失敗に対する文化を「切腹型」から「学び型」に変えることで日本の再成長を
こんにちは、リデザインワーク代表&ベーシックCOOの林です!
大手企業や、官公庁の経営改革やDX、組織風土改革などをテーマにコンサルティングや実務支援をさせていただいている中で、根幹から変える必要があると感じたテーマについて書かせていただきます。
それは、失敗に対する文化(風土)です。
新たな挑戦の失敗にせよ、通常業務の失敗にせよ、日本の多くの組織には、無自覚的に失敗に対して「切腹型」の文化が根付いていると思います。
失敗に対して「切腹型」の文化とは
多くの組織では、何かの挑戦(通常業務も含む)に対して、うまくいかなかったとき、失敗した際に、最初に出てくる質問は、「誰の責任なんだ」です。新しいプロジェクトや、計画の未達成、何かのリスクが顕在化した際、議論の最初の論点は「誰」なのかから始まります。
次に来るのは、「責任はどのように取らせるのか」という「責任」論点が出てきます。降格、異動、謝罪などの検討が走ります。
そして、さらに根深い問題は、この失敗に対する文化・風土が組織に、場合によっては日本全体に深く浸透しているため、うまくいかなかった、失敗してしまったと感じた本人や責任者が、「私の責任です。責任を取らせていただきます。」という切腹型のコメントを出すこともよくあります。人のせいにしない、自責の美学を感じる方も多いのではないでしょうか。
では、これらの問題は何なんでしょうか?
失敗に対して、「誰がどう責任をとるのか」が主論点の切腹型の組織では、全然学びが無いという事が問題なのです。
このような失敗に対する考え方の組織では、誰がどう責任を取るのかという論点が主となり、その論点が片付くと、議論が収束してしまっています。
失敗からの学びが薄く、また、リスクを冒して挑戦した人が切腹をするという事になり、挑戦すること自体が人・組織にとってリスクとなっていき、硬直化した組織となっています。
結果、新しいことが中々始められず、そのような組織で長く育った人達は、失敗すると切腹することになることを知っているので、良かれと思って、挑戦や変化を促そうとする人に対して、あれがリスクだ、これが気になると言い続けてくれます。失敗を減らすことが価値だという減点方式が知らず知らずのうちに深く根付いているのです。
その影響も大きいと思いますが、IMDの世界競争力ランキングで、日本は起業家精神と企業の順応性の2つが63カ国中、最下位となっています。アフリカ諸国、ベネズエラ、モンゴルといった国より下になってしまっています。
失敗に対して「学び型」の文化とは
切腹型に対して、学び型では、失敗に対して、最初に問うべきは、「どのような学びがあったか、今後どのように活かしていくのか」です。
成功から学べることももちろんありますが、失敗は、成功よりも共通項を抜き出しやすいとも思っており、学びを多く得られる重要な機会だと捉えることが重要です。
そう考えれば、より多くの挑戦・変化を狙い、たくさん失敗し、他の組織よりも、他の人よりも学びを多くすることがますます重要になると思います。
例えば、リクルートも最初のころはM&Aや自前展開での海外展開がうまくいきませんでした。
その際に、M&Aによる海外展開を主導した人に切腹してもらうのではなく、何が海外展開における学びか、次にどう活かすのか?が経営アジェンダとなり、活発に議論されました。結果的に、無理に日本のやり方や経営を海外に輸出するのではなく、現地でのローカライズを優先して経営をすること、無理にPMIをしないことに挑戦することにし、結果現在のような海外展開につながっています。
最後に
株式会社ベーシックでも、学びの価値が非常に重要だと思っているので、
掲げている3つのコンピテンシーの中に、「TRY&LEARN」を置いています。たくさん挑戦し、そこからたくさん学び、進化することを全員で目指しています。
マネジメントは、メンバーの失敗に対して、「そこから何が学べた?」を最初の言葉にして、組織としての挑戦に対する心理的安全性を高めつつ、学び
を最大化することに挑戦しています。
これからの不確実性が高く、適者生存の社会の中で、変わり続けていく、そのためには、失敗から学び続けていく組織文化への変革が非常に重要だと思っています。
「敗軍の将は兵を語らず」に代表されるような私たちの中で慣れ親しんだ価値観もあり、多くの企業の幹部、官公庁の幹部の方にこの話をすると、笑いながら、本当にそうですよね。と話してくださる方も多く、長く続く文化のようなものなので、ご本人たちも無自覚的だったという事のようです。
マスコミや国会のやり取りを見ていても、切腹型を求める文化が根付いているなぁと感じることも多いですが、今後の日本経済の成長のためにも、学び型の文化に変えていきたいですね!
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