ミルクボーイな男性育休
友人「いきなりですけどね、うちのオカンがもし俺に子どもできたら使って欲しい便利な制度があるらしいんやけど、その名前をちょっと忘れたらしくて」
私「子どもできたら使って欲しい便利な制度を忘れた? どうなってんねん、それ」
友「色々聞くんやけどな、全然分からへんねん」
私「分からへんの? ほな俺がね、ちょっと一緒に考えてあげるから、どんな特徴ゆうてたか教えてみてよ」
友「最近、小泉進次郎さんがお子さんが生まれた時に使って話題になったらしいねん」
私「おー… 男性育休やないかい。その特徴はもう完全に、男性育休やがな。まぁ、当初こそ『やっぱり取得しない』なんつって、俺もずっこけたもんやけど、最終的には取得してくれたな」
友「うんうん」
私「なんたって、進次郎さんは大臣やからね。この先『育休なんて忙しくて取れない』なんていう輩がいたら、『大臣より忙しいんかい』ってツッコミが入ることは必定や」
友「男性育休なぁ」
私「すぐ分かったやん、こんなん」
友「でも、これちょっと、分からへんのやな」
私「何が分からへんのよ」
友「いや俺も、男性育休と思ってんけどな」
私「いや、そうやろ?」
友「オカンが言うには、日本の男たちはめっちゃ使ってるって言うねんな」
私「あー… ほな男性育休と違うかぁ。実のとこ、厚生労働省のデータによれば新卒の男性新入社員の約8割が育休取得したいって話やけどな、現実は最新の調査でもたったの7.5%やからね」
友「そやねん」
私「男たちが育休を取得しづらい理由の一つは、職場の上司の無理解や。『きみぃ、仕事をなんだと思ってるのかね!』いうてな。ほんまアホやで。『私の家族をなんだと思ってるのかね!』って話やからね」
友「そうそう」
私「この意味でも、進次郎さんが育休を取得してくれたのはでかいよ。会社の上司が育休を取得した場合は、部下の取得率が飛躍的に上がるってデータ(※)もあるからね」
育休取得をした同僚、あるいは兄弟が身近にいた場合、育休取得率が11~15%上昇。さらに、会社の上司が育休を取得した場合は、同僚同士の影響よりも2.5倍も強いことが確認されています。 参照元:『「家族の幸せ」の経済学』
友「そやねん」
私「ほな男性育休ちゃうがな」
友「せやねんなあ」
私「オカンは他に何て言うてたのよ」
友「それがな、お母さんの産後うつに効果的らしいねん」
私「そら男性育休やないかい。実はな、厚生労働省研究班が2015~2016年に妊娠中や産後1年未満に死亡した妊産婦357例を調べたんやけど、死因の第1位は「自殺」で102例。うち、産後1年未満の自殺が92例や」
友「それは… 悲しすぎるな」
私「そうや。その原因はなにかっていうと、出産後にみられるホルモン濃度の急激な低下とか、何より、パートナーや家族からのサポートの不足が国内外の研究で指摘されとんねん」
友「そうなんか…」
私「アフリカのことわざで『it takes a village』っていうのがあってな、子育てするには村ひとつ必要って意味や。それをおまえ、お母さんひとりに押し付けるってはっきり言って異常やで。特に産後のお母さんは心身共にボロボロや。交通事故にあったようなもんや。その時にパートナーがそばにいないって、薄情すぎるやろ」
友「そうやね」
私「ちなみに、最近ニュースで男の『産休』が話題になったね」
友「なんと!」
私「これもまさに、産後のお母さんのケアが超重要っていう視点で育休とは別に考えられてるわけや。詳細はぜひこちら(↓)の記事をチェック!」
私「ところで、さっきの進次郎さんの話やけどね、結局取得した育休期間は2週間やってん。それを聞いた一部のお母さんたちは『育休に2週間て。昆虫でも育てるつもりかい』いうてな。批判もあったんよ。確かにその通りなんやけど、出産後すぐの2週間は十分でないにせよ必須やとは思うわ」
友「分からへねん、でも」
私「なんで分からへんの、これで」
友「俺も男性育休と思うてんけどな」
私「いやそうやろ!」
友「オカンが言うには、日本の制度は世界的にみてイマイチらしいんよ」
私「ほな、男性育休ちゃうがな!実は日本の男性育休はな、意外に思われるかも知れんけど世界的に見るとすごい優れた制度なんよ」
友「そやねん」
私「育児給付金を受給できる休業期間は日本は最大1年(52週間)と韓国に次いで世界で二番目に長いんやで!最初の半年間は給料の67%が保証されとる。しかも、この期間は社会保険料とか免除されるんや。実際に俺、2ヶ月間の育休を取得したんやけど、ぶっちゃけ可処分所得は働いてた時とほとんど変わらなかったからね。むしろ、ちょっと上がったかも。だってこの期間は同僚や友達と飲み歩いたりしないやろ。この状態でお金ないいうたら何に使ってんねんて話になるよ」
友「そうやねん」
参照元:「先進国における家族にやさしい政策ランキング」
