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経営者がベテラン社員に依存すると、業界が村社会になっていく。

今月の日経COMEMOのテーマは #仕事での気づき とのこと。

最近、広告業界のコンサルから酒屋業界の経営者という異業種の転職した自分としては興味深いテーマだ。

異業種転職をした人なら誰もが抱く2つの感情がある。

「このスキルはどの業界(どの会社)でも通じるな」

「このスキルはこの業界(この会社)ならではだな」

の2つ。

どうやら社会人としてのスキルは、こういう構造になっている。

自分の持っているスキルの割合として、①〜③のバランスはどうなっているだろうか。自社の人たちは、どんなバランスの社員が多いだろうか。

このバランスをどう捉えるかは重要だ。

捉え方によっては、会社や業界全体が閉鎖的な村社会に陥っていく可能性がある。

その構造を例によってパワーポイントでまとめてみた。

今日はそんな話。

◾️評価されるべきはAさん?Bさん?

同じ会社にこんな2人の社員がいるとする。

Aさんは自社一筋のベテラン社員。その会社や業界のことならお手のものだが、一般的なスキルは少し弱い。
一方、Bさんは経験者入社の2年目。社会人としての基礎能力が高くて優秀だが、業界にはまだ染まりきれていない。

さてここで質問。
あなたが経営者だったら、どちらの人物を高く評価するだろうか。

おそらくAさんと考えた人が多いのではないだろうか。自社で働いてもらうわけだから、自社に必要なスキルを備えていてほしいと考えるのは当然だ。

では立場を変えてもう一度。
あなたが転職支援のコンサルタントだったら、どちらの人物を高く評価するだろうか。

今度の回答はBさんに変わったのではないだろうか?転職市場において③のスキルは重宝される。逆にAさんはそれが弱いので、転職しにくいということになる。

市場価値という目線でAさんを評価すると、残念ながらこういうことになる。

ただこのAさんを評価する経営者が多いとしたら、Aさんタイプはずっと会社に残り続け、Bさんタイプは定期的に転職を繰り返すことになる。

結果的に会社はこんな構成になっていく。

私は前職で多くの会社、業界を見てきたが「村社会だな」と閉鎖的に感じる会社や業界は、概ねこの構造になっている。

長くいる社員ほどそのスキルは限定的になり、自社に対する依存度も高まっていく。異業種でも活躍できるような社員は減り、業界全体が閉鎖的で排他的になっていく。

いわゆる「ローカルルール」「業界ルール」のような慣習がはびこる村社会の完成だ。

全てのきっかけは経営者が社員を市場価値ではなく、自社にとっての価値でしか判断しなかったこと。

その結果、自社だけでなく業界全体の力を落とすことにつながっていく。

社員の学び直しを意味するリスキリングの有識者会議ではキーワードとして「脱・会社依存のススメ」が挙げられている。

社員が会社依存を脱する意識はもちろん必要だが、そのためには経営者のベテラン社員依存の意識も変える必要もある。

ベテラン社員と異業種からの転職社員、両者をバランスよく評価して社会(会社)全体の新陳代謝を上げていく必要がある。

村社会から世界へ。これは日本企業全体に必要な意識改革かもしれない。

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小島 雄一郎
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