ソニーG社長 「会社のパーパスと社員の自立」が基盤 世界経営者会議
11月8日の日経フォーラム「世界経営者会議」でソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長の講演が印象に残りました。
激動の経営環境の中、経営者として意思決定の責任がより問われる時代です。2022年はインフレ、米国を中心とした中央銀行の金融引締等によって、ビック・テックの株価が大きく調整され、大量解雇や新規採用を凍結する企業も多く、11月は業界に激震が走りました。
そんな中でソニーGは、「社員一人一人が自立してクリエイティビティー(創造性)を発揮させることが重要になる」という演説をしてくださいました。
また、このような時代だからこそ、会社の存在意義であるパーパスを再定義することが非常に重要になります。
パーパスは「Why we exist?」ということですが、どれだけ理念に思いを込められるかが重要ということです。私自身もシンガポールで会社を経営していますが、もう一度、パーパスを再定義したいと感じました。会社の規模が小さければ経営者の思いは心にとどめておくこともできますが、社員が増えれば理念を共有し、社員に自分で考えて動いてもらう必要があります。
日本人の間でも外資なども含めた転職が当たり前となりつつある時代です。雇用の流動性が高い米国やシンガポールのような環境のように、日本でも少しでも条件のよい会社で働きたいという人も増えてくるでしょう。そんな中、よい社員にとどまってもらうためにも、顧客や株主からサポートを受ける上でもパーパスは非常に重要になってきます。
「会社に共感できるか、情熱を注ぐべき対象か、人生の大切な時間をここで過ごすべきか」という問を社員自身にも投げかけるというお話でした。
社員の自立を通じて、感動を届けるプロダクトやコンテンツを世界に届けることができるのでしょう。顧客側も会社やサービスに共感ができるというところで購買の意思決定を決めることが増えている時代です。
ソニーの株式の持分比率の58.6%が外国人です(2021年度末(2022年3月31日現在))。円安が進むことによって、日系企業の多くの外国人比率はどんどん上昇していくことが予測されます。そんな中、日本人が生き生きと活躍できるために、企業理念、社員の自立、そうした日本的な文化は非常に重要になってくるのではないかと感じます。
利益や営利も追求しながらも、働く人の幸せ、顧客の幸福や満足感など長期的な目線で活動を続けていくことができる企業が、逆行の時代をも生き残っていくことができるのでしょう。