「安い」を優先せず「文化を作る」を選ぶ勇気
今年も、いろいろなものを買いました。KATALOKoooというオンラインショッププラットフォームを使って、中小規模のブランドや作家さんが、「作りながら売る」を簡単にすることをサポートしているので、「思いを込めて作られたもの」を日々目にしています。
7年前から10,000円以上のものは、直接繋がっている人や企業からしか買わないチャレンジをしているのですが、案外全然できてしまっていて、来年からは金額を下げてみようかと目論んでいます。
安いを優先してると文化は死ぬかもしれない
このチャレンジを始めたのは、「お金を使うなら、自分の仲間に落としたい」と思ったからなんですが、「とにかく安い順」とは真逆の選択だとすぐ気がつきました。買い物は投票だし、応援です。
「安い」だけでものを選んでいくと、時間のかかる技術や、大量生産できないものなんかは選択肢から消えていきますから、文化をつくることからは遠ざかって行きます。
なくなって悔やむのは無責任すぎませんか?
コロナ後、いやその前から、どこぞの飲食店なんかが閉まると「なんで!行きたかった!」という声がたくさん集まりますが、「お前が全然こないからだよ!!!」って話で、前回いつ行った?2年前か…ってそれはそうなります。
それと同じことが文化に対してもいえると思う。例えば、日本のきもの文化。
七五三や成人式のとき、着物でハレの日を。と思う方も多いと思います。次の自分の家族のハレの日まで、その文化を背負っている事業者が居てくれるから、当たり前に続いているような気がしているだけなんですよね。
かく言う私も、冒頭の写真の通り娘と息子の七五三を済ませたばかりで、十数年後、自分の娘がハタチを迎えることになりきものを選べなくなっていたとしたら悲しすぎます。でも、そこで「なんで?着せたかった!」というのはあまりにも無責任です。
じゃあ、今、私たちひとりひとりに何が出来るのかなと思うと、買い物をして投票することなんですが、こと着物に関しては小まめに課金が難しい。どう関わっていけば良いか、なかなか簡単な答えはないようにも思います。
「彼らのハタチは中止できない。」
そんな中、新型コロナウィルスの影響で、各自治体が令和3年の成人式中止を発表しています。
令和3年の新成人112万人、そのご両親の気持ちを考えると胸が詰まるばかりです。きもの業界が成人式中止に向けてのキャンセルの許容を考えると、文化的な文脈も心配になってきます。
新成人当事者でない私たちに、出来ることはないのか…?21歳以上の人たちは、全員過去に新成人だったことがあって、中には当日着物を着て出かけて、今となっては良い思い出になっている人も少なくないはずです。
文化の継続に興味はどれだけ注がれるのか
ところで私、以前きもののやまとさんの取り組みをふとtwitterで紹介した際、バズったことがありまして。
こういうことを、業界最大手がするんだなと、その勇気や想いに感動して書いてみたら、着物を持っている誰かに届けと皆さんの心に刺さったようでした。
そうか、この文化はちゃんとみんなの心にあるんだ。
これは、普段からものづくりに励む人たちのサポートをしている私からすると、大きな励みになりました(弊社のような小規模事業者が大変烏滸がましいのですが)。
では、今回の「彼らのハタチは中止できない」ことについて、協力してくれる仲間を募れないものか。
前回のバズりを盾に(?)、文化を作る選択にみんなで挑戦をすることを、株式会社やまとさんにアタックしてみました。
やまとさんとしては、成人式中止に対して、どうにかアクションが出来ないかを考えられていて、それにしてももう年末に入ってしまうタイミング。
でも、1/11に向けて、札幌市、船橋市、大田区、赤磐市、熊本市をはじめとして中止や延期を発表する各自治体。12/30になって世田谷区も発表がありました。
泣き寝入りするしかないタイミングなのかもしれない、でも…!ということで、大手とは思えない異例の判断で、下記文化の継続を担う仲間を募るクラウドファンディングを始めることにしました。
やろうとしている内容は詳細を見て欲しいです。渾身で言いたいことを詰め込んで大急ぎで書き上げたライティングは本当に読むたびに泣けてくるのですが、これは一方で文化に対する挑戦なんです。
クラウドファンディングでは、「文化に対する挑戦です」とは書いていませんが、提案者としてはそのつもりで立ち上げ(を扇動し)ました。
シンプルに、やまとさんの取り組みとしてのお知らせはこちら。成人式が中止になった都市で、新成人の笑顔を撮影する撮影会を開催する、という内容です。
今回、クラウドファンディングのプラットフォームは、CAMPFIRE内GoodMorningにお世話になることにしました。GoodMorning は、ソーシャルグッドに特化した、社会問題と向き合う人のクラウドファンディングプラットフォームです。特に今回のプロジェクトは、資金を集めたい目的というよりはこの短い日数で、できるだけ多くの人に賛同してもらうために利用させてもらうことにしました。
「応援消費」という言葉を最近よく見かけるようになった。上記記事の中では、劇団四季、チョコレートブランド「Minimal(ミニマル)」、映画「カメラを止めるな!」の製作上映支援プロジェクトの例が挙げられているが、想いがきちんと伝えることができ、読んだ人が自分に関係のある物語だと思ってもらえれば、仲間を集められる。
クラウドファンディングで仲間が増え、ご要望をいただけたら、撮影会をする都市がふえ、皆さんの力で笑顔にできる新成人を増やせるかもしれません。
この数年、文化について日々思ってきたことと、新成人への想いと、老舗企業の取り組みがぶつかったこの10日間でした。
支援をしてくれとは言いません。2021年のはじまりに、「文化」について改めて考えてみてくれる人が1人でも増えたらいいなと切実に思っています。
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・Twitter やってます
https://twitter.com/midorikawasemi