見出し画像

円安悪玉論の誤解

円安加速でどうなる 桜田謙悟さんらとThink!: 日本経済新聞 (nikkei.com)

円安はマクロ経済全体で見るとメリットの方が大きいといえるでしょう。事実、マクロ計量モデルをみると、内閣府や日銀等の全てのモデルで円安が実質GDPの増加に寄与しています。円安は国内で生み出される付加価値の競争力を高め、所得の押し上げ要因になるからです。

むしろ、日銀の金融政策を変更して円高に向かえば、製造業の海外進出や雇用の減少で、国内産業の空洞化につながる可能性があります。そもそもデフレギャップが大幅マイナスであることからすれば、需要を拡大するために緩和的な金融環境を維持することが必要といえるでしょう。足元の輸入物価上昇の為替要因は1/4程度に過ぎません。日本経済にとって打撃なのは、円安よりも輸入品そのものの値上がり、中でもエネルギー価格の高騰が大きいといえます。

円安により連結決算で企業業績が良くなれば株価が上昇し、設備投資や雇用が増えることで国内にも良い影響が出ることはアベノミクスで証明済みです。実際、内閣府のマクロ計量モデルを見ても、円安は個人消費にとっても2年目からはプラスになっています。外需の面だけで円安について議論するのは不十分といえるでしょう。

2013年のアベノミクス以降、円安のメリットは輸出増よりも企業の設備投資の増加のほうが大きいといえるでしょう。新型コロナウイルス前までは円安が株高をもたらし、企業の期待収益率が向上しました。株価と設備投資額の連動性は高く、株高を通じて設備投資が増え、雇用の増加にもつながりました。新型コロナ禍で設備投資は一度落ち込みましたが、その後は円安の進展とともに再び増加傾向にあります。

アベノミクス以降の雇用増加は円安の恩恵を受けやすい製造業で増えたことからすれば、円安が大きく貢献したのは明らかです。輸入物価の上昇については金融政策ではなく、減税や石油元売り会社への補助金の適用条件を拡大する等の財政政策で対応すべきでしょう。

なお、一部で日本売りとの指摘もありますが、円安の裏で株価も上昇してますし、日本国債格付け見通しが上方修正されていることからしても、日本売り的な円安ではないでしょう。日本経済を正常化に近づけるために必要なことはデフレギャップを一刻も早く解消することです。これを実現するためにも円が割安な状況を維持して国内で生み出される財やサービスの国際競争力を高め、国内所得を増やす必要があるといえるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?