「広告ってやった方がいいの?」と聞かれたので、パワポでちゃんと説明してみた話。(後編)
知人の社長さんに「うちって、広告とかやった方がいいのかな?小島さん、本職じゃん。教えてよ。」と言われて書き上げたパワポ60枚。
前回の日経COMEMOでは、最初の30枚を紹介した。
ざっと要点のみ紹介すると
・広告とは、マーケティング活動の4Pにおけるプロモーションの1つ
・プロモーションには、大きく広告(AD)と広報(PR)がある
・広告は広告枠に情報を出すこと。広報は非広告枠に情報を出すこと
・人は広告枠にある情報よりも、非広告枠にある情報を求める
・マスメディアの非広告枠はメディアがつくっている。
・ソーシャルメディアの非広告は一般人(身近な人)がつくっている。
・ソーシャルメディアにも広告枠と非広告枠がある
という話だった。
こうやって書いてみると「当たり前」かもしれない。
ただ、こうした予備知識のない社長さんの「うちって、広告とかやった方がいいのかな?」という質問にちゃんと答えるには、必要な前提だった気もする。
では、後編。はじめます。
■広告をやる≠広告枠を買う
後半はこんなスライドからスタートした。
「広告をするか悩む」という言葉は、「広告枠を買うか悩む」という意味ではない(可能性が高い)。
だから僕は社長に聞いてみた。
「社長が自社の情報を出したいのは、A、B、C、Dのどれですか?」
答えはCだった。
僕が用意していた次のスライドもこうだ。
つまり時代はこう変わった。
「広告をしたい」の正体は「もっと一般の人たちのSNSで、ウチの会社のことを話題にしてほしい」だった。
■非広告枠でバズる
・一般人の
・ソーシャルメディアの
・非広告枠
に、載ることが広告になって、モノが売れる。
事例で説明したいが、本職の情報は出せない。
社長とはプライベートな付き合いなので、プライベートな事例で説明した。
僕のこのツイートは2万RTされた。いわゆるバズるという現象が起こり、商品は今も品切れだ。
その影響を数字でみてみよう。
たくさんの人が拡散したこのツイートは、572万回表示された。
僕のツイートは非広告枠だから買うことはできない。
だが購入できる広告枠でよければ、同じように572万回表示させることはできる。
・普通のホットサンドは2枚使うから罪悪感
・うちの商品なら1枚でホットサンドができる
・ほらこんな感じ(完成写真)
この内容が572万回表示されたことで、商品が**個売れたとしたら、同じ内容で広告をつくり、さらに572万回表示させれば、同じような効果が得られるかもしれない。
正確には「広告枠」の情報なので、非広告枠ほどの信頼はない。その分、効果は差し引かれると考える。
「これがソーシャルメディアにおける広告枠の使い方です。」
僕は改めてそう説明した。(もはや色んなところで言われているが)
このように数字でシュミレーションができるのも、デジタル広告の特徴。
この時代から広告の1歩目はデジタル広告になり、初期費用も下がり、(テレビCMも含めて)効果も見えやすくなった。
そういった意味で、広告をやるハードルは大幅に低くなったと言えるだろう。
■バズの法則と、広告をやるタイミング
こんな具合に、広告ビジネスの変化。最近の潮流などの一般論を説明した後は、いよいよ個別の話。
で、「うちは広告をやった方がいいのか?」という当初の相談に戻りたいのだが、最後の前置きとして「先ほどの投稿がなぜバズったのか」について話した。
ポイントは掲載場所とその順番だ。
もし先ほどの商品が、既に他の場所で掲載されていたらどうだろう。
Aで掲載済み → もうみんな知ってるからバズらない
Bで掲載済み → マスメディアで広告するほどの大企業の商品だから「発見感」が生まれずバズらない
Dで掲載済み → 何度も表示されている情報だから「どうせみんな知ってるだろう」と思われてバズらない
と、どんなに良質な情報でも「既出感」がある情報が話題になることはないだろう。
つまり大切なのは、どこの順番で情報が拡がっていくかだ。僕はこれを「誠実な拡がり方」と呼んでいる。
大切なのは「この情報を自分のSNSの非広告枠に載せたい」と思った人がいること。
この人数が徐々に増えたり、先ほどのように拡散すれば、今度はマスメディアの非広告枠(テレビ番組や雑誌の特集など)に掲載されることになるだろう。
たった1人の「自分の非広告枠に載せてもいい」という思いや行動が信頼の土台となるのだ。
僕は広告をはじめる目安として、この信頼の土台があることを重視している。
既に「拡めたい」と思っている生活者がいるのであれば、自らで広める「広告」をする理由としては十分だ。
これを逆に捉えると、こうとも言える。
僕に相談をくれた社長さんの会社は、既にSNSでも話題にされているし、雑誌やテレビで取り上げられた実績もある。
つまり信頼の土台は十分にある。
と、ここまでが60枚のパワポ。
社長は楽しみながら聞いてくれた(と、思う)。
そんなわけで僕の最後のスライドはこちら。
ご清聴、ありがとうございました。
サポートいただけたらグリーンラベルを買います。飲むと筆が進みます。