経済成長か、環境保全か〜①アマゾンが燃える
アマゾンが燃えている、とする報道をよく見かけるのではないでしょうか。遠い国のことゆえ実感はないけれど、これは問題だ、と直感では思うところです。
ニューヨークタイムズによると、ブラジルのボルソナーロ大統領は2019年1月に大統領に就任するや、環境保護政策の施行を撤回し森林開発を推し進め、わずか6ヶ月間で約3444㎢の森林を失った模様。アマゾンの熱帯雨林は約549万㎢であるから、約0.1%が消失したことになります。アマゾンの森林が地球全体の二酸化炭素の4分の1を吸収していたことを考えると、ここでの焼畑農業や畜産のための火災による地球規模での喪失は相応に大きいと言えます。
日本にいて、アマゾンが燃えているというと、早くやめなければと考えます。環境保全の一環から。でも、これだけだと身勝手な論理だということも十分理解できます。ブラジルのボルソナーロ大統領の政策は、資本主義の論理から言えば間違いとも言えない、からです。先進国が先に垂れ流した公害で地球を汚しておいて、すでに地球が限界だから気候変動が最も重要だ、と言われても発展途上国から見れば、はいそうですか、というわけにはいきません。
アマゾンを維持することに対する利益の還元が必要なのであろうと考えます。アマゾンを維持することを“輸出”するという発想です。それが二酸化炭素の排出権取引。アマゾンを維持することで二酸化炭素排出権を得るブラジルが、その取引で少なくとも森林開発から得られる資金と同等か、あるいはそれ以上の資金が得られるのであれば、ブラジルの人々はどうするでしょう?まだアマゾンを焼くでしょうか。
アマゾンの生物多様性は研究資産として残すべきであろうことは素人にもわかるし、それがブラジルにとって重要な観光資産なのではないか、ということもすぐに理解できます。その資産価値に焦点をあて、概念ではなく、実際の価格付けをすることが重要なのではないでしょうか。先進国は発展を遂げ、環境問題が浮上した途端、貧困を発展途上国に強いていると、発展途上国は主張するのも道理だから、です。
Stop the Amazon burning! でも、“気づき”や“べき論”だけで、先進国と発展途上国間で調整やバランスが取れる程、簡単ではないことは確かです。そのため、地球環境を維持するためのコストを製品やサービスに転化することが大事になると思います。アマゾンが燃えている、ストップさせようという皆の声も重要ですが、同時に、アマゾンがあることによる効果を価値として換算し、取引することを考えることが有効なのではないかと思うのですがどうでしょうか。(続く)