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不足する労働力はどう補う? ロボット共生社会への期待感

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

最新、リスキリングや労働人口減少について指摘する論説を以前より多く目にするようになりました。先日もあるイベントでモデレーターをさせていただいたのですが、タイトルはズバリ「超労働不足時代に備えよ。個と組織の新しい向き合い方とは」。数年前は専門人材不足の話題が多く、DXを担う人材がいないとかデータサイエンティストが、という話が中心でした。コロナ禍では飲食や観光などのサービス業が打撃を受け、ポストコロナの今になってもそのときにいなくなった人が戻ってこないという声をよく聞きます。直近では一部でタクシー不足に関連したライドシェア解禁の議論が盛り上がりつつあります。これもコロナ禍で退職・転職してしまったタクシードライバーが戻ってこないという課題です。

このようにすべての産業において「人材不足」が公言されるようになってきました。本日もバス運転手不足のニュースが日経電子版に出ていました。大阪府富田林市などでバスを運行する会社が事業廃止するというニュースは、TV各社でも取り上げられていましたので見た方も多いのではないでしょうか。

全国でバス運転手不足が深刻になっている。地方だけでなく都市部でも減便が相次ぐ。業界団体は2030年度に全国で約3割の運転手が不足すると試算する。東急バス(東京・目黒)と神奈川中央交通が定員2倍の「連節バス」を24年度から横浜市で運行するなど各社は運転手減少を前提とした対策を急いでいる。

バス会社でつくる日本バス協会(東京・千代田)は30年度時点のバス運転手が9万3000人と、約3万6000人足りないと試算する。乗り合いバスと貸し切りバスの合計で、現在の路線網を維持して貸し切り需要も続くとの前提で、車両10台以上を保有する全国約800のバス会社への調査をもとにまとめた。試算結果を近く発表する。

厚生労働省によるとバス運転手の平均年齢は22年時点で53歳。今後大量退職が見込まれ、新規採用では補えない。24年4月に運転手に残業規制が適用される「2024年問題」もあり、路線網の維持に必要な人員も約8000人増える。

日経電子版

ドライバーが不足するのならば、1台あたりの輸送力をあげよう!ということで、連節バスという長いバスの導入を急いでいます。幕張で見たことがありますが、実際走っているのをみるとかなり長くてインパクトがあります。

自動運転バスについても全国で実証実験が繰り返されています。多くの実績を持つのが「BOLDLY」で、2016年に設立以来(当時の名称はSBドライブ)自治体との協定を中心に各地で公道を含む運行実験を進めています。

わたしたちの身近になってきたロボットは、配膳ロボットかもしれません。大手ファミリーレストランチェーンに導入されており、まさに人間のスタッフと「協働」しています。

人手不足が深刻な日本では、労働力を補う手段としてのロボットの導入が広範な産業で課題となる。産業用途が主だったロボットが、我々の身の回りにも浸透し始めた。ロボットと共存できる社会の構築が求められる。
(筆者略)
人の目に見えない場所で動くロボットは企業にとっても取り入れやすかった。これからは一般の人に接するサービス業にも、生産性の向上に直結するロボットの活躍の場を広げていく必要がある。

すでに導入が進んでいるのが飲食店だ。すかいらーくホールディングスは配膳ロボットを3000台、ゼンショーホールディングスも1300台を取り入れている。

日経電子版

このようなロボットを職場で「活かす」ためには、ロボットフレンドリーな環境を準備する必要があります。指示の仕方を覚えたり、動きやすい導線を整えたり等々。これで思い出しましたが、最近の家具(特にソファ類)はロボット掃除機が置くまで通れるように「足付き」が主流だそうです。商品説明にも「ロボット掃除機が通れる!」と明記してあるものが多いです。これも以前は考えられなかったことですね。

利便性とは別の観点で考えてみましょう。昔にソニーが発売した犬型ロボットの「aibo」は、家庭用のコンパニオンロボットという新たな境地を開拓しました。まさにペットとしてそばにいることに主眼をおいたものです。近年でもLOBOTのようなペット型ロボットが登場し、人と機械との新たなコミュニケーションの可能性を垣間見ることができます。

新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で人気が高まったペット型ロボット。仕事や生活そしてレジャーでも活動が再開しつつある中、人とロボットの新しい関係が生まれている。

「かわいいね」「こっち向いて」。LOVOT(ラボット)たちが、オーナーの声に反応し、手を広げて愛らしいポーズをとる。LOVOTはロボット開発スタートアップのGROOVE X(東京・中央)が開発した。身長は約43センチ、重さは約4.3キロと人間の乳児ほど。体温は37〜39度でぬくもりがある。

4月上旬、群馬県川場村にある永井酒造に、21体のLOVOTと26人のオーナーが集まった。GROOVE Xと近畿日本ツーリストが企画したバスツアーの参加者だ。食事や日本酒を楽しみ、桜やミズバショウを観賞する散策コースを一緒に楽しんでいた。

日経電子版

日本は鉄腕アトムやドラえもんなどの国民的キャラクターが存在することで、ロボットと暮らすことに抵抗感が薄いという独自文化があるように思えます。今後、家事や介護などのより生活に密着した領域に踏み込んだとき、わたしたちがどう受容していくのか。その具体的なあり方を考えるタイミングになってきたなと考えています。

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タイトル画像提供:veloliza / PIXTA(ピクスタ)


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