荒川和久/「結婚滅亡」著者
結婚は「坂の上の雲」ではない。
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結婚は「坂の上の雲」ではない。

荒川和久/「結婚滅亡」著者

前々から言っていて、拙著「ソロエコノミーの襲来」でも「結婚滅亡」でも東洋経済の連載でも、それこそCOMEMOでも書いていますが、世界は全体的に人口減少になるし、人口14億人の中国でさえ2100年には半分の7億人に減ります。

講演などでそれを言っても信じない一流企業の偉いおじさんも多いですが、信じようが信じまいが現実はそうなる。日経の記事でも取り上げられるようになりました。とてもよいことです。

残念ながら、いかに中国というども人口転換メカニズムの前では無力。はっきり言って、人口動態に関して政治は役に立ちません。少子化対策などいくらやっても、効果は一瞬の話でやるだけ無駄です。フランスも北欧も結局全部少子化になっている。

日本は1980年代に実は厚労省の官僚が今に至る少子化を完璧に予言していて、1990年代の推計通りに現在までの出生数はほぼ誤差コンマ何%未満で的中させている。人口動態とはそういうものです。

さすがにマスコミだって知らないわけじゃないのに、毎度「少子化が~」と危機のように大騒ぎするのはそれがPVを稼げるし、政府批判のネタにできるからだけなんですよ。本当にやめてもらいたい。

また、少子化の話になると、すぐ「子育ての充実化を」とか言い出す頓珍漢もいますが、それも何度もいうように一人の母親が産む子どもの数は1980年代と変わっていないのだから無意味。出生数が増えないのは、子どもを産んでいないのではなく、そもそも婚姻が減っていて、母親の数が減っているからだから(←少母化問題)。

本当に子どもの数を増やしたいなら婚姻数を増やさないと無理なんだが、もう婚姻数は増えません。第三次ベビーブームが起きなかった時点で今後結婚適齢期人口は減るばかりなのだから。

中国もそれには気づいていて(中国の婚姻率減少も今ヤバい)、焦って日本の結納金にあたるいわゆる「彩礼銭」の撤廃などもやっていますが、もう焼石に水。

なぜ婚姻が減るのか?

日本もそうですが、中国でも、もう「結婚は贅沢な消費」になりつつあるからです。言い換えれば、金に余裕のある者だけができるものになっている。

だからって、何が問題なの?と思うわけです。

別に、奴隷の強制結婚じゃあるまいし、結婚するもしないも、子を産むも産まないも、たかたが選択肢のひとつにすぎない。日本でいえば、明治民法以降のたかだか100年の皆婚時代が異常だったに過ぎない。

にも関わらず、「結婚したいのにできない」と悩む男女が多い。すごい残酷なことをいうと、多分現在結婚している方は半数以上がそもそも結婚したいとは思っていなかった。成り行きというか、そういう流れで結婚している。

未婚者で結婚希望のある男は4割です。有配偶率は6割です。4割の結婚願望者全員が結婚できるわけではない。有配偶6割のうち半分の3割は独身自体結婚意欲があったわけではない人。つまり、独身時代から結婚願望ありありな4割のうち、結婚できるのは3割。1割は「したいしたい」と思ってもできない人ということになります。

当たり前ですが、自分ひとりが希望すれば叶うものではないんです、結婚なんて。

以前、8月に雑誌SPAに掲載された「中年婚活のリアル」という特集が五月雨式にネットに公開されています。婚活に四苦八苦する中年男性のたくさんの事例が掲載されています。

その中でこういうものがあります。

結婚は人生の宿題…。

そんなことないんですよ。する人はするだけの話。誰しも結婚する自由はありますが、誰もが結婚しないといけないという義務はありません。また、それには相応の能力も必要です。すべきじゃない人がしても悲劇が起きるだけです。タイミングもあります。

司馬遼太郎の小説に「坂の上の雲」というものがあります。日清・日露戦争を経て、日本が西欧列強と肩を並べるようになった時代の話です。

この小説自体はとてもよい話です。しかし、このタイトルに込められた思いを勘違いしないでいただいたほうがよいかと思います。富国強兵を目指して突き進んだ当時の日本のほんの40年先には敗戦があります。

坂の上の雲を目標として進むのは前向きでともいえるでしょう。坂の上に到達したら何かとつてもない未来があると信じたい気持ちもわかります。が、その坂の上に行ったらそこには何も見えない霧があるだけです。雲という実体はそこにはない。

結婚とは、坂の上にあるものではなく、坂の途中の道そのものです。それに気づいた人は、路傍の花を愛で、行きかう人と交流し、坂の途中でいつのまにか結婚しているもんなんじゃないですかね。

結婚を進学や就職と同じように考えている人はむしろ結婚すべきじゃないのかもしれません。そもそも僕自身が「婚活」という言葉は嫌いだし、そんな言葉があるからそれによって苦しむ人も出てくるんじゃないか、と思っている。

同じ号で、僕自身もインタビュー記事を載せています。それもヤフー記事になりました。言ってることは毎度同じですが、ヤフコメが1077件もくるほど盛況でした。

フォーカシングイリュージョンという言葉をご紹介してますが、これは男女に限る話ではなく、「寂しいから結婚したい」といって結婚しても「結婚したからといって心の寂しさが解決するわけではない」という話です。

生涯独身を推奨するものでも結婚を否定するつもりもありません。結婚によって人生観が変わる方もいるでしょう。が、それは結婚という状態によってではなく結婚によって生じた関係性への適応であり、新たな認識によるものです。

結婚それ自体の目的化は不幸を招く。逆にいえば未婚男性の不幸度が高いからといって、未婚の状態が不幸の元凶ではないということです。

いつも言ってる「状態依存にならない」ようにしましょうという話ですね。

いい学校に入れば…、いい会社に入れば…、金さえ稼げるようになれば…、結婚すれば…、全部状態依存という病気による幻です。

この意味がわかる人は、坂道の途中でもいくつでも、何度でも、刹那の仕合わせを感じることができ、その仕合わせを累積させていくことができることでしょう。わからない人は、永遠に「独りよがりな幻の幸せ」に執着した挙句、苦しいだけの人生に終わる。ご苦労様です。

仕合わせと幸せの違いは、こちらの記事を再度お読みください。

仕合わせについてはこちらの本でも詳しく書いています。


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荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。

荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。