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続く事業者への圧力。結局下がっていない携帯料金

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

菅官房長官による「携帯4割下げ」発言から1年あまりが経過しました。

その後、携帯電話料金は劇的にさがったかというと、、、残念ながらそんなことはありません。引き続き、イタチごっことも言える状況が世間を賑わせています。

即時解除を義務化するきっかけは、KDDIとソフトバンクが先週、端末を48回の分割払いで買った場合に「実質半額」にする販売プランを発表したことだ。他社と契約している人にも販売するが、今のルールでは購入から100日間は販売した携帯大手の通信回線でしか使えない。「SIMロックを使った囲い込みだ」と批判が出ていた。

議論をみるかぎり、10年以上前の「モバイルビジネス研究会」からあまり進んでないのではないかという印象を持ちました。非通信のサービスも多くなってきており、またiPhoneという同じ製品が販売のメインである現在。SIMロックを解除したからといって公正な競争が促進するのかという議論もあります。

これを受けて各キャリアからは「持ち逃げリスク」を指摘しました。

現行の指針で100日間のSIMロックを認めているのは、割賦代金を払わずに端末を持ち逃げされるのを避けるためだ。総務省は頭金の徴収など別の方法で持ち逃げのリスクを抑えるよう携帯大手に求める。

これはガラケーのときにはなかったリスクです。いまやiPhoneやAndroidのハイエンド機種は世界で大人気であり、どこでも転売可能な製品です。みなさんが思うよりもこのリスクは大きく、びっくりするくらいの被害額があります。これを最小限にするため、店頭での本人確認や与信の厳格化や一人あたりの契約数の上限等、持ち逃げリスクを減らすために各社とも投資を続けてきました。持ち逃げされた分を国が補助してくれるのであれば話は別ですが、この損失は巡り巡って利用者が負担することになるのです。これはそもそもの「通信と端末の分離」が目指すところである「携帯を頻繁に買い換える人がお得で、それ以外の人には不利であるという不平等」と同じ構図を生み出しかねません。

また、アップル社自体が24ヶ月金利0%の分割払いや下取りプログラムをはじめています。こちらで購入すれば、即座にSIMロックフリーの端末が手に入ります。すでに消費者には選択肢があるのです。もしくは、シンプルに「店頭一括で購入したら即時SIMロック解除」とすれば良いでしょう。

それでも歩調を合わせるように、省庁から事業者への圧力は続きます。

消費者庁は週内にも携帯電話事業者の新料金に関し、消費者に注意喚起する方針を固めた。一部事業者による端末代金の「最大半額」などの広告で、消費者が不利益を被る恐れがあると指摘する方向だ。端末代とは別名目の料金を課すことで消費者の実質負担が端末代の半額を越える可能性があるとみて、広告が誤解を与えかねないと判断した。

1年前の官房長官発言には、楽天の参入も念頭にあったのでしょう。「競争促進で値下げ」というのは、非常にわかりやすいからです。しかしながら、頼みの楽天は始まる前から苦戦をしており、さすがの総務省も3回の行政指導を行うことになりました。

楽天が携帯基地局整備で苦戦している。サービスの本格的な提供開始時期は当初計画の10月から2020年春に延期。10月から当面は利用者数を5000人程度に限定し、料金も無料とする。通信技術のノウハウ不足などが響き、基地局の整備が遅れていたようだ。

狭い国土で人口密集地が多く、その割に山間部も多いという日本の土地は、基地局整備の難易度が高い。また、地震や台風などの自然災害も多いことから、強度とコストをバランスする設計ノウハウも求められます。また、効率よく電波を出すためには最適地は似たりよったりになりますので、そのような土地にはだいたい既存事業者の基地局があります。建設以前に用地の確保の時点で苦戦は予想されていたと思います。

総務省が本当に携帯料金を下げたいのであれば、事業構造を変えるような大ナタを振るうべきでしょう。私見ですが、以下によりMNOの競争は大きく活性化すると思います。

1)電波オークションの導入
2)タワー事業の産業育成
3)基地局シェアリングへのインセンティブ導入

どれも日本以外の先進国では実施済みであり、うまく機能していると思います。なにより政府自身が「海外より日本は高い」と言っていますので、事例として承知しているはずです。ではなぜ導入されないのでしょうか?

この話はいろいろと複雑ではありますが、機会があれば解説してみたいと思います。

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タイトル画像提供:Melpomene / PIXTA(ピクスタ)

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