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旧姓併記はだれのため?

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

最近では従来までのパスポートに加え、住民票やマイナンバーカードにも旧姓が併記できるようになってきました。ついに、運転免許証にも旧姓が記載できるようになるとのことです。

警察庁は28日、12月1日から運転免許証に旧姓を併記できるようにすると発表した。旧姓を証明する住民票やマイナンバーカードが必要で、各都道府県警の運転免許センターや一部の警察署で手続きする。警察庁は免許証の運用の見直しについて、27日付で全国の警察に通達した。

一般的に身元確認に使われている公的書類に旧姓が記載できることは、多くの人にメリットがあるでしょう。しかしながら、そもそも本人確認のためだけに、プライバシー情報であるはずの「婚姻状況」までも開示しなくてはならないというのは一体どういうことなのでしょう。

これに関しては、以前も以下の記事を書きました。選択的夫婦別姓制度がないことで、個人の自由が毀損され、旧姓併記というややこしいシステム改修に多大なコストがかかり(主に税金)、そして併記をしても国際的に通用するものではないので根本的な解決になっていないというのが、いまの状況です。

当事者として申し上げると、夫婦別姓で問題となることはありません。政府は2016年に決定した「女性活躍加速のための重点方針」で、働く女性が不便さを感じないように旧姓の使用を拡大すると明記しました。しかし、併記のことを「申請時の例外」と扱っている場合も多いようです。住民票であれば「旧氏記載請求書」を提出し窓口で待たされますし、会社には「旧姓使用願い」を提出、銀行口座開設ではまだ「旧姓での開設はできない」と回答されることも。以前、わたしが旧姓併記のパスポートをつくるときには「通称で活動しているという実績を証明できるもの」の提出を求められ、非常に苦労した記憶があります。

要するに、旧姓併記により、当事者の作業はむしろ増えているのです。

実は、戸籍法を所管する法務省では、どのように選択的夫婦別姓を導入するかについての具体的な検討が済んでおり、改正法案の準備も完了しています。

選択的夫婦別べつ氏うじ制度とは,夫婦が望む場合には,結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。なお,この制度は,一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれることがありますが,民法等の法律では,「姓」や「名字」のことを「氏うじ」と呼んでいることから,法務省では「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいます。
 現在の民法のもとでは,結婚に際して,男性又は女性のいずれか一方が,必ず氏を改めなければなりません。そして,現実には,男性の氏を選び,女性が氏を改める例が圧倒的多数です。ところが,女性の社会進出等に伴い,改氏による社会的な不便・不利益を指摘されてきたことなどを背景に,選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見があります。
 法務省としては,選択的夫婦別氏制度の導入は,婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題ですので,国民の理解のもとに進められるべきものと考えています。

一日も早く議論と理解が進み、それぞれが望む形で社会活動ができるようになればいいですね。併記ではなく、根本的な課題を解決する制度が導入される日を心待ちにしています!

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タイトル画像提供:CORA / PIXTA(ピクスタ)

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