新聞協会賞受賞作「データの世紀」 私が選ぶこの1本を無料公開します
21世紀の「新たな石油」といわれるデータ資源。その可能性と課題を追いかけた日本経済新聞社の「連載企画『データの世紀』とネット社会に関する一連の調査報道」(データエコノミー取材班、代表者は阿部哲也・企業報道部次長)が4日、2019年度の新聞協会賞に選ばれました。
新聞協会賞とは
新聞(通信・放送を含む)全体の信用と権威を高めるような活動を促進することを目的として、毎年新聞週間に与えられる賞。編集部門(「ニュース」部門、「写真・映像」部門、「企画」の3部門)、技術部門、経営・業務部門で、顕著な功績のあった協会加盟社所属の新聞人若干名を選ぶ。
「データの世紀」は2018年4月から7部にわたって日本経済新聞や日経電子版で連載し、インターネットにあふれるデータの活用がもたらす光と闇の実態を報じてきました。「10時間で本人特定、スマホ位置から出張・実家も筒抜け」、「Amazon、偽ブランド品を推奨 AIが見過ごす」、「就活生の『辞退予測』情報、説明なく提供 リクナビ」など、データ時代の落とし穴を浮き彫りにしたニュースも、社会の大きな反響を呼びました。
◆「データの世紀」の生き方を一緒に
受賞に感謝して、今日から約1週間、日経のデジタル部門の編集者が選ぶ「この1本」を無料で公開いたします。きょう私が選んだ「この1本」は、2018年4月の「データの世紀」の記念すべき1回目。データの不正流出が一国の行方すら左右しかねない恐ろしさを描いています。
知らず知らずのうちに自分の行動がデータに支配されていたら。自分の行動一つひとつが、本当に自分で決めたのか、データに誘導されたのか。そう考え始めると、終わりのない霧の中をさまよっているような不安を感じます。
データ資源の活用は負の側面ばかりではありません。米アルファベットは1万人の心拍などの健康情報を少なくとも4年間集めるプロジェクトを始めました。日本でも内閣府と東京大学や京都大学が、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を使い、生活環境と血圧の関係を即時測定する実証実験を始めました。データは人の命を救う可能性も秘めています。
使い方ひとつで私たちの未来を創造にも破滅にも導くデータ資源。確実に言えるのは、私たちはこれから、それを無視して生きることはできないということです。あなたはデータとどう寄り添い、どのような距離感をもって生きていきますか? これから約1週間、デジタル部門の編集者が「私が選ぶこの1本」への思いを綴っていきます。ぜひ一緒に考えてみませんか。
◆「データの世紀」をまとめて読みたい方はこちら
(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 太田順尚)