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やはり、デジタルトランスフォーメーションを考えるのは、楽しい

車の定義が変わる

 CES2023で、「AFEELA(アフィーラ)」という新しい車の発表が行われました。この車の体験をした動画が、以下にあるので、まずは、何も考えずに見てください。

映画が始まった

https://www.nikkei.com/video/6318321161112/

最後の方に、上記のコメントが聞こえてくるはずです。このコメントに違和感のある方、期待感のある方、両者居るでしょう。
 古典的な車の定義では、この動画は何も意味がありません。こんなの試乗ではないとおっしゃる方もいるでしょう。なぜかと言えば、搭載しているエンジンのような動力のレポートもなければ、椅子の座り心地や、フロントガラスから見た時に、運転しやすい視覚などのかのコメントが一切ないからです。
 一方、この車が、自律走行型のEVであるという車の定義で考えれば、この動画は期待通りのレポートかもしれない。車内の環境や、その他の新しい仕組みの紹介を行っているのですから。

 実は、デジタルトランスフォーメーションとは、ずばり「言葉」の定義の変更なのかもしれないと、気づかされてくれているのが、この動画なのです。「車」が、デジタルトランスフォーメーションして、コンピューターに運転をゆだねる「自律運転」そして「移動時間を運転時間でなくする」というトランスフォーメーションにより、「過去」に車の定義と、まったく異なる「車」が生まれているのである。

車のスペックが変わる

 車の定義が変われば、車の説明をするスペックの項目も変わります。

ソニー・ホンダのEVは一定の条件下で運転が不要になる「レベル3」の自動運転機能を搭載する。45個のカメラやセンサーを車内外に搭載する。そのため高性能な半導体が必要で演算性能は800TOPS(毎秒800兆回)以上にする方針を示していた。車載SoC(システム・オン・チップ)は米クアルコム社製を採用することも明らかにした。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC300LA0Q2A231C2000000/

 この何気ない1段落は、私にとっては驚きの段落です。車のスペックが、「カメラ」「センサー」「演算性能」で語られているからです。旧来の「馬力」「燃費」などでは、この車は語られていないのです。
 そして、以前なら「エンジン・メーカー」が重要な項目ですが、ここでは、「チップ」のメーカーが重要な項目に変わっています。
 

デジタルトランスフォーメーションは「夢」

 このように整理すると、デジタルトランスフォーメーションとは、「創造」であり、「夢」を実現することではないでしょうか。「夢」なので、過去の経験に縛られることはありません。
 例えば、多くのサラリーマンは、給与を月給でもらっていますが、デジタルトランスフォーメーションすれば、週給も、日給も容易に実現できるはずです。これは「給与」の定義の変更です。
 勤務もそうかもしれません。なぜか、「勤務」=「出勤」ですが、「勤務」=「成果」と定義を、本当に明確にすれば、時間計算型の勤務管理でない「勤務」がもっと多くの職場で採用されるかもしれません。
 CESのような将来の製品を数多く発表される展示会や、カンファレンスには、このように私たちの夢のヒントがあるのです。そして、それは、デジタルトランスフォーメーションの入り口なのでしょう。
 


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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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