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なぜ、日本銀行の株式ETF購入が世界から注目される?~経済との因果関係~

 株式市場の復調が目立ちます。それは日本だけでなく、世界中でも同様です。肌感覚で感じる経済環境と、株式市場のギャップを感じる方も少なくないと思います。不景気の株高の背景には、各国の中央銀行の施策も影響しています。特に、日本の場合は日銀が、株式市場から上場投資信託ETFを購入していることも影響が大きいと言われています。実は、日銀による株式ETFは世界の要人や研究者から注目されています。今回は、その背景と、日銀株式ETF買いによる経済的なインパクトは存在するかを、先行研究をベースに考察します。今回のコラムは、個人投資家、年金運用に関心のあるビジネスパーソン、国策の意思決定に関心がある方に、関連すると思います。

*なぜ、世界で日銀ETF買いが注目されているのか?

 実は、一国の中央銀行が株式ETF購入を行うのは、日本銀行だけです。企業が資金を融通する方法には、ざっくりと、銀行借り入れなどの負債や、IPOや公募増資などの株式による調達が存在します。日銀以外の中央銀行は、前者の負債による資金調達の円滑化につながりやすい施策を実行しています。(もちろん、中央銀行が社債を購入するなどして”間接的”に企業の株式調達に好影響をもたらすという事象もあります)。一方で、日銀は負債にも株式にも直接的に影響しうる手法を採択しています。

 下記で紹介しているシンガポール国立大学の先生等の査読前論文では、『日本銀行の株式購入:極端な量的緩和の最終フロンティア』と題して、世界から日銀ETF買いが注目される背景に触れています。それは、世界で日銀だけが株式ETFを購入しているだけでなく、世界の中央銀行が日銀のように株式ETF購入を採択せざるを得ない状況の可能性がゼロではないことを挙げています。実際、マイナス金利導入、格付けが極めて低い社債の購入など、企業の負債側に直接的にアプローチできる手法の余裕度は、低下しているかもしれません。だからこそ、世界の要人や研究者は、世界に先駆けて株式ETFを購入している日銀効果に注目しているとも考えられます。また、今回紹介している論文だけでなく、国内研究者による研究はもちろん海外研究者による査読論文も存在しています。

Ben Charoenwong, Randall Morck, Yupana Wiwattanakantang, "Bank of Japan Equity Purchases: The Final Frontier in Extreme Quantitative Easing" NBER Working Paper No. 25525 Issued in February 2019, Revised in April 2020

*日銀ETF買いによる経済効果は存在するのか?

 上記で紹介している論文では、主に3つについて検証を行っています。① 日銀ETF買いによる株価への影響、②日銀ETF買いによる企業資本への影響③②により企業の設備投資への影響です。対象データは、日銀がETFを購入し始めた2011年から2018年3月で、日銀購入ETF銘柄の平均的な株価や企業行動の検証を行っています。ここで重要なのは、経済学的な手法を用いて因果関係分析を行っていることです。例えば、日銀が購入しているETF銘柄の株価が上昇しても、米国や他国の株価が上昇要因か、その企業の業績要因か、その業界特有の要因か…etc、株価に影響する要素は無数に存在します。そこで、ここでは計量経済学の手法を用いて株価に影響する要素を可能な限りコントロールして、日銀によるETF購入と、そのETF組み込み銘柄との因果関係の検証をしています。

ここでは、日本銀行は日本のGDPの約4%相当の株式ETFを購入するなかで、上記の①②であるETF組み込み企業への株価インパクトや、資本調達に影響はあったものの、③については確認できなかったことが報告されています。資本の調達が起きていても、結局は現金や流動性の高い資産になっていたということです。

なぜ、そうなったのか?それを、私なりの仮説を立てて、現在検証中です。この期間に起きた政策や海外動向が影響しているからこそ、②や③の影響が複雑になっていると考えています。そりゃ、日銀ETF購入だけで企業行動変わるかけないじゃん〜という声もあります。しかし、そうではなく、なぜか?を追究し、本当にそうなのか?を精査することで、より良く政策が行われる土台が出来上がっていくと思うのです。微力ではありますが、検証結果を早くだせるよう精進します!


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崔真淑/さい ますみ



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MBA in Finance。一橋大学院博士在籍。専門はコーポレート・ファイナンス。GNC代表。昭和女子大研究員。フジテレビ『Live News α』、テレビ東京『昼サテ』、NHK、日経CNBC等で経済解説。公式サイトhttp://www.goodnews.jp.net/

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