米国債市場の警戒シグナル

米国債の利回りが大幅に上昇している。10年物国債の利回りは2.5%を上回った。日銀による超長期の日本国債の買い入れ減額に加えて、中国当局が外貨準備での米国債運用を圧縮するとの報道(ブルームバーグ)が、投資家の米国債売りを誘った。

平家が水鳥の羽音に驚くように、米国債市場がこれらの材料に敏感に反応したのは、FRBに続いてECBが金融緩和の出口に動きつつあるなかで、ひょっとすると日銀もといった思惑が出始めたからだ。もうひとつ見逃せないのは、昨年末に決まったトランプ減税による米国の財政収支の悪化。米国債が増発される分、買い手が見当たらないと、利回りは上昇する。

債券市場の乱は、減税のいいとこ取りに対する、市場からの警告といえる。警告といえば、中国による米国債運用の圧縮観測の裏には、米中間の通商摩擦がある。トランプ政権は中国に対し、保護貿易的な措置をちらつかせるが、対する中国にとって米国債売りの恫喝は、最大の対抗手段となる。

ともあれ米国債市場の乱は、適温相場のぬるま湯につかり、米経済の問題点から目を背けようとしていた市場参加者に対する目覚まし時計でるといえる。かつて言われた債券自警団は健在のようだ。

 

https://www.ft.com/content/6df4173e-f591-11e7-8715-e94187b3017e

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