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行動制限延長を繰り返す日本

新型コロナ: 「もう行動制限できない」 コロナ共生へ開国進める世界: 日本経済新聞 (nikkei.com)

政府は、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受け、今月6日を期限として蔓延防止等重点措置を適用している31都道府県のうち、首都圏、中京圏、関西圏を中心に期限を延長する方向で調整に入りました。

こうした中、米国ではオミクロン株の影響が弱まったことで、2月の総合PMIが大幅に上昇しています。欧州でも行動制限緩和が進んだこと等を追い風に、2月のユーロ圏総合PMIが大幅に上昇しています。

対照的なのは日本です。オミクロン株の感染拡大に伴う消費者のリスク回避姿勢継続等からサービス産業の悪化が続く結果、日本の総合PMIは主要国で唯一大幅に分岐点の50を下回っています。

このように、有事における医療提供体制の構築が遅れ、慎重な国民性の日本経済を正常化に近づけるには、諸外国以上に希望者に対するワクチンのブースター接種の必要性が高まります。しかし、人口当たりのワクチンブースター接種率の国際比較をすると、日本の接種率が圧倒的に低いことがわかります。行動制限が延長される一方で、ブースター接種率が圧倒的に遅いとなると、日本経済の回復が諸外国に比べて大幅に遅れ続ける可能性が高いでしょう。

にもかかわらず、欧米中心に経済政策が出口に向かうことで、日本でも経済政策を出口に向かわせる議論が高まってます。しかし、欧米経済と違って経済の正常化から程遠いのに経済政策の出口に向かうと、日本経済は正常化に向かうチャンスを失うことになりかねません。

多くの先進国ではサービス産業が回復しているのに対し、先進国にもかかわらず有事の医療提供体制が脆弱な日本では、行動制限の延長が続いています。そのため、他の先進国はコロナショックから脱しているのに、日本はコロナショックから脱却できていません。このままでは、世界経済は多くの先進国が正常化に近づく一方で、行動制限緩和が遅れる日本経済の回復が遅れるK字型回復が続くことが予想されます。

コロナショックは移動や接触需要を急激にシュリンクさせたことで業種や産業間でK字型回復をもたらしましたが、有事における医療提供体制の格差により、国間でのK字型回復が続くでしょう。特に日本は、先進国の中で数少ない行動制限を延長している国であることから、他の先進国に比べて経済の正常化が大幅に遅れることになるでしょう。

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