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偉いってなんだろう? 役職は身分制度ではなく、ただの役割だ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

ジョブ型雇用の時代がくると言われて久しいですが、以下の記事を見ると5社に1社は「ジョブ型中心」となっているそうです。一方で、ジョブ型の導入を望むかどうかは、世代により異なる想いがあることもわかりました。

いま注目を集めている「ジョブ型」の人事制度について、若い人ほど導入を望んでいる実態が独自調査で判明した。新たな制度の下で専門性を磨き、出世など「下克上」を狙う若手と、今の制度と地位のままで「逃げ切り」を期待するベテラン勢――。ビジネスパーソンの対照的な思いが浮き彫りになった。

わたしがとても違和感を覚えたのが、「下剋上」という言葉です。日経が記事に書くくらいですので、一般的な認識に近いのかなと思います。

下剋上 / 下克上 (げこくじょう)とは、日本史において下位の者が上位の者を政治的・軍事的に打倒して身分秩序(上下関係)を侵し、権力を奪取する行為をさす。(Wikipediaより)

上記の通り、下の身分のものが上に打ち勝つ。つまり家臣が仕えている君主を倒す意味で使われるのであり、多くの会社の中では役職による階級が身分制度のように機能していることを想像させます。

「偉い人」という言葉もよく見聞きします。年功序列の制度の中では、年次と役職が比例していますので、年長者=偉いという構図が成立しています。上司と部下というのも、それぞれに上下という言葉が入っていることから、この構図と同じ意味合いを持っています。

ところが、最近では「年下の上司」も珍しくはなくなってきています。さて、この場合は「年上の部下」と比べてどちらが偉いのでしょう?

わたしはここに、メンバーシップ型(日本型)雇用からジョブ型雇用への移行の難しさを感じています。つまり、社内における「偉い」の定義が異なるということです。

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人を中心にして仕事を与えてきたメンバーシップ型雇用においては、会社の歴史や成り立ち、広範囲にわたる社内知識や政治的な力学、ひいては社内人脈があることが出世の前提になっています。そのために、様々な部署や職種を経験させてジェネラリストを養成してきました。ここでは、(社内的に)博識こそが偉いのです。

一方で仕事を中心に人を割り当ててきたジョブ型雇用においては、その仕事にどれだけ精通しているかが出世の前提になっています。そのため、その仕事での経験や実績がなにより問われるのであって、社内でいま以上の実績が積めないのであれば他社に移ってでもキャリアを積み重ねる。ここでは、専門性こそが偉いのです。

ジョブ型雇用における専門性という話では、管理職=偉いという構図も存在しません。これはPeople Managerという職種であるため(個人として経験を積んでからなる人がほとんどではありますが)、あくまで役割なのでPeople Managerについている人のほうが給与が高いということも普通に起こります。

シニアのポジションになれば予算などの権限を持つようになるため、そういう意味では「偉い人」に見えます。しかしながら、権限には責任が伴うため、透明性を保ち、また説明責任を常に果たさねばならないという意味では、みんなが納得するようにいつも説得をしている人でもあります。いまや「おれが決めたんだから黙って従え!」というマネジメントは通用しません。強引に圧力をかけようものならば、即パワハラ認定。これが、ジョブ型を長らく運用しているグローバル企業の実態です。

これからジョブ型になっていくと思われる日本社会ですが、最初にすべきことは「偉い・偉くない」のフレームからの脱却でしょう。自分の役割はなにか。他の人の役割はなにか。そして、お互いの役割を尊重しながら会社から求められる期待をこえていくために共にがんばっていく。このようなマインドセットへと変化していくことが大事だと考えています。

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タイトル画像提供:CHIRO / PIXTA(ピクスタ)

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