あなただけの戦い方もきっと見つかる。
今回の記事は、日本経済新聞とnoteの共同お題企画「#仕事での気づき」をテーマにして書きます。
私の気づきは、身近なすごい人と自分を比べてめげるなあ、特に上手に意見言える人見ると凹むわあという方に捧げます。いつも私もそうだからw
私は、資生堂クリエイティブという会社でコピーライターとして広告などコミュニケーションをつくる仕事をしています。
広告案をプレゼンし承認を得るというプロセスが基本。
ですが多くの人の前で話すのが基本苦手です(!)
それでもプレゼンはまだいい。自分のペースでひとまず話し切れるから。
が、その後質疑応答で案への懸念が出た時に言い返す…もとい反論する、懸念を払しょくする、想定外の質問など打ち返しは…いまだ苦手です。
全くマネできない、すご技の先輩
が、それを打ち返す(もはや打ち返しを超越してるかも…)のがすこぶる上手な先輩がいました。仮称姫とします。
プレゼン相手がかる~い思い付きでデザインに異議を唱えると、姫は朗らかに「それダサいですよーっ!」と笑顔でザクーーーっと斬る。
もちろんある程度論理的に説明はした上であるが、
デザインという領域である以上、感覚の話、ダサいか/ダサくないかになるシーンが出てきてしまう。正直プロに任せてほしいシーンもある。
それを姫はあえてカラッといって険悪な空気にさせないから、発言した人も「わーやっぱダサいかー?そうだよねー」と言えた。
反論するにも回りくどすぎて伝わらなかったり、納得できないまま引き取って、裏でネチネチ悪口をいうより誠実だと思ったし、姫自身誰よりもデザインに真摯に向き合い、沢山検証を重ね、本当にセンスが良くチャーミングな人であったからこそできた技。一歩間違えれば大炎上で、私には絶対マネできない…と絶望したのでした。
笑顔で斬る系譜は引き継がれていた
さて最近、とある仕事で久々に一緒のチームになった後輩がいました。
プレゼンもその後の打ち返しもとても上手になっていて、思わずチャットして伝えました。終始穏やかに、相手を否定せず、でもそのまま従うとデザインが破綻することを、笑顔で丁寧に説明していたのが素晴らしかった。
そうすると彼女は「あー。それはきっと姫から学んだものです」。
さらに「さかのぼると王子からですよね。笑顔で毒を吐いたりケンカを売ったりしてた」。
そう、姫の上に王子がいるんですw
この王子が一番強烈で、キャラを存分に使いこなし斬りこみまくっていました。(色々エピソードはあるが今回は省略)
その系譜は姫・後輩へと引き継がれていた。独自の進化を遂げて。もう後輩は完全なオリジナルのカタになっている。
ああこれでいいんだ。偉大な先輩たちと全く同じにはなれないし、ならなくていい。でも必ずその精神は自分の中で生きている。私もそうだと信じたい。
皆、独自のスタイルで戦っている
そして改めて見回すと、打ち返し方のスタイルは様々だと気づく。指摘を受けて「一度ベンチに持ち帰ります」と宣言する派(ただ指摘通りにするとは決して言わない)、きちんと考え抜いて挑んだうえでも想定外な指摘ならば「思い及びませんでした」と答えても恥でも敗北でもないと知った。皆色んな系譜がミックスされて今があるんだろうな。それぞれ戦ってる。
私はスポーツと縁のない人生だけど、こんなときアスリートと少し似ているんじゃないかなと勝手にシンパシーを感じています。
日々はとても地味。ただ鍛錬だが、一方で「才能」の世界でもある。ほかの人と比べて心は乱れ、それでも自分のスタイルの戦い方を見出すまで試行錯誤を重ねるしかない。本番で花開くこともあるけど、実らないこともある。
オリンピックでも試合結果の記事で語られる、本番に至るまでの模索と苦労の日々はたった数行であるけど、つい心を寄せてしまう。皆それぞれ戦ってきたんだなあ。
そんな彼らの言葉は胸を打つし、果たして自分は日々戦っているのかと反省するのです。
「みんな、ちゃんとケンカしなさい」
そういえば、と件の後輩が言った。王子が会社を卒業するときに残した言葉が
「みんな、ちゃんとケンカしなさい」だったそう。
ケンカかあ。ケンカって実は立場が平等じゃないとできない。
上下がある関係は、イジメや命令になる。
ここでのケンカとは良いものを作るための議論。重ねていくうちに、あなただけの戦い方がきっと見つかる。私もまだ修行の途中です。
さてさてまた来月。まだ暑そうだなあ…