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世代間交流。きっかけはどうする⁈

Z世代とは、10代・20代の幼少期からスマートフォンやSNSに触れて育った「ソーシャルネイティブ世代」と言われている。一見すると相容れない「インクルージョンと個性」を大事にする、「体験」にお金を払うといった特徴に加えて、不況の時代に育ったがゆえの「現実的な感覚」も持ち合わせているという。40代-50代の多くは、こうした若い世代に活躍してもらいたい、場合によっては、役に立ちたいと考えているが、なかなか交流する機会すら持てていないのが実情なのではないだろうか。

とはいえ、40代-50代がいまさらTikTokやSimejiに夢中になれるかといえば、無理ではないと思うが、少し違う気がする。もっと、日常生活の一部となるような場面で自然に交流できるようにはならないだろうか。まず頭に浮かんだのはゲームだ。ゲームをきっかけにすれば良い。現代ではもうTVゲームとは呼ばずに、eスポーツと呼ぶべきだろう。多数のプレーヤーがオンラインで繋がり、同時に楽しむ。昔ではあり得なかった機能が当たり前になっているが、違和感はない。それどころか、「2人ではなくもっと多数で一緒にやりたい」、「もっとリアルな3D画像の中でプレーしたい」といった感情は以前からあったので、実はおじさん達もかなり興味があるはずだ。なので、いきなりハイレベルなところではなく、初心者向けのものから入っていけば、馴染むまでにそう時間がかからない。さらに、オンラインなので年齢を伏せて参加することも可能だ。ある時、「この人強い、凄い」などと話題になった人が、実は「おじさんだった」なんてことも十分あり得ると思う。

富山市のインテックは、コロナ禍で毎年やっていたソフトボール大会ができなくなり、昨年はeスポーツ大会を開催したという。1チーム4人で50チーム以上が参加を表明、若手から役員クラスまで幅広い世代がエントリーした。記事には開催当時の様子は描かれていないが、「これまで目立たなかった若手がチームを引っ張る」、「おじさんが若手から尊敬を勝ち取った」など、日々の仕事の中では見られなかった個性が社内で共有されるきっかけになったのだと思う。もしかしたら、この大会で見つけた社内の最強プレーヤーが集まってチームを組み、週末や夜にeスポーツ大会に出場しているのではないだろうか。

次に浮かんだのは温泉だ。おじさん、Z世代問わず好きなジャンルだと思う。少し調べてみると、身近なところにも面白い温泉が沢山ある。すべてが源泉掛け流しの温泉というわけではないが、「体を洗う以上の価値を提供しようとする経営者たちの姿勢」が沢山のお客さんをひき付けているという。墨田区の「黄金湯」は、風呂上がりの「オリジナルクラフトビール」と「レコード市」と本格サウナ「ロウリュ」が売りだ。おじさんなら思わず行きたくなる組み合わせだ。他にもある。1万2千冊の漫画を置く「立川湯屋敷梅の湯」もスケールがすごい。記事の中にはユニークな取り組みは至る所にあると書かれている。こうした銭湯に対して、若い世代も興味津々だという。銭湯が「身近にある非日常」と写っているようだ。銭湯には、非日常を求めにきたZ世代と、昭和の時代を生きたおじさんとが自然と触れ合う空間があるのは間違いなさそうだ。

おじさんを通り越えて、シニアと呼ばれる人との交流もできそうだ。今、シニアに人気がある習い事は「第二外国語」だという。コロナ禍で海外旅行に行けなくなったシニアが、「海外旅行の解禁までに」を目標に精力的に学習している。学習の相手は日本語を学びたい外国人だ。若い世代からシニアまで様々な相手がいるので、国境や世代を超えた多様な文化を学ぶ機会にもなる。この感覚は間違いなく、日本のZ世代が求めているものだ。海外のZ世代との経験を活かして、Z世代と一緒に外国語を学ぶ機会を設けてもいい。体験した多様な文化をネタにZ世代と話してもいい。化学反応を生むことができるのではないだろうか。

少しハードルは高いが化粧もきっかけにできるかもしれない。というのも、今、男性用の化粧品市場が拡大を続けているのだ。ジェンダーレス市場へと移行している真っ最中だ。男性にもアイシャドーなどメーク用品も売れているという。「自分らしさを表現したい」という美に対する熱心な姿勢が表れているのだ。正に、Z世代の個性の表現なのだと思う。

もちろん、突然おじさんがバリバリのメークをしてきたら、違和感しかない。でも、おじさんだって肌を大事にすべきだ。肌のケアをしながら、個性に気を遣うところを少し真似してみるのも良いと思う。マスク荒れを止めるスキンケアや、少し色のついたリップから始めてみる。眉毛やまつげを整えてみる。若者からは化粧を話題に色々教えてもらえばいい。観察するだけでもいい。「ジロジロみないでよ!」と言われるかどうかはよくわからないが、もし言われたら、「どうやって眉毛は整えればいいの?」と話しかけてみたらどうだろうか。世代間交流を始めるきっかけはなんでもいい。人、社会、地球に優しい未来を築くために、多様性を精一杯活用していきたいと思っている。

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