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みんな大好きポッキーのマーケティングトレース-50年で100億箱を売る力とは?-

本日は、みんな大好き「ポッキー」のマーケティングトレースです!

ポッキーは、商品としては、「プレッツェルにチョコをかけたお菓子」

(失礼)

なぜ、このシンプルな棒状チョコレート菓子が売れ続けているのか?を読み解いていきたいと思います!!

ポッキーの開発秘話
「ポッキ ー 」は 、 1 9 6 6年に誕生 。板チョコ全盛期の時代に、もっと軽いチョコの新商品開発が求められたことがきっかけだった。そこで、スティック状でユニ ークな食べ方が楽しいと人気だった「プリッツ 」の全体に 、チョコレ ートをかけてみた 。しかしそれでは持つところがなく、手が汚れてしまう。そこであえて全体にかけずに持ち手を残すことで問題を解消 。そうして生まれたのが 「チョコテック 」、「ポッキ ー 」の前身となる商品だ。
ブランドのコラボは何をもたらすか ~午後の紅茶×ポッキー が4年続く理由

ちなみに、ポッキーはどこが出しているブランドかご存知でしょうか?

ポッキーは江崎グリコのブランド!

意外とどのメーカーの商品なのか忘れがち・・それだけ商品ブランドの強さが際立っているということですね。

グリコの主要ブランド.001

4P分析:マーケティングミックスで全体像整理

最初に4P分析でポッキーがどんなマーケティング戦略をやっているのかの全体像をお伝えできればと思います。

ポッキーマーケティングトレース.001

ポッキーは、マーケティングミックスを時代のトレンドに合わせて進化させている→ロングセラーになっていることがわかります。

ポッキーって累積何箱売れているか・・・が気になったので調べてみると。

なんと!!!

50年で100億箱!

※2015年時のデータなので、今はもっと積み重なっているはずですね。

ポッキーは、海外でも認知度・好意度も高く、日本が海外に誇る素晴らしいブランドです。

ポッキーの売上傾向

ポッキーの売上状況をグリコのIR決算資料をのぞいて理解してみましょう。

ポッキーマーケティングトレース.003

ポッキーマーケティングトレース.004

ポッキーマーケティングトレース.005


市場環境の大枠を整理すると、国内のお菓子市場規模は微増となっており、チョコレート菓子は全体の伸び率に合わせて拡大しています。

ポッキーマーケティングトレース.002

市場構造は、他のお菓子メーカーとのパイの奪い合いになっている状況ですが、ポッキーがロングセラーとして売れ続けている秘訣はどこにあるのか・・

ここから具体的なマーケティング施策を読み解いていきます!

今回はポッキーのマーケティング戦略の中でも、下記2つに焦点を絞って成功要因の分析をしていきたいと思います。

①記念日マーケティング(11月11日はポッキーの日)※超有名
②コラボレーションマーケティング ※ポッキーファンは楽しみにしてそう

この2つの要素はポッキーがなぜ売れ続けているのか?を考える上でとても大切な要素だと感じています。

①記念日マーケティング(11月11日はポッキーの日)

11月11日はポッキーの日です!

ポッキーは、11月11日の数字の並びからポッキーの商品を連想させ「記念日」を創り出しました。

ちなみに・・・

ポッキーの日は、正式には「ポッキー&プリッツの日」であるそうです。

江崎グリコは11月11日を「ポッキー&プリッツの日」と定め、日本記念日協会(加瀬清志代表)の認定を受けました。 ポッキーとプリッツは、スティック状菓子の代表的な存在。
その形が数字の"1"に似ていることから平成11年11月11日の"1"が6個並ぶおめでたい日にスタートしました。
グリコオフィシャルサイトより

記念日マーケティングとはそもそも 何か?

▼解釈
企業自らが戦略的に記念日を設定し、マーケティングキャンペーンを仕掛けること。日本では平賀源内が仕掛けた土用の丑の日も、記念日マーケティングだと捉えています。

下記の板橋さんのnoteに紹介されているので、詳細を知りたい方は、ぜひ読んでみてください!(すごく勉強になります)

※記念日マーケティングの覚えておきたい豆知識

知らなかったのですが、ブランドを記念日とするのは、日本記念日協会に申請すれば、「オフィシャルな記念日」として設定ができるようです。


11月11日はポッキーの日として、定着をしているわけなのですが、その要因はどこにあるのでしょうか?

