ブレグジットも忘れずに!

世界中がアフターコロナを考えながら、あたふたしている状況にある。しかし、コロナショックなかりせば、明らかに重要な時期を迎えているブレグジットへの関心が低いのが気になる。

そうはいえ、重要な日程が近づけば、ブレグジット関連のニュースフローに対する市場の感応度はさすがに高まってくるであろうとは考えている。英国とEUの交渉は5月11-15日に終わったばかり。残る予定としては、6月1-5日に実施される他、6月には進捗状況を評価する会合が開かれる。移行期間を延長するか否かを決定する期限は7月1日に迫っている。

EU離脱の是非を問う国民投票以降これまでのBrexit関連の期限と政治動向に対する反応を見ると、重要イベントの後の5日間の平均で対ユーロでは0.88%、対ドルでは1.00%変動し、変動幅はそれぞれ▲2.0%-+2.4%、▲2.5%-+1.9%であった。最も極端な動きが起きたのは、2019年12月13日。英国の総選挙で保守党が勝利したときだが、ボリス・ジョンソン氏が保守党党首および首相として選出された2019年7月23日の動きも大きかった。来る7月1日の期限は、ブレグジットプロセスにおけるこれらのイベントよりも重大とは言わないまでも、同じくらい大きな意味を持つものになる(はずである)。

7月1日に移行期間の延長が合意されるか、それとも期限が過ぎて最終的に12月の「クリフエッジ型離脱」に至る可能性が残されるかのいずれかとなる。各国コロナ対策を優先するのは致し方ないこととしても、準備が行き届かないまま、ハードブレグジットを迎えることがリスクとならないとすれば、金融市場は不感症にも程があるということになる。現時点では各国のセーフティネットがそれぞれの国のデフォルトリスクを軽減しているとしても、クロスボーダーのリスクまで支えているものなど存在していないから、だ。


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