Clubhouseは楽屋か隠れ家バー
音声チャットプラットフォーム「Clubhouse」。この数日、国内でも一気にユーザが増えているようで、IT系を中心とした一部の界隈では久々の「新サービス登場の熱狂」で盛り上がっておりますね。
音声系サービスはこの数年盛り上がりの兆しはあったものの、、ここまでグッとバズったのは初めてなんじゃないかな。ということで、ざっくり使ってみたり、意見交換してみたので、その結果をまとめておこう。
僕が使ってみたケースは、、
昨晩、某所で広報勉強会に登壇し、その後のラップアップというか打ち上げ的に関係者(グローバルブレインの松井さん&10Xの中澤さん)で話してみましたが、、そこからちらほら広報関係の方々が飛び込んで来るなどして、盛り上がりました。この手の楽屋トークには向いてますね。セミナー聴講者のみなさんに参加を促してもよかったかもな。
また、本日はラジオ的に聴きながら仕事をしていたところ、スピーカーとしてインバイトされ、、つい一緒に話しているうちに話が盛り上がって次の予定ギリギリになってしまう、、というシチュエーションが数回!
イベントで楽屋に覗きに行き、登壇者や関係者と久々の遭遇で盛り上がってしまったり、バーでたまたま知り合いがいてつい話が長引いてしまい終電を逃す感じに似てるなぁ。やはり偶発性の魅力、かな。
また、久々な方々と雑談する時間って、、刺激があっていいのう。その名の通り、部室とかゼミ生の溜まり場的な場所として機能するケースもありますよね。
また、仕事しながらとか移動しながら参加(スピーカーとして参加)できるのもいいですな。バーでスマホいじりながらたまに会話に参加する感じに近いですね。
他にも、、コンテンツとして応用するなら、イベントの楽屋を公開しちゃう、ファイアサイドチャット(イベント登壇後に、登壇者と聴講者がフランクに話せる場)利用などにも使えそうだなあ、などなど。この辺は、一気に用途開発が進みそうですよね。
ということで、特徴なり見解を、いくつかのポイントに分けて書いてみます。
●ポイント1:音声でコミュニケーションするということ
音声による発信サービスはこの数年注目されており、私も少し関わっているVoicyやstand.fm、Radiotalk、Spoonなどの新興勢や、PodCast、Youtube(で音声だけ配信する)などなど増えてますよね。
個人的には仕事をしながらラジオを聞いたり、最近は放送大学を聴くのが日課となっているのですが、聴き手からするとながら聴きできるとか、発信側からすると動画やブログより気軽に発信できるなどの理由で伸びているのかな、と思います。
プラットフォーマーによる集約も始まっており、、これはまだまだ市場としてのびていきそうですよね。
そんな中で、一方向の音声配信ではなく、双方向(しかもn対n)でのコミュニケーションというスタイルが、どこまで浸透するものか、、注目したいと思います。
●ポイント2:クローズドSNSであること
Clubhouseがバズっている理由の一つに、完全招待制(しかも招待枠がめちゃ少ない)かつ、外から見えない(PCサイトすらないし、現時点ではiOSにしか対応してない)のも、、往年のSNSブームやWebサービスブーム初期を彷彿とさせる感じです。この秘密結社感、乗り遅れちゃいけない感は、、なつかしい手法ではありますが、しかし久々の爆発感でありますね。
またクローズSNSかつ揮発性の高いコンテンツ設計は、PathなどのヒットやらSnapchatやストーリー系の定着を想起させます。その後、サービスとして定着するかどうかは別として。。
●ポイント3:UI/UXがセクシーであること
これは、最近のwebサービスでは当たり前の要素ではありますが、、かつて先述のPathが流行った要因の一つに、ミニマルかつ斬新なUIがあったと思いますが。
Clubhouseも、一連の音声系サービスの「機能的」なデザインと比べると、柔らかい印象だし、機能も限定的で、気軽に扱える印象がありますね。ここからどうピボットしたり、機能追加されていくのか、、また日本独自の利用方法の変化にどうマッチしていくのか(逸れていくのか)、という点でも注目かなと思います。
●ポイント4:セレンディピティもしくはFOMO
とりあえずどんな配信が行われているのかザッピングし、面白そうなテーマや知人を探してルームに飛び込んでみる、、これはコンテンツや人とのセレンディピティという意味で、魅力的な探索ではありますが。
一方で、FOMO(fear of missing out=取り残されることへの恐れ)も誘引力の大きな材料になっていると思われ。以前、「選択肢が多いことによる不安」の話でも触れましたが、、たくさん流れる情報の中で「乗り遅れちゃいいけない」「知らないところで流れている魅力的なコンテンツを逃しちゃいけない」感は、、この先「FOMO疲れ」を呼び起こして、一気にアレルギー反応に転じやしないかとも思います。
ということで
このコロナ禍で偶発的コミュニケーションがとれない中で、「気軽に偶発的に雑談できる」場が、強烈な吸引力を持つのは納得。緊急事態宣言が解け、リアルコミュニケーションが解禁モードになったときに、その代替手段として残るのかどうか、は注目かな。
個人的には、早く「バーのようなもの」を再開して偶発的な出会いを取り戻したいと思いつつ、ほんのしばらくは楽屋か隠れ家バーの代わりとして、Clubhouseでそのニーズを代替してもいいかなと思っております。