ポイント①「記念日に合わせてUGCを発生させる仕掛け」

例えば、TikTok動画で「ポッキー何本分体操」を投稿してもらう仕掛けが最近は話題になっていました。

体操=踊るという文脈は、「ポッキーのガッキーが踊るCM」も想起させ、若い女性が参加したくなる設計がされています。

公式サイトでは、2019 ポッキー&プリッツの日まであと○日○時間○分○秒と表示されています。

ポッキーの日.001

当たり前ですが、記念日を設定しただけではマーケティング成果は生まれません。

記念日を起点として、ユーザー同士のコミュニケーションが起こる仕組みを、記念日の前後につくることが大切なわけですね。

下記のシェアハピというポッキーの日に合わせたキャンペーンも注目。
先ほどのTikTokは若い女性をターゲットにしていましたが、「ポッキーで乾杯!」をテーマとして、少し年齢が上の男性でも参加したくなるようなコンセプトとなっています。


▼ポッキーの日のマーケティング戦略まとめ
・記念日にあわせて、UGCが起こる準備をする
・記念日はターゲットを拡張するチャンスと捉えてコミュニケーション設計→記念日前後のPR強化→11月11日に最大限売る

記念日マーケティングは、予算を大きくかけなくとも、UGCを生み出しながら購買機会を増やすことが可能です。

ポッキーの日は記念日マーケティングのお手本として参考にして、仕掛け方を考えていきましょう。

以上、ポッキーの記念日マーケティングに関する考察でした。


続いて、ポッキーのコラボレーション戦略について分析していきます。

②ポッキーのコラボレーション戦略

コラボレーション戦略とは、マーケティングキャンペーンを仕掛ける上で、他企業とのコラボレーションを活用してブランド価値を高めることと捉えています。

さて、ポッキーはどんなコラボレーションをしているのでしょうか?

ポッキーらしいコラボレーションキャンペーンをご紹介します。

ポッキーは「美味しい×○○」を掛け合わせたコラボレーション→価値創出が上手であることがわかります。

①午後の紅茶とポッキー

両社+広告会社によるプロジェクトのメンバーは、全員が同商品のターゲットである20~30代女性社員。両ブランドのコアコンピタンスであるHappinessを自分ごと化することからプロジェクトはスタート。


②くまモンとのコラボ

ポッキーはもともと取り扱い店舗が多い商品でもあり、今回のコラボで事前の納品数が増えることはなかったという。しかし、発売すると予想以上の反響があった。「販売期間は2カ月程度と想定していましたが、早い店舗では1週間で品切れになり、追加発注する店も多かった」と同氏。最終的には約150万箱を販売し、計画の200%の売り上げとなった。

特徴的だったのは、一人あたりの購入個数が多かったこと。「スーパーなどでは、10箱入りの1ケースを丸ごと買う、いわゆる「大人買い」をする人が通常商品と比べて多かった。


③グリコード=グリコのお菓子を使ったプログラミング

お菓子という変わらぬ価値に、遊びという付加価値を提供。

同社は創業時から「食べることと遊ぶことは子どもの二大天職である」という考えに基づき、これまでグリコのおもちゃというかたちで、知育につながるおもちゃがついたキャラメルなどを提供してきた。

実は、「グリコード」もその延長線上にあり、「食べることと遊ぶこと(学ぶこと)を提供する」アプリを活用したブランドのコミュニケーションとなっている。学ぶことを高度な“遊び”と捉え、グリコのお菓子という変わらぬ価値に、アプリを通じて学びながら楽しく食べるという付加価値を生み出した。


コラボレーションから創り出すポジショニング

上記のようなコラボレーションは、どのようなマーケティング戦略と関わっているのでしょうか?

ポッキーが狙っている市場カテゴリーを整理してみます。

このようなイメージです。

ポッキー戦略.001

仮説としては、コラボレーション戦略を通じて、
ポッキーのブランドイメージに付加価値を付与→市場拡張
を狙っているのではないかと考えています。

・美味しいお菓子×自分へのご褒美(○○の贅沢シリーズ)
・美味しいお菓子×コミュニケーション(くまもんコラボ)
・美味しいお菓子×学べる(グリコード)
・美味しいお菓子×特別(バトンドール)

上記のようにコラボレーションはうまく活用できれば、新たな価値・市場をつくることができる。

コラボレーションからターゲット層を拡張→市場を拡張していくことは理想の流れ。
そのお手本のような事例がポッキーなのだと考えています。

ポッキーがロングセラーになっているのは、ターゲットを拡張して新たな意味を創り続けているから。

ポッキーのマーケティングトレース一時まとめ

ポッキーが行っているのは、話題性をつくる一過性のプロモーションではないです。

グリコが大切にしている、美味しくて人の健康を支えるというブランドの根底にあるものを大切にしながら、コラボレーションをして新たな意味やストーリーを生み出している点が素晴らしいなと感じます。

グリコ自体のマーケティング戦略に関しては、ラッチさんがnoteにまとめてくださっているので、こちらもぜひ読んでみてください!

もし自分がCMOだったら?

マーケティングトレースで大切にしているもし自分がCMOだったら?

お題
もし自分がCMOだったら、ポッキーの日における売上を最大化するためのマーケティングキャンペーンをどのように仕掛けますか?

ポッキーのマーケティング責任者だったらを考えてみるワークを、10月23日の大阪マーケティングトレースミートアップの中で行います!

ご興味ある方はぜひご参加ください!

参考

ポッキーのコラボレーション戦略を読み解く上では、ブランドのコラボは何をもたらすか ~午後の紅茶×ポッキー が4年続く理由~がオススメです!
文中でご紹介した、ポッキーと午後の紅茶のコラボレーション戦略について裏側が紹介されています!


最後まで読んで頂きありがとうございました!