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非日常の空間で五感を研ぎ澄ます会議をもっと取り入れたい。

こんにちは。Funleash志水です。草木が芽吹き、春の訪れを感じるようになりましたね。前回の記事もスキやメッセージをありがとうございます。解雇というセンセーショナルな言葉にドキッとした方もいるかもしれませんが、「よくぞ言ってくれた」「知らなかったことが多く参考になった」というコメントが励みになりました。続編も書きますのでお楽しみに。

さて本日のテーマは「会議」について。日経Comemo「#その会議必要ですか」への寄稿となります。

無駄な会議が多いから何とかしたい・・多くの人が気づいているのになかなか改善されない課題の一つです。日本企業特有の問題のように言われることがありますが、そんなこともないようです。
海外のビジネスパーソンと話していても、「会議の効率化」はしばしば議題にあがります。「生産性の高い会議」というのはグローバルなトピックなんですね。
一方、日本特有というと、直ちにやめた方がいいなと感じるものもたくさんあります。例えば、担当者が変わったから挨拶したいとか、情報交換したいとぞろぞろ大人数で押しかけてくる。・・本当にいただけません。
忘れがちなのですが、会議は参加する人の時間を奪うだけでなく、交通費や人件費(参加人数x報酬)など(見えないけど)お金がかかっています。オンラインであっても時間が投資されていることは変わりません。価値を創出してないのに、これまでやってきたから・・という慣習で続けていて、明確な目的や効果を説明できないような会議は、明日にでも廃止すべきだと思います。
どの会議をやめればいいのか判断に悩む場合には、いったん全部リセット(廃止)し、これがないと支障があると声があがった会議のみ続ける方法もあるでしょう。
どうしても会議を減らせないのなら、いっそのこと会議室そのものをなくしてしまうとか。気づかないうちに増殖する会議。最初は意図があったとしても惰性でやっていないかどうか。定期的に部著やチーム全員で点検して断捨離を試みる。私はいつもやっていますが、意外に効果がありますのでお勧めです。

会議の改善にまつわるテクニックはすでに世の中で流通していて書店やネットで探せばいくらでも手に入ります。下記の記事もそうですが、最近は、コロナ過で一気に普及したウェブ会議の効率を高めるノウハウ本、ツールの活用法、テクニックなどもありますよね。

顧客や周囲の人から実際に下記のような問いをもらうことがあります。

本当に必要な会議と、無駄な会議をどう線引きすればよいのですか?

無駄な会議は無くすべき。これに対して異を唱える人はいないでしょうし、私も廃止派なのですが、無駄かどうかの線引きは難しい時もあります。
なので私は、「必要か無駄か」というジャッジよりも、「意味あるかないか」という視点を持ちたいと考えています。一見成果や何ら価値を生まないような「無駄っぽい」会議があっても、長い目で見ると時間を投資する価値があるものが存在したりします。

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、組織で働くメンバーの関係性を改善をしたり、多様な価値観を持つ人々の共通理解を深めていくことを「組織開発」と呼びます。参加者全員に自身の姿勢や行動を振り返ってもらい、信頼関係を気づき、共通の目的を達成する。組織開発的なアプローチでは、成果を出すことから始めるのではなく、まずは関係性の質を改善することに重きを置きます。それがより良い結果につながる。ダニエルキムが示す「成功循環モデル」がベースになっています。



ここで、日々の会議を観察してみましょう。

テレワーク普及により移動時間が大幅に短縮したために、オンライン会議の割合が増えました。しかも会議の合間に次々と通知が来るSNSのメッセージやメールの処理をしていると次の会議が始まる時間になり、慌ててズームを起動。日が暮れるころには身体はほとんど動かしていないのになぜだか頭がしびれてクタクタ・・疲労感を感じることがありませんか?これは原因があるのです。情報共有、議論、ブレストなどいろんな目的がある会議ですが、通常のビジネス会議では、目標や数字、締め切り、課題、やるべきアクションなど合理的・論理的な話が中心となりやすいものです。
ある意味、「無味乾燥」で感情や感性という人間が本来持つ能力を使っていないアンバランスさに起因しています。

