新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
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正しく恐れることの難しさ

このところ、新型肺炎を引き起こすコロナウイルスの話題でニュースが持ちきりだ。

ウイルスという目に見えないものだけに、余計に恐怖心をあおられる結果となり、経済への影響も深刻になりつつある。

今月下旬にバルセロナで開催される、世界的な通信・携帯関連の見本市であるMWCに、中国のZTEばかりか韓国のLGも出展を取りやめると発表した。

この記事によると、LGは出展中止の声明の中で、

「この決定によって、国境を超えて感染拡大の続くウィルスの影響ですでに制約の増大している国際移動による危険に、多くのLG従業員を晒す事態を避けることができます」

としているのだが、「国際移動による危険」をどう見積もるべきなのだろうか。

刻々と状況は変わるのだが、この2月7日のニュース時点までの死者は中国国内で600人余り、海外ではフィリピンで1名の死亡が確認されたようだが、ほかの国では死亡のニュースが見当たらなかった。

中国の統計がどこまで信頼に値するか。それはどこまで把握しきれているかという点と、どこまで正確・正直に公表するかという2点で、慎重に見なければならないと思うが、中国のコントロールできない海外での感染者や死者の発生状況を見るかぎり、感染者の死亡率はさほど高くない、と判断できるのではないだろうか。

一方で、アメリカでは、通常のインフルエンザが猛威を振るっているという。

記事によれば、累計の「患者数」(おそらく「感染者数」よりも少ないのだろう)で累計1,900万人、入院が18万人、死者が1万人以上だという。

一方、日本のインフルエンザは、初期には大流行の恐れがあった水準だったものが、異例の少なさで推移しているという。

厚労省が発表している資料によれば、日本の季節性インフルエンザでの死者数は、直接的なもので数千人(2005年で1,818人)、間接的なものもふくむ「超過死亡概念」によれば、約1万人と推計されるそうだ。(下記サイトのQ10)

これらの数字をどう考えるべきか。

もちろん、新型ウイルスが感染を繰り返すことで突然変異し、毒性が強まる危険を考えると、感染を予防することは大切なことだ。

しかし、冷静に見たときに、人口が日本の約10倍でこのウイルスの発生源とみられる中国でも、まだ死者数は日本の通常のインフルエンザが直接の死因の死者数を下回っている。現実に、日本では死者が報告されていない。

冒頭の写真は、通りかかったドラッグストアの店頭にあったものだが、マスクパニックとでもいうのか、どこの店にもマスクがない。あっても品薄な状態が続いている。一方で、専門家によれば、マスクの感染予防効果は薄く、むしろ重要なのは手洗いだという。もちろん、不特定多数の人とのいわゆる「濃密接触」が想定される接客サービスや医療などに従事する人は別なようだが、そうでない限り、むしろマスクが感染の危険性を高めるとさえ言う。

これは、実際に(日本の)トイレで人間観察をしていて思うことなのだが、少なくても男性は、トイレで用を足した後、まったく手を洗わずに出ていく人の数は、少なくても1-2割程度存在しているはずだ。Twitterなどをみていると、どうやら女性でも手を洗わない、手を水でぬらす程度という人は少なくないらしい。

上記記事の専門家の指摘を考えるなら、ウイルスを恐れてマスクはするが手洗いをしないでいることは本末転倒、ということになる。また、アルコールによる手指などの消毒がきかないといった情報がSNSで拡散し、それを厚労省が否定する(アルコール消毒が有効である)といったことも起きている(問8)。

既存の予防接種とその副作用を恐れて接種を忌避する行動もそうなのだが、過剰に恐れるあまりに、正しい判断ができなくなっているのではないか、という事態が起きている。個人の判断として忌避することを必ずしも否定するものではないが、データ等にもとづく客観的な判断ではなく、SNSなどで恐怖感を煽られてのものではないかと思われるケースもすくなくない。そうした人がさらに感情的な情報を流すことで、一層恐怖感が拡大していく。

国によっては、もっとも客観的かつ冷静に対処すべき政府機関の行動が、国民のパニックを誘発しかねない対応をとっていて、こうなるとお手上げである。下記の例でいうなら、台湾を禁止するなら日本や韓国なども対象となってしかるべきだと思うが、単純にChinaというキーワードに反応したのだろうか。

今の新型肺炎を考えても、大きく報道されるまでは、多数の中国人が日本を訪れ、インバウンド景気に救われていたのが我が国の状況だ。その中には、武漢の人、あるいは最近武漢に行った人も多数いるだろうし、日本人だって最近武漢に滞在した人は少なくないはずだ。武漢は人口が1000万人を超える大都市であり、日本との直行便も4社が飛ばしている。仮に1便あたりの乗客が100人だとしても、日本人も中国人も含めて毎日400人、月間にして1万人以上の往来があった。そうした人が、東京のような過密な日本の大都会で、満員電車に乗ることもあるだろうし、手を洗わずにトイレを出ることもあるだろうが、今のところ感染者数もごくわずかであり、死者も出ていない。

私自身も、このウイルスは薄気味悪いし、感染したくないと思っている。ただ、ここまで書いてきたような状況を冷静に踏まえて、この危機と向かい合っていきたい。

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アクティブビジョン株式会社 代表取締役。大手企業とスタートアップ企業双方の事業創造・成長のサポートを手がけ、短期的な戦略コンサルティングの後に必要となる、地に足のついた伴走型の戦術コンサルティングを手がける。 http://www.aktivevision.com
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