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エリート層から支持されるポッドキャストの音声コンテンツ

 近年のネットコンテンツは、テキストから動画へのシフトが進んでいたが、AIエージェントや音声検索の普及は、マルチタスク(ながら作業)でも情報収集がしやすい、テキストコンテンツが見直される契機となっている。さらに、テキストコンテンツを音声化することにも、ビジネスチャンスが生まれている。

ニュースやブログ記事などを音声データとして配信する「ポッドキャスト」は、iPodなどのポータブルプレーヤーが人気化した、2005年頃から存在している情報発信の手法だが、ユーザーにとっては、動画を視聴するよりも手軽で、親しみやすいコンテンツであることから、米国では着実にリスナーの数を増やしている。 このトレンドは、Facebookを中心としたユーザーのSNS離れが進んでいることと反比例した動きとなっている。

米国の各種調査レポートによると、米国民(12歳以上)の中で、月1回以上のペースでポッドキャストを視聴しているリスナーの割合は、2008年の時点では9%に過ぎなかったのが、2019年には32%にまで増加している。

人気のカテゴリーとなっているのは、社会と文化、ビジネス、コメディ、ニュース、政治、健康などで、高学歴の若者や、世帯年収が25万ドルを超すような富裕層のリスナーを引き付けているのが特徴である。

これらのユーザーは、テレビ番組やYouTube動画の視聴に費やす時間を減らして、ポッドキャストへと振り分けている。それに伴い、ポッドキャスト番組の中に挿入する、音声広告の収益も伸びており、ニッチなユーザー層に対して、質の高いコンテンツを提供するサイトにとっては、コンテンツの音声化が新たな収益源となりはじめている。

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AI技術と音声インターフェースとの相性は良く、人間が話す言葉を理解して多様なタスクを実行できるようになるのは、それほど遠い先のことではない。キーボードによる文字入力は、タイピングが上手な人でも1分間で100~150文字(日本語)が目安になる。一方、人間が普通のペースで話す会話は、1分間に約300文字と言われており、これだけでも2~3倍のインプット量の違いになる。

そのため、医師のような時間単価が高い人材ほど、音声エージェントを活用することの合理性は高く、高学歴・高年収者の中から、AIとの会話を通したワークスタイルが広がっていくことになるだろう。エリート人材の中でポットキャストのリスナーが多いのも、スキマの時間に音楽を聴くような感覚でコンテンツを聞き流し、情報のインプットをするのに適しているためで、音声の再生速度も、自分の理解力に合わせてコントロールしながら、時間単位のパフォーマンスを最適化している。

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