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本は読後の時間が7割 識者に聞くビジネス書の本当の読み方

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

毎月たくさんの新刊が出るビジネス書。本屋に行けば入り口近くには「話題の新書」コーナーがあり、おすすめのビジネス書が平積みされているのを見かけるでしょう。最近では「flier(フライヤー)」のような本の要約サイトや「中田敦彦のYouTube大学」のように動画で人気の本の独自解説をしてくれるコンテンツも人気です。

情報過多の時代と言われて久しいですが、溢れる情報を効率的に選択するためにSNSというフィルターを活用する方も多いでしょう。参考になる意見を持っている方を通すことで、より自分に合ったものが自動的に届くのはたしかに便利です。

一方で、自分でも気づかないうちに周囲が「自分好みの情報にだけ」で構成されてしまう、フィルターバブルと呼ばれる現象も起こります。知らないうちに強いバイアスがかかってしまう原因にもなり、普段から意識して情報と接する必要があります。

私は本業では「LinkedIn(リンクトイン)」というビジネスコミュニティの運営をしているのですが、メンバーの中には非常に高い専門性を持った方もいらっしゃいます。ほぼ毎週金曜日にやっている生放送の対談番組では、そのような方々をゲストに迎えて1つにテーマについて40分間集中的に議論するということをやっています。

本日は「読書の専門家」として、先程紹介した「flier」のアドバイザー兼エバンジェリストでもあり、毎日おすすめの本を紹介してくれるVoicyの番組が人気の荒木博行さんをお招きしました。テーマはずばり「ビジネス書を使いこなす」です。

(動画はログインすると見られます)

日々さまざまな本を読まれている荒木さんによると、読書というのは「読むのに3割、読んだあとに7割」の時間を使うのが理想だとのことです。ビジネス書は軽いものだと数時間くらいで読み終わってしまうこともしばしば。「あー、なんか良いこと言ってたなー」みたい達成感を感じる。よくありますよね。ただ、例えば2週間後に友人から「あの本読んだんでしょ?どんな内容だったかざっくり教えて」と問われたときに回答できるでしょうか?多くの人は「うーーん、なんかいい感じのこと言ってたけど、詳細ちょっと忘れちゃった」となるのではないでしょうか。

つまり、読んだだけで終わってしまってはもったいない。インプットした情報を記憶として定着させたり、実生活に活かせるようになるためにはその後が大事なのです。そのためには「具体から抽象」のプロセスを経る必要があり、そのためには内容をまとめたり、人に伝えたりすることが効果的とのことです。

抽象化するためには、実は知識のストックが大切です。荒木さんは「読書は脳に沈殿物を貯めるような作業」と表現されていました。スノードームのように、ちょっと振ると雪がファッサーと舞うようなもの。その1つ1つがつながっていくことで、情報が知識となり、知識がインテリジェンスへと昇華する。これが抽象化のプロセスなのだと思います。

抽象化とはすなわち、なぜ・つまり・例えばで表現するようなこと。逆説的ではありますが、多くのものに共通する本質を見つけ出すためには、多くの事例を知っていなければならないということでしょう。

また、本には3つのタイプがあるということも指摘されていました。

1. 新たな問いを教えてくれるもの
2. 答えを教えてくれるもの
3. 自身の考えなどを確認できるもの

読む本を選ぶ際には、これらをポートフォリオ化することを心がけているそうです。放っておくと人は(3)の本ばかり読みがちになります。「自分の思っていることは正しかったんだな!」という確認になるからです。ここにばかり偏ってしまうと先程のフィルターバブルのように「心地よい情報」ばかりに囲まれることになります。

おそらく(1)の本を読むことは、非常に骨が折れます。たとえば「神とはなにか?」 のような問いに向き合う本は、たしかに刺激になりますが往々にして内容の半分以上が理解できなかったりします。でも、それでいいのだと思います。時間をかけてでも本質的な問いに対峙している本に触れることで、自分自身に向き合う内省の時間にもなり得ます。読む本の10%くらいはこのような本に割り当てたいものです。

読書の習慣がなかなかつかない、という悩みも多く聞きます。荒木さんがVoicyを毎日続けられているのは、やはり聞いてくれる方がいるというのが理由だと語っていました。習慣化のために人の力と借りるというのはいいですね。読んだ本について簡単なメモでもSNSに発信をしたり、身の回りの人とおすすめの本を月1回でも紹介し合うなどすることで、抽象化と習慣化とを同時に実現できそうです。

みなさんもぜひ読んだ本について、LinkedInやnoteに書いてみてくださいね!

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タイトル画像提供:Kazpon / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI

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