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新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹?

 帯状疱疹は水痘(みずぼうそう)と同じウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス:Herpes zoster virus)で起こる皮膚の病気です。「帯状疱疹後神経痛(Postherpetic neuralgia; PHN)」は最も頻度の高い合併症で、この痛みは耐え難い痛みと言われています。このPHNに高い効果を示すワクチンがあることは以前記事にしました。

 この帯状疱疹ですが、新型コロナワクチンとの関連性が示唆される報告が散見されていることをご存じでしょうか?

 オランダからの論文(C S van Dam et al.  Int J Infect Dis. 2021 Oct;111:169-171)によれば、新型コロナワクチンを接種後に帯状疱疹を発症した2症例を報告していますが、その考察の中で各データベースから発症した割合を明記しています。The European Eudra Vigilance Databaseによれば、ファイザー製で4103例(1.3%)、モデルナ製で590例(0.7%)、アストラゼネカ製で2143例(0.6%)ヤンセン製で 59例(0.3%)、The United States Vaccine Adverse Event Report System (VAERS)によればファイザー製で2512例(1.3%)、 モデルナ製で1763例(0.9%)、アストラゼネカ製で302例(0.7%)、The Dutch pharmacovigilance center Larebによればファイザー製で300(0.8%)が報告されています。さらなる分析が必要と提言していますが、この論文以外にも症例ベースでの報告は世界各国で散見されており、単なる偶然とも言い難い現象とも考えられます。

 そもそも帯状疱疹は水ぼうそうに罹患した後は神経の根元に潜伏しており、免疫が低下した状態になると再び増殖して症状を起こします。ワクチン接種後に免疫が低下した状態になっているかの証明は困難ではありますが、ファイザー製ならびにアストラゼネカ製ワクチンの臨床試験において注射後の一過性リンパ球減少が確認されたという報告もあり、帯状疱疹ウイルスの再活性化の可能性が示唆されています。

 その一方で、ファイザー製ワクチンの安全性を評価した論文(Noam Barda, et al. N Engl J Med 2021; 385:1078-1090)の中で新型コロナに罹患した場合とワクチン接種した場合の有害事象の比較検討したデータがあり、実質上はワクチン接種後の有害事象として、リンパ節腫脹、帯状疱疹、虫垂炎、心筋炎などが確認されましたが、心筋炎以外は有意なものではないとの結論に至っています。

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 日本では想像以上のスピードで新型コロナワクチン接種が進みましたが、その反面様々な健康被害、有害事象が報告されました。それぞれの因果関係を証明することはなかなか難しいこととは思いますが、帯状疱疹もその一つとして今後さらなる解析が必要となると思われます。

#日経COMEMO #NIKKEI

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