会社の中期経営計画はオジサンだけに作らせるな
先日次の日経新聞の記事で、元陸上選手の為末大さんが「私たちの国は『なにかあったらどうすんだ症候群』にかかっている」、と発信していたと知りました。
この「なにかあったらどうすんだ症候群」というネーミング、言い得て妙だなとクスリとしましたが、それと同時に「ああ、こういうことって世の中の大企業でも多いよな」と頭をよぎったのです。
1.チャレンジできない大企業
僕がそのとき思い出したのは、多くの企業で中期経営計画を経営陣と本部長、部長クラス、いわゆるオジサンだけが立案しているという話。
決定権がある上位層が物事を決めるこの構図は、企業では一般的のように思えます。しかし、5年後に定年でいなくなってしまう55歳の本部長が5ヶ年計画を立てているということには違和感をぬぐえません。
もし僕がその立場なら、心のどこかで「自分がこの会社に在籍している間は、大きな問題を起こしたくないよなあ」と思ってしまうでしょうし、それも自然なことだと思います。
ちなみに、問題を起こさないための最も簡単な方法は、過去を踏襲することです。
自分の発案で新しいことにチャレンジして会社に大きな損失を与えたら責任問題ですが、過去にそこそこの成果を上げたことを踏襲しておけば、それが上手くいかなくなったとしても自分の責任にはならないのです。
こうして、あと数年で逃げ切りが見えている人が決める中期の方向性や施策には新しいチャレンジがなく、過去の焼き直しとなることが多くなってしまうのです。
問題はそれだけではありません。決定権のある人の年齢が高ければ高いほど、時代の変化についていけなくなってくるというのも大きな課題です。
2.時代は移り変わっていく
そもそも時代というものはどんどん移り変わっていきます。そしてその時代を作るのは若者です。
仕事の仕方も変わっていきますし、使うツールもどんどん変わっていきますから、40代、50代になってアンテナの低い人は、もうついていけないわけです。
まあ、仮にアンテナが高かったとしても、本で得た知識だけであまり中身を知らないまま「今はデジタルマーケティングの時代だ!」と方向性だけ決めてきて、「じゃ、あとはデジマでよろしく!」と部下に丸投げする未来がなんとなく想像できてしまいますが。
こう考えると、やはり普段から新しいツールで新しい情報に触れている若者の方が、時流に合ったものを分かっていることでしょう。
今の世の中で新しいサービスを産み出し、拡大していくのに長けているのは、オジサンではなく若者の方なのです。
3.小さな規模から若者に参画を
じゃあ若者に中期経営計画を作らせればこの問題は解決するのかというと、会社の構造上、なかなかそうはいかないですよね。
だって彼らはまだ経験が浅いし・・・
大きなお金を扱うことになるし・・・
だって、だって、だって・・・
・・・と、自然に頭にそんな否定的な考えが浮かぶことこそが、すでに「会社の大事な方針は年長者が決める」という常識に囚われている証拠かもしれません。
作らせてみてもいいかもしれないじゃないですか。
若者にはセンスとアイデアがあります。しかしそれを実現するためにヒト・モノ・カネといったリソースを動かす力がありません。この「動かす力」には、知恵、経験、スキルなどに加えて権限も包含しています。
その部分だけ年長者がサポートすればいいと思いませんか。
若者は自分が決めた計画を実行するための責任を嫌うかもしれません。しかし、責任を全く伴わない仕事は仕事ではないので、そこは成長のために必要なものだと受け止める必要はあるでしょう。
ちなみに責任を負うとは、失敗した時に責められる役割のことではありません。結果にコミットし、その仕事を上手くいかせるために様々な判断をする決裁権を有するということです。
判断は上司にしてもらい、自分は手を動かすだけ・・・という仕事のスタイルには責任は伴いませんが成長もありません。自分自身でどうすべきか悩み、考え、判断し、実行することではじめて責任を持つということを実感でき、成長するのです。
大きな責任を任せられないなら、小さな責任を任せるのも1つの手です。
低予算でまずは小さくチャレンジさせてみて、上手くいけば大きくしていき、ダメならなぜダメだったのか、何をすればもう少し上手くいったのかをきちんと検証させてから次に進めさせれば、その経験も、若者をより成長させる事に繋がるでしょう。
会社は年長者だけではなく、そこに所属している全員が一丸となって動かしていくものです。ましてや5年、10年先の会社はまさに今の若者が動かしていくことになるのです。
だからこそ、若者をどんどん将来の計画に参画させることが大切です。その企業の将来を担う若者が権限を任されて新しい仕事を推進することで、より成長して輝いていくことが何より必要なのです。
4.参考
ヒト、モノ、カネのリソースについて考えたり、若くして人を動かすためには、論理的思考が欠かせません。僕は自身が25歳で経営企画室に所属し、会社方針を決めて動かしていった経験から、下記書籍を書きました。Kindle Unlimitedでもお読みいただけますので、お手に取っていただき、楽しんでいただければ幸いです。
夫婦で子育てをしながらFIREをする本は今までなかったため、「ないなら自分で書こう!」と思い、40代でFIERした経験も電子書籍(Kindle Unlimited)にしています。こちらもお楽しみください。