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homework + housework 〜生産性を高める組織のための「家(仕)事のすゝめ」

お疲れさまです。uni'que若宮です。

日経COMEMOの日経新聞との連動企画で「#リモートワークで成果を出す組織とは」というお題が出ているので今日はそんなお話を。

「リモートワークで成果」というお題からするとちょっと意外かもしれませんが、この記事のテーマは「家事」です。

先日LinkedInとfacebookでこんな投稿をしたところ、予想以上に多くの反応やコメントを頂きました。

僕自身はもともとが「出社」という概念がほとんどない仕事のスタイルなのであまり感じなかったのですが、コロナ禍に急激にリモートワークにシフトした人たちからは「Zoom疲れ」なんて言葉も聞きます。そんな時、実は合間に家事をするととてもリフレッシュして、仕事の生産性があがるんですよ、というのを実体験ベースで書きたいとおもいます。

「家事で仕事の生産性があがる」?本当でしょうか?そしてもしそれが本当なら、それを「仕事術」としてどう取り入れていくべきなのでしょうか?

「リモートワーク」?いいえ、「ホームワーク」です

コロナ禍は「リモートワーク」を確かに推進しましたが、働き方の変化という意味では「リモートワークへのシフト」以上のものがあったと考えています。

それは、「リモート」を超えた、「ホームワーク」への変化です。

先日の、Tokyo Work Design Week総帥の横 石 崇さんとのトークでも

これから「ホームワーク」という概念が変わる、という話をスニーカーの中からしたのですが、「homework」というのは今のところ「宿題」という意味に訳されますよね。仕事や勉強がオフィスや学校で終わらなかった時に「持ち帰る」というようなニュアンスがあります。

でも、よくよく考えると、「homework」が「持ち帰り」という意味になるのはworkは「外」でするもの、という前提ができたからで、それって産業革命によって「オフィス」という「外の仕事場」が当たり前になった後のことなのですよね。

オフィスはどこか「外」にあるという前提なので、家で仕事する方が「リモート(オフィスから離れた)ワーク」なわけですが、「家で仕事する」方が当たり前であればこれは逆転し、むしろオフィスにいくほうが「リモートワーク」になるかもしれません。

その意味での「ホームワーク」というのは「宿題」ではなく「家仕事」です。暮らしに近い分移動コストが低く、(上手くマネジメントできれば)ストレスも少ない。スポーツゲームの「ホーム戦」のように「本拠地」での仕事のほうがむしろ生産性が高い仕事ができる可能性をもっています。

しかしそのために一つ大事なポイントがあります。「ホームワーク」が主戦場になると、当然ながら「家事」や「暮らし」との付き合い方が重要になってくるのです。

家事でリフレッシュできる?

有名な経営者の中にも「家事」を取り入れている人たちがいます。Microsoftのビル・ゲイツもAmazonのジェフ・ベゾスも「皿洗い」が好きだそうです。とくにベゾズは「私がすることの中で最もセクシーなことだと確信している」とすら言っています。気候変動問題がセクシーといった方がいましたが、皿洗いだってセクシーなのです。一日の終りにルーティーンとして行うことで心の安定が得られる効果があります。

世の中には「マインドフルネス皿洗い」というパワーワードもあるようで、

ところで食器洗いをしっかり集中して行うことでインスピレーションが湧いたり、ストレスが著しく下がったという研究結果もあります(1)。フロリダ州立大学が行ったもので、51人の生徒たちに皿を洗わせました。
(中略)説明書きを読んでしっかり集中して皿洗いをした人たちは、インスピレーションが25%高まり、ストレス値が27%下がったといいます。これは瞑想で得られると期待される効果でもありますね。その一方で単なる皿洗いとして特に意識せず行った人はなんの効果も得られなかったのだそうです。

皿洗いだけを意識し集中することで、マインドフルネス的な効果が得られるのだそうです。

ただ、僕の場合はこれとはちょっとちがって、実はそんなに「皿洗いだけ」に集中してはいません。どちらかというと「ながら」な感じで、家事をしながら頭にふわふわと結構色んな事を考えています。

なんならCOMEMOの記事は、家事をしている時にほぼほぼ頭の中で出来てしまいます。この記事もそうですが、実際に書く時はそれをタイプするだけなので、1時間で3千字くらいびゃっと書けてしまいます。書き留めないのであまり複雑なことは覚えておけませんが、そのおかげでむしろポイントが明確になる効果もあります。忘れてしまうことは枝葉であることが多いからです。

これ、以前は通勤(それも電車ではなく徒歩で移動している時)や散歩している時にしていたことでした。なんというか「単純な体の動かし方」をしていると、雑音が放電されて心が凪いでぽかんとした開かれた集中状態になり、ぽっといいアイディアが浮かぶのです。

それが今は「家事」をしている時に起こります。ホームワークをしてみて「通勤時間も実は大事だった」ということに気づいた方も多いと思いますが、「家事」が、リモートワークで減った「通勤」の代わりになるのです。

とはいえ、身体を動かせば何でもそういう効果があるかというと、たとえばサッカーをしている時にはそういう感覚にはあまりなりません。「通勤」や「散歩」と「家事」の共通点を考えると、特徴としては以下の2点があると良いようです。

1) 同じような作業のルーティーンである
2)(自分が意図せずに)変化が起こる

ほぼ考えずとも延々とできてしまうような同様の作業であり、変わらないように見えてもちょっとずつ変化する。水が流れたり少しずつキレイになったり、景色が変化したり、そういう状態がいいようです。

