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求められるデジタル・デバイド解消のためのコミュニティ型デジタル支援

高齢者を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種の予約が全国で広がる中で、スマホやインターネットの操作に馴染みがない、スマホ、インターネットアクセスがない方のニュースを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか?或いは、自分の親、祖父、祖母の予約の手伝いをした(する予定)、という人も多いのではないでしょうか?

そんな時に目にした総務省による今後5年間で「デジタル弱者」高齢者1,000万人の受講を目指す「デジタル活用支援推進事業 」構想の公表は、その重要性を改めて感じるとともに、とても難易度の高そうな壮大な事業であることを感じさせるものでした。

記事にはこう書かれています。

総務省は18日、高齢者らがデジタル化から取り残されないようにスマートフォンやマイナンバーカードの使い方を教える「デジタル活用支援員」について、2025年度までの5年間の事業構想を公表した。毎年度5000カ所で講習会を開き、5年間でのべ1000万人の高齢者の参加を促す。デジタル庁の9月発足を控え、デジタル化から取り残される住民がいないようにする。

講習会は携帯販売代理店や公民館などを会場とし、講師役が出向いてスマホ操作やマイナンバーカードを使った行政手続きを指南する。総務省は20年度の第3次補正予算に9.3億円を計上した。国が事業費の全額を補助し、6月から事業を始める。

講習会の委託先は携帯代理店のほか、自治体や商工会議所などを想定しており、具体的にはスマホの電源の入れ方といった基本操作から、マイナンバーカードの申請や専用サイト「マイナポータル」の利用方法など11テーマで構成する。受講者は好きなテーマを選んで参加する。

21年度は全国1800カ所で9万回の講座を開き、40万人の参加を目指す。22年度以降は5000カ所に増やし、参加者を5年間で計1000万人にする計画だ。初年度は新型コロナウイルス禍によって参加人数を抑えるが、22年度以降は1講座当たりの参加者を増やす。

総務省による広報資料によると以下のように今後の方針や戦略が描かれています。初年度予算として9.3億円が計上されているとありますが、初年度想定の1,800ヶ所のうち1,700ヶ所は全国の携帯ショップで実施される8.5万回の講習会で行う予定であることが示されていることから、予算の多くは携帯キャリア企業による講座運営費用として計上されているのではないかと推察します。1箇所あたり50回の講座開催を想定、50回X1,700箇所で8.5万回の講座開催。1回の講座で平均4人を対象とし(コロナ禍での実施のため)、4人 x 8.5万回の講座で約34万人の参加目標を目指すとのことです。(初年度目標40万人の残り約5万人は「地元ICT企業やシルバー人材センター等が地方公共団体と連携して公民館等で実施」することを達成を目指すと記されてます。

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そもそもコロナ禍で対面での講座、講習会などの開催が難しくなっている中で事業の設計にオンライン講座が入ってないのか、或いは学ぶ内容も趣味や、個人の興味の延長で楽しみながら学べる、より実践的な内容になればいいのに、という疑問はないことはないのですが、やや不安を感じる部分はなくはありません。

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とはいえ、資料の中にも書かれているように、「国民運動としての幅広い取り組み」を呼びかけている点、そこは尊重したいと思います。

ワクチン接種の予約問題は今後数ヶ月に渡って現実的な問題として多くの人の身近に起きることだと思います。そんな時に国や自治体だけに頼り、批判するだけでなく、地域でのボランティア活動やオンラインでの情報発信などを通じてデジタルリテラシーを高めるような取り組みが出来ないか、考えるよい機会なのではないかとも感じます。

総務省の広報資料をもう少し深く見てみると、例えば国連「電子政府ランキング」1位のデンマークやシンガポールでの地域のコミュニティを動員しての相互支援の取り組み事例が紹介されてます(NECによる提出資料)。

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シンガポールでは2020年5月に「シンガポール・デジタル・オフィス」を発足させ、「Seniors Go Digital」というキャンペーンを展開、今年の3月までに10万人のスキル向上を目指し実施したそうです。コロナ禍で職を失った人も含め、月額1,800〜2,100シンガポールドル(約15〜17万円)で11ヶ月の有期契約で1,000名のデジタル・アンバサダーを雇用し、シニア層に対するトレーニングを実施した事例が紹介されてます。またシンガポール内の図書館で展開するデジタルリテラシープログラムなどもこのキャンペーンに併せてスタートしたことも報じられてます

普段からデジタルメディアと頻繁に接することがあり、ツイッターなどでの投稿を日常的にチェックしている人にとっては今回のような国の事業に批判的な目を向けてしまう人もいらっしゃるかもしれません。が、そもそもデジタル・デバイドの解消というテーマはなかなか最適解を見つけるのが難しい、収益性を維持しながら持続可能な形で行うのは難しい、取り組みです。それでいて今回のコロナ禍でのワクチン予約の現状を見るにつけ、重要度は更にますばかりです。国の旗振りをきっかけにアイディアや小さな自分でできる行動を考える機会にしてみてはいかがでしょうか?

例えば「#デジタル活用支援」のような共通のハッシュタグをつけることで優れたオンライン教材、YouTube動画、優れたまとめ記事を共有するようなことだけでも最初の一歩になるかもしれません。

毎月第●の▲曜日は「#デジタル活用支援デー」みたいな形でカフェ、図書館、公民館で教え合うコミュニティイベントを開催する日として盛り上げる、ようなアイディアもあってもいいかもしれません。

9月のデジタル庁発足に向けて、今後もこうしたデジタル活用支援、身の回りのDXの話は繰り返し話題になることと思います。まずは個人的にでも参考になりそうな情報を意識して発信していきたいと思うきっかけになりました。今後の動向にも注目していきたいと思います。

Photo by Georg Arthur Pflueger on Unsplash

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