私「ほな、男性育休ちゃうがな。他に、もうちょっとなんかゆうてなかった?」
友「それがな、少子化対策としても効果があるらしいねん」
私「男性育休やないかいっ!もうね、何度でもいうけども、夫が家事にコミットすればするほど第二子以降の出生率が上がるっていうデータがはっきり出てるのよ」
参照元:厚生労働省「第14回21世紀成年者縦断調査」
友「そやねん」
私「ところが、日本のお父さんたちの現状はこれやからね。先進国の中でもぶっちぎりの最下位ですわ」
参照元:政府広報オンライン
友「そやねんなあ」
私「こんな状態で『女性の社会進出😆 』なんていうのはとんだ鬼畜プレイやで。夫が家事をやらない分、しわ寄せは妻にいってるんやから。これで男性と同じ時間だけ働いたらそら体調も崩しますよ!順序で言ったらどう考えても『男性の家庭進出』が先や!」
友「そうそう」
私「女性はもっと子どもを産むべきなんていうオジサン政治家いるけどな、本気で国の将来を憂うならまずオマエがお風呂の排水口の掃除せえって話よ」
友「分からへねん、でも」
私「なんで分からへんのこれで」
友「俺も男性育休と思うてんけどな」
私「そうやて」
友「オカンが言うには、世帯収入には大きな打撃があるらしいねん」
私「ほな男性育休ちゃうやないかい!ちょっとな、ここで小学生でもわかる話しよか。おとなが、ひとりではたらいたときと、ふたりではたらいたとき、どっちがたくさんおかねをかせげるでしょーか」
友「そら、二人やろ」
私「その通りです!でな、夫の家事・育児時間が長いほど、就業を継続する妻の割合が高いってのは、これまた統計で出とんねんな」
参照元:厚生労働省「第6回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)」
友「そうやな」
私「夫が育休を取得して妻の就業を継続した場合、妻の生涯所得、すなわち世帯収入には大きな差がでるんや。下記のケースでは2億円以上やで」
友「でかいのお」
私「せやで!この差はシャレになりませんよ!そもそもや、俺たち日本人は昔と比べてガンガン貧乏になっとんねん。実質賃金は質の悪いすべり台のような急勾配やで。こんなの先進国じゃ日本だけです!」
友「そやねんなぁ」
私「アベノミクスでもアベノマスクでも結構やけども、この状況で夫ひとりの稼ぎで子どもを大学まで行かせようなんて至難の技ですよ。夫婦が力を合わせて働かないと厳しいんと違うんかなー!」
友「そらそやな」
私「ほな男性育休ちゃうやないかい!もうちょっと、なんかゆうてなかった?」
友「なんか、意外と仕事より大変って言う人もいるらしいわ」
私「男性育休やないかい!その特徴はもう完全に男性育休やがな!これまで話をしてきた『育休』を『育児休暇』の略だと勘違いしてる方いらっしゃると思いますけどね!『育児休業』ですからね!」
友「そやねんそやねん」
私「それをあんた『休暇』なんてとんでもない話やで。俺も実際に取得しましたけど、ほんま大変よ。赤ちゃんもえ〜んえ〜んてたくさん泣きますけどね、泣きたいのはこっちや!って感じやからね」
友「そうそう」
私「現代の日本では男性育休は取得すること自体がレアやから。そこで調子に乗ってしまう夫もいるらしいのよ。俺とか。するとな、なんなら夫婦喧嘩は産前よりも増えますからね。これはね、きついですよ」
友「そらきついな」
私「そうやねん。でもな、夫が絶対に忘れたらあかんのは、一番きついのは奥さんってことや。心身ともにな。それはさっき説明した通り。だからこそ、楽しい事ばかりやないけど、絶対に取得しないとあかんのが男性育休やねん。その辺りのことはこの記事(↓)にまとめてるから読んでみて!」
友「せやね」
私「とはいっても、子どもはとてもかわいいよ。それはそれはかわいいよ。目に入れても痛くないとはよくいったもんです。子どもの成長を近くで見ていられるのは、最高の喜びですわ。そしてこの時間は、二度と戻ってこないからね。オマエも絶対に取得した方がええ、というか、万難を排して取らなあかんで」
友「でも、分かれへんねん」
私「分からへんことない!オカンがおまえに取得して欲しい制度は男性育休です!」
友「でもオカンが言うには男性育休ではないって言うねん」
私「ほな男性育休ちゃうやないかい! オカンが男性育休ではないと言うんやから、男性育休ちゃうがな」
友「そやねん」
私「先言えよ!男性育休と確信して書籍やらネットやらから情報をせっせと集めてた時、どう思っててんおまえ」
友「申し訳ないよ、だから」
私「ホンマに分からへんがなこれ、どうなってんねんもう」
友「オトンが言うにはな、夏休みちゃうか?って言うねん」
私「いや絶対ちゃうやろ! もうええわ!」
友&私「ありがとうございましたー」
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