過覚醒とレジリエンスゾーン

『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室』という本をお読みになった方もいらっしゃるでしょうか?アート思考に通ずる部分も多く、とても分かりやすく「自分との付き合い方」を教えてくれる名著ですが、この中に「過覚醒」という言葉が出てきます。

リモートワークやホームワークで起こりがちなのが、休憩なくミーティングが詰め込まれること。食事やトイレ時間すらなくなってしまっている方もいます。そしてオンラインミーティングでは「議題を明確にする」ことが良いとされ、わざわざカット・インして発言をしなければいけないので「雑談」が減りがちで、より集中度が高くなります。そうすると「効率」は高まってくるのですが、同時に「過覚醒」状態になってくる。これがZoom疲れの一つの原因ではないかとおもいます。

「効率」があがるので「生産性」も高まるように錯覚するのですが、セルフマネジメント観点では、「過覚醒」になるとパフォーマンスがむしろ落ちるのです。そういうときはすこし弛緩させて「レジリエンスゾーン」にする方がいい。同書より引用します。

[レジリエンス·ゾーン]
交感神経と副交感神経が最適なバランスにある状態です[図表 B]。レジリエン
スとは、何かうまくいかないことが起こったときや、傷ついたり失敗したりした
ときに、そこから立ち直って元の状態に戻る力のことです。(中略)このゾーンの中にいるとき、わたしたちは自分自身をうまく扱うことができます。好奇心に満ちて、適応力があり、自分をコントロールできている状態です。

「家事」は「リモートワーク」で陥りがちな「過覚醒」を鎮静化させ、レジリエンスゾーンに戻してくれる効果があるのです。

「狩猟採集」と「農耕」

仕事では成「果」が求められますが、「効率」に囚われすぎると、「より短期的な成果」を求めるようになっています。これは例えるなら「狩猟採集」のようなものです。「獲得目標」という言葉が使われるように、「果実」を探し、それを「get」する。これこそが産業革命以降の近代的な「仕事」のマインドセットだといってもいいかもしれません。

一方、「家事」はこの反対で「get」という感じはありません。「housekeeping」といわれるようにどちらかというと「維持」したり、「育児」のように「育てる」ような感覚です。

通常の仕事が「get型」の「狩猟採集生活」だとするなら、「家事」は「maintain型(維持する、養う)」のworkであり「農耕生活」に近い、といってもいいかもしれません。(小さいお子さんをお持ちの方からは「農耕なんてぬるいもんじゃあねえ!生きるか死ぬか、一瞬でも気を抜いたら死ぬ、家事は戦じゃ!!!」という声もありそうですが笑)

さきほど、散歩と家事の共通点として「ルーティン」を挙げましたが、これとも近い感覚があります。「農耕」は日々同じことを繰り返すような感じで、成果はより長期的であり、やったことからすぐ「なにかを得た」という感覚は少ないからです。

しかし、みんなが山の果物をただただ採っていくとそのうちに果実が枯渇し、なくなってしまうように、「成果主義」には「消費」的なところがあります。そこに「農耕」的な「maintain」があることで果実を育て、心のMP(マジックポイント)をじわっと増やすことができるのです。

大事なのはバランス

「働き方改革」や「生産性」というと「提供価値/労働時間」の分母を減らす話ばかりで、どうも「効率性」や「短期的成果」を重視することになりがちです。

「効率化」は「工場」のパラダイムにおいては非常に有効でしたが、創造性が求められる「アート」のパラダイムにおいては、価値を生み出すことができずむしろ「生産性」が低くなるリスクがあります。

これまで、「仕事」というと「外」でするもので、家事は「仕事」の邪魔のように思われてきたところもありますし、男女間で役割分担が暗黙の前提となってしまっているバイアスもありました。狩猟的な「仕事」をする人はひたすらに「仕事」をし、「家事」をするひとはひたすら農耕的な「家事」をしてきた。

しかし、これからの時代の仕事はこれまで以上に「家仕事homework」になり、そしてその生産性を高めるために「家事housework」も必要になると僕は考えます。どちらかだけでなく、両方のバランスが大事。

早い企業はすでにそういうシフトを始めています。

家族が離ればなれになることは、少子化の遠因ともなっている。単身赴任の見直しは、「ニュー・ノーマル(新常態)」におけるワークライフバランスや男女の役割分担など、家族の形を再定義する端緒ともなりそうだ。

とはいえ、多くの企業では「リモートワーク」や「ホームワーク」を推奨していても、日勤帯に「家事をするのが仕事の一環」と捉えられるまでには価値観を転換できていないように思います。「家事」はあくまで「仕事」の中断であり、日勤帯は仕事だけをして、休憩時間や業務終了後に家事をしなさい、と考えている。こういう考え方では「ホームワーク」と「ハウスワーク」の2つのworkの複業シナジーが十分活かせません。

これからは「家事」をむしろ仕事の生産性を高めるために推奨する企業こそが、「#リモートワークで成果を出す組織」になってくるのではないでしょうか。

そしてまたそういう企業が増え男性が「家事」にもっと進出すると、「ハウスワーク」の割合が大きすぎて負担になっていた女性にももっと活躍の機会が増えます。

「家事」こそが、社会全体の生産性を上げる好循環の鍵なのかもしれません。

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東洋経済「すごいベンチャー100」uni'que CEO、 ランサーズタレント社員 (最近の興味)編み物としての建築←コアバリュー、アート思考、新しい働き方、新しい教育 ←DeNAで新規事業 ←NTTドコモで新規事業 ←美学藝術学研究者 ←アート・音楽イベント主催 ←建築士

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