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アクティブラーニングの設計困難性をデータで乗り越えられるのか?

VRを用いたワークショップをつくる。VRを用いた学びの可能性を考える。こういったキーワードで仕事をする機会も、昨年から少しずつ増えてきています。まだまだ先だと思われていた、バーチャルリアリティの世界はもうすぐ隣にあって、さまざまな実験が行われています。

NECも情報経営イノベーション専門職大学(iU、東京・墨田)と連携し、仮想現実(VR)を使った新しい授業の仕組み作りに乗り出しているそうです。

ここでは、以下のような検証が行われたとのこと。

身につけた機器から視線や会話、心拍数などのデータを取得する。NECの技術を用いてデータを分析し、感情や意識がどのように変化しているか、話した量を時系列で可視化する。授業への集中力や興味を持っている箇所を明らかにした。

オンライン型の授業で参加者の没頭感をつくりだすことが困難である時、視線・会話・心拍数などのデータから授業改善を図ろうという試みでしょうか。

こうした背景には、知識伝達型の授業から、アクティブラーニングと言われる参加者が主体的に学ぶ知識創造型の授業への転換に加えて、2020年以降のコロナ禍でオンライン化が加速したことがあると言えます。

アクティブラーニングの設計困難性

こうした授業は、VRか、オンラインかどうかに関わらず、その授業が主体的にのめり込みたくなるほど面白い課題であれば学生が自然と学ぶと言われています。つまり授業への没入感が低いのは、テーマ設定やプログラム設計に課題があるとする考え方です。

「データなんかで測ってないで、面白い授業作ればいいんだよ!」という批判は、それなりに妥当性があるでしょう。

一方で、すべてのテーマの授業が、すべての場面で生徒にとって面白いとは限りません。ある一定の学びの困難さ、ある一定の複雑な情報をキャッチアップしないと面白いと感じる領域に辿り着けないようなテーマも、世の中にはたくさんあります。

誰もが面白くのめり込める授業は、特定領域においてのみ可能であり、どんな領域でも実現するわけではないと言えます。

生徒のデータから授業改善を重ねることで、設計困難なアクティブラーニングの未来を開く

このVRでのデータ取得と授業設計へのフィードバックの考え方は、こうしたアクティブラーニングの設計を困難にするテーマの授業を、生徒の関心のたかまりを細かく観察することで、少しずつ改善していく可能性を持っていると言えるでしょう。

データにすることで、意外なパートに生徒が関心を寄せることもあり得るかもしれません。そのような発見の積み重ねのなかで、到達すべき学習目標をブラさずに、かつ生徒の関心を惹きつけながら授業設計の改善を重ねることで、よりよいアクティブラーニングの未来が見えてきそうです。

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臼井 隆志|Art Educator
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