前述した組織開発的にいうと、実は、会議の目的やアジェンダの良しあしと同様に、会議の「空間」や「場」の力が極めて重要だということが分かっています。参加者が創り出す空間や場というものが、会議の質や成果を左右するといっても過言ではありません。
その事実を理解している先進的な企業が会議室、あるいは社員が集うオフィスの在り方を抜本的に見なおそうとしています。コミュニケーション工場の観点からも納得できますね。



そこに投資するお金がないよ!と言われる方には、実際に私が行っていた方法を紹介します。

Walking Touch Base(歩きながら会議)以前勤務していた会社でアメリカ人の上司とよくやっていたことです。会議でヒートアップしたときにコーヒーを片手に二人でオフィスの周りを歩きながら、あれやこれやいろいろ議論します。アジェンダは決めずに気になっていること、もやもやしていることを思いつくまま自由に話します。歩くことで脳が活性化されるのか、新しい視点やアイデアが出来たり、なかなか進まなかった案件がいっきに決まったりとかなり効果がありました。20-30分の短時間でも効果があるので、上司やメンバーとの 1on1などで取り入れてみてはいかがでしょう。

Off Site Meeting(オフサイト会議)オフィスから離れた場所、海や森、山などの自然が感じられるリモートの場所での会議。役員合宿や管理職の集合研修などに使われますよね。普段仕事をしている場所とは異なる非日常の空間に身を置き、参加者同士で議論をする。参加メンバーの関係性を強化したり、自由闊達な意見を出してチームの創造性を高めるために行ったりしますね。合宿や研修といったフォーマルな時だけではなく、これは都心でも簡単に実施できたりします。
私のチームは、オフィスから近い公園や川のほとりなどに座ってミーティングをしていました。PCやモバイルはオフにして「考える」ことよりも、「感じる」ことに意識を向けます。参加したメンバーからは大変好評でした。議事録がなくても、五感が刺激されるので、その時の光景と話した内容が記憶に残ります。脳が活性化されるのを感じるはずです。

最後はSauna Meeting(サウナミーティング)に挑戦してます。え、サウナ?会社の人とサウナなんてありえないと思われるかもしれません。でも、これ効果があります。心身ともにリラックス状態になるためか、オープンな対話ができるのです。(個人的に最近はまっているサウナの効能についてはまた書きます)
最近は空前のサウナブームで10人程度の貸し切りサウナが急激に増えています。ガウンやポンチョ、Tシャツなどを身に着ければ男女協同で入れる場所もありますので、スポーツ感覚でトライしてみてはいかがでしょうか。海外の映画を見ていると、企業のエグゼクティブがスカッシュをして汗を流し、そのままサウナでビジネスの会話をする・・なんてシーンに出会うことがありますが、あんなイメージです。フィンランドでは、大事な商談をサウナでまとめたなんていうエピソードもあるそうです。
サウナといえば、「整う」という言葉が流行っていますが、心身ともにすっきりすることで、普段話せないような「内面的」な部分も開示できたりするのです。
裸の付き合いができるのは世界でもフィンランドと日本だけと言われています。今後は新たなビジネスシーンの一つとして普及するかもしれませんね。

ここに挙げたのはあくまで例ですが、一つ共通点があります。それは「人間が本来持つ感性みたいなものを研ぎ澄ます」ことができること。豊かな自然の中で五感を鍛えると、感じたことが身体から脳へ伝わり、神経回路が活発になることは脳科学的にも証明されています。
数字や締め切り、アクションなど会議で主に使うのは主に言語やテキスト(文字)です。一方、非日常的な空間で「見る・聴く・感じる」という部分を刺激することで、新たなアイデアが生まれたり、課題の解決策が思いつくことがあると思います。つまり、「考える会議」と同様に「感じる会議」がビジネスに有益なのです。

「生産性」「効率」を重視する会議の重要性は言わずもがなですが、オンライン会議で繋がりの希薄化やコミュニケーション不足に課題を感じがることが増えてきた今だからこそ、新しい会議の在り方模索したいと思います。その意味でも「感情」「感覚」など人間が本来持っている能力を解き放つ「空間」「場」を意図的に演出していくことがこれからは重要になるのではないでしょうか?皆さんはどう思われますか?

アイデアに行き詰まり、思考が止まってしまったりするたびに、訪れる稲村ケ崎の海岸からお届けしました・・