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ハイブリッド型イベントのオン・オフの混ぜ方

コロナ禍において長らくイベントはオンラインのみでの配信をしていましたが、最近ではオンラインとオフラインのハイブリッド型でのイベント開催の機会も少しずつ増えてきました。
その中で、オンラインとオフラインのどちらに比重を置くべきか、何に気をつけるべきなのかを考え、実践したので、現時点で見えているオン・オフの混ぜかたについて今日は書いていきます。

ハイブリッド型イベントとは?

そもそも「ハイブリッド型イベント」とはどういうものなのか。オフラインの会場にも参加者を少人数入れ、オンライン上でも参加可能とする動きは少しずつ増えています。

トークセッションを会場に人を入れつつ、インタラクティブな絡みがない形でオンラインでも配信する形式もハイブリッド型と呼ぶことがありますが、ここでは、イベントを開催時にオフラインつまりイベント会場に参加者がいて、さらにオンライン上にも参加者がいる状態、且つワークショップなどオフライン・オンラインの参加者がインタラクティブに関わる形式をハイブリッド型イベントと定義します。

これまでも、トークイベントなどで実際に会場に参加者がいて、トークの様子をオンライン"でも"配信するケースはありました。しかし多くは、オンライン上の参加者はただ視聴するだけというケースが主流でした。もちろん現在も同様の会場とオンラインの両方の参加を用意するイベントはありますし、イベントが1対nの形式の時などはフィットする場合もあると思います。
ただし、コロナ禍で多くの方がオンラインイベントに参加するようになり、トークイベントの場合でもコメントなどを通じて主催者と参加者がインタラクティブに絡むものも増えているため、ただ視聴するだけというイベント参加体験の場合、満足度が下がるケースも出てくる可能性があると考えています。

オンライン参加者の孤独問題

ハイブリッド型で開催する時に注意すべき点は、「オンライン参加者の孤独」です。
ハイブリッド型のイベントにおいて、イベント会場に集まる参加者、すなわちオフライン参加者は会場にいることもあり、参加者同士や登壇者との距離感はオンライン参加者と比較し圧倒的に近くなります。そうした状況下では、どうしてもオンライン参加者はイベントが自分ごとになりにくくなります。

特にワークショップのグループ分けをする場合に、同じグループにオンライン参加者とオフライン参加者を混ぜるのは危険です。イベント会場はイベントが始まると周りのグループやファシリテーターの声など様々な音が発生します。その状況において、オンライン参加者はオフライン参加者の声を聞き取るのがかなり難しくなります。また、どうしてもオフラインで会場に集まっている人同士の方がコミュニケーションが取りやすいので、会話が盛り上がりオンライン参加者が置き去りになってしまうケースも発生しがちです。

ワークショップのグループにオンライン参加者とオフライン参加者を混ぜる場合は

1. 各グループに両者をつなぐファシリテーション役をしっかり配置する

2. オフライン参加者の声は、基本的にオンライン参加者に届きにくいことを認識し、マイクを使うなどしっかりと配慮する

3. ポストイットを活用してのアイデア出しなどのワークはオンライン参加者の参加方法(Google docを活用など)をしっかり考えておく

といった対応が大切になります。
オフラインの参加者はオフライン同士、オンラインの参加者はオンライン同士でグループを作ることで、コミュニケーション問題を解消するということも一つの選択です。

オンライン中心?オフライン中心?

特にワークショップをハイブリッド型で実施する場合に、オンラインの参加者に重きをおいてファシリテーションをするのか、オフラインで会場にいる参加者に重きをおいてファシリテーションをメインにするのか悩まれる主催者も多いようです。

私自身、いくつかのハイブリッド型のワークショップのファシリテーションをしました。その結果、現時点では「オンライン参加者中心に進行すべき」と考えています。

オンライン参加者:オフライン参加者=6 : 4
くらいでオンライン参加者へのコミュニケーションを多めにファシリテーションすることをオススメします。
具体的には下記のポイントを意識すると良いでしょう。

1. オンライン参加者はオンライン参加者同士でグループを作る

2. オンライン参加者に高い頻度で話してもらう
    - オンライン参加者の声をスピーカーを通じて聴けるようにする
    - アイスブレイクなどでオンライン参加者のグループ内で話した内容を発表してもらう

3 . Zoomのブレイクアウトルームを使う場合は、頻度高くメインルームに戻し、進行を細かく分かりやすく伝える

4. 会場のオフライン参加者に発表してもらった内容は、ファシリテーターが内容を反復し、オンライン参加者にしっかりと伝える

5. 出来る限り会話中心で進められる内容にする (ポストイットや紙への記入などオフライン参加者が優位に動ける内容は少なくする)

可能な限りオンライン参加者の声をイベント会場のオフライン参加者に多めに伝えることで、オンライン・オフラインの参加者の熱量が同様に高まる状況が作れるのです。

また、先日イベントで一緒に登壇した池嶋 亮さんが仰っていたのですが、「オンライン参加者とオフライン参加者の権利をフラットにする」というアプローチも有効だと思います。例えば、オフラインの参加者も含め、質問は全てチャットでするなど、オンライン参加者が動きやすい形式にルールを設定することでオンライン参加者の孤独化を防ぐのです。

まとめ

オンラインの参加者は視覚と聴覚のみでイベントに参加しています。一方で、オフラインの参加者は会場の空気や匂い、周りの人の表情など五感を使ってイベントに参加できます。そもそも得られる情報が少ないオンラインでの参加者を手厚くフォローすることで、オンライン参加者の熱量をしっかり高めることが重要なのです。

オンラインでのイベント参加体験もアップデートが進んでいます。そうしたツール周りで取り入れられるサービスがないかも注目が必要となります。

今後ハイブリッド型のイベントは増えていくでしょう。その中でどのように運営するか様々なチャレンジを今後も続けていきたいと思います。


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