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社内起業はミレニアル世代の獲得にも影響するが、社内から”少し”距離を取る方法も検討すべき

こんにちは。弁護士の堀田陽平です。

だんだん涼しくなってきて過ごしやすくなってきましたね。

今回は、社内起業について投稿募集がございますので、書いていきたいと思います。

政策的な研究をやってみたい

まず、私なら何をやってみたいかというとこですが、経済産業省で人材政策の立案をやってきたこともあり、今後も法的な見地を中心にして何らか政策的にかかわることができたらいいなと思っています。
とはいえ、なかなかそうした機会はないでしょうから、そうした政策に資するような法学研究のようなことはやりたいと思っており、密かに仕込んでいるものもあります。

多くの従業員が「今の会社で働きたくないが外に出たくもない」という現状

さて、社内起業の話に入る前に、日本の働く個人の勤続意識、起業意識について見てみましょう。
日本企業の従業員は、アジア諸国の中でも最も「継続してこの会社で働きたい」という意識が低いとされています。

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(経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」参考資料より)

「じゃあ転職したり、起業をするのか」というとそうでもなく、転職、起業意向も最も低いという状況です。

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(経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」参考資料より)

この点についてはまた別途書いていきますが、つまるところ「別にこの会社にいたいわけでもないのに外に行きたくもないからとりあえず勤めている。」という人が大半の状況です。

前回の社内公募制と同様に、社内起業は、従業員の自律的なキャリア形成を促すことで、こうした状況を打開する施策の一つになるでしょう。

特に、社内公募はイニシアチブが会社にある一方で、社内起業はどのような内容の起業を行うについて従業員側にイニシアチブがあるため、社内公募より従業員の自律的なキャリア形成に資するものと言えるでしょう。

社内であるが故にイノベーションが潰されるリスク

もっとも、“社内”起業であるがゆえに、会社側が過度に介入することで、起業のメリットである創造的な事業活動や迅速な事業活動が阻害される危険性があります。これは同時に、従業員のキャリアの自律化をも阻害することとなるでしょう。

これはそもそも組織の在り方自体を見直せば解決できるものであろうと思われますが、現状においては、大きな組織となればなるほど上記のような会社の介入してしまうケースが多いといわれています。

「出島戦略」、「出向起業」で少し距離を置く

そこで考えられるのは、いわゆる「出島戦略」、「出向起業」という方法です。

もう少し前ですが、2018年に経団連が発表した「Society5.0-共に創造する未来-」でも「会社本体から独立し、離れた「出島」形式の異質な 組織を立ち上げ、自由にイノベーションを起こす。」として、大きな組織のなかでイノベーションを起こす方法として挙げられています。

同様に。企業内の人材が、所属する会社を辞めることなく、他社(自ら立ち上げたスタートアップ等)に出向する形をとりイノベーションを起こす「出向起業」についても、経済産業省がこれを支援しています。

これは「社内起業」とは少しづれてくるかもしれませんが、硬直化した大きな組織の変革は容易ではなく、これらのように組織から一定の距離をとりつつ、自由なイノベーションを創出することも選択肢の一つでしょう。

社内起業はこれからの人材獲得にも影響

こうした社内起業制度があるということ自体が、起業のオープンな組織風土を示す外形的な事実ともいえ、これからの人材獲得にプラスの影響があるものと思われます。

2021年の通商白書によれば、ミレニアル世代の就職活動においては、社会貢献度の高さが重視されています。

したがって、組織に所属しつつ社内起業によって社会貢献を可能とすることで、こうした社会貢献意欲の高いミレニアル世代以降の人材の獲得にも資するものとなるでしょう。

#日経COMEMO #社内起業家になってやりたいこと

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