家族との関係が強固になるのは決して良いことばかりではない
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家族との関係が強固になるのは決して良いことばかりではない

荒川和久/「結婚滅亡」著者

若い世代が自分の親より不幸と感じるのは、多分に経済環境に恵まれない部分に起因するだろう。

何度も繰り返し貼って恐縮だが、日本の平均賃金は30年上がっていないわけで、就業者の平均年齢はあがっているのに賃金が変わらないということは、かつての40歳の給料より今の40歳の給料の方が低くなっていることも意味する。

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同時に、自分の親世代が若者の時には消費税もなかったし、社会保障費負担も随分と軽いものだった、可処分所得が全然違う。収入が減って、支出が増えるのだから、それは苦しさを感じるのは当然である。


しかし、この日経の調査で僕が注目したのはそこではない。「コロナ禍において家族との関係は強固になった」という部分をポジティブにとらえている論調だが、果たして本当にそういえるのだろうか。

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在宅勤務などで家族の時間が増えて、それで幸せを感じるという人もいるだろう。しかし、それはむしろ「家族やパートナーへの唯一依存度が高まった」ともいえないだろうか、と思うわけです。

家族やパートナーとの関係性が良好なのはもちろん否定しない。が、それだけに唯一依存してしまった場合、それが喪失した時どうなるのだろう?

こちらのプレジデントの記事でも書いたように「唯一依存度」が高まれば高まるほど本人も周囲も不幸になりがち。

この記事は、特に中高年既婚男性が陥りがちな「幻の友達」「幻の役割」というものに唯一依存してしまうと、老後大変なる絶望を感じますよ、という警鐘です。

おかげさまで年末から年始にかけてものすごく読まれました。個人的には、プレジデント連載最高記録を達成したのでしないでしょうか。それくらい、耳の痛い話を書いたつもりです。

記事には書いていない追加の話をすると、「定年退職したら妻と地方に移住してのんびり暮らしたい」などと密かに考えている中高年夫がいるとしたら、やめておいた方がいいです。なぜ余生まで夫(だけ)の面倒見て暮らさなきゃいけないの?と妻に三下り半を突きつけられるきっかけになってしまうかもしれません。するんだったら事前に夫婦間で相互了解をとった上でやりましょう。妻には妻のやりたい老後があるかもしれないので。

だからって、依存が悪いとは限らない。依存できる相手がいるということは大事な事だから。しかし、それが配偶者とか、家族とか、子どもとか、唯一に限られてしまうことが大問題なのです。

「助け合えるのが家族」ということと「家族なんだから助けあわなきゃいけない」というのは別問題です。助ける余力のある人はいいでしょう。しかし、余力もないのに「助けなきゃいけない」という言葉に縛られて無理をすれば、それはいずれ破綻します。自分だけではなく、助けたかった家族すら破壊します。

これも何度もいいますが、日本における殺人事件の半分は親族殺人です。

赤の他人なら逃げればいい、知らないフリをすればいい。しかし、家族だからそんなことは許されない。でも助けられない。もうどうにもならない。そのあげくが、一番大切だったはずの家族を手にかけるという結果になるのだとしたらなんと悲しい結末でしょう。

記憶に新しい2020年のこの事件もまさにそうです。

こんな事件もありました。これは、一度離婚したにも関わらず、息子に介護負担させないように再婚したあげくの犯行です。このように切ろうとしても、切れない足枷せになってしまうことも現実問題としてあります。

高齢者夫婦の老々介護の末の悲劇もある。

相手を思いやるがゆえの親族殺人、今後はさらに増えていきそう。家族の事は家族でなんとかしろという政府の方針の行く先はそういう未来なのです。

決して対岸の火事ではなく、いつ自分に降りかかってくるかもしれない。

今後、ますますこの家族の介護の問題が深刻化するでしょう。「家族なんだから自分たちでなんとかしろ」と世間は圧力をかけますが、どうにもならない時は「家族を手放す」覚悟が必要です。見捨てるのではなく、手放す。

育児をずっと一人でやったお母さんならわかると思いますが、どんなに可愛いと思うわが子でも、泣き止まなかったり、ぐずったりする時間が長かったり、日常生活で疲れていたりすると、イライラしてしまうもの。そんな時、子どもを捨てるのではなく、ほんの数時間でも手放す時間があると(信頼できる誰かに預けられるとか)気が楽になります。実際に預けなくても、いざとなったら頼める誰かがいるというだけで安心できます。反対に、それがないから追い詰められる。

そして、それを受け止める行政としての仕組みや民間のサービスも早急に整備されるべきでしょう。家族が家族しか頼れない社会はむしろ地獄です。



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荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。

これからも更新しますね!
荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。