になりました。当時のYJキャピタルはまだ軌道にのったばかりであり、小澤さん自身もやらなくてはいけないことがあると感じていたようです。この席上で孫さんに「小さい投資なんて誰かに任せて、eコマース革命に全力で挑め!」と詰められたわけですが、小澤さんの1号ファンドは19社中11社がIPOというVCとしては大成功していたわけです。よって返す刀で「いや、意外とうまくいっていまして、、、」と反論したところ、「お前はおれよりも投資がうまいというのか??」と。孫さんにそう言われては日本で反論できる人はいません(笑)。まさに投資の天才が目の前にいるわけですから。

2013年からビットコインに投資をしていてそれほど儲かっていない私からすれば、小澤さんはやっぱり天才の部類に入ると思います。が、ぜひ凡人目線でしっかりと噛み砕いて書かれた本書を、多くの方に読んでいただきたいなと願っています。



みなさまからいただく「スキ」がものすごく嬉しいので、記事を読んで「へー」と思ったらぜひポチっとしていただけると飛び上がって喜びます!

※ タイトル画像は筆者撮影

#日経COMEMO #NIKKEI

いいなと思ったら応援しよう!