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私が日経COMEMOを書くときに気を付けていること【お題企画「#仕事のポリシー」】

おそらく日経COMEMO最古参勢の私が思うこと

私がnoteを使い始めたのは、当時の担当者から日経COMEMOがnoteに移行するのでそちらで書いて欲しいと言われたのがきっかけだ。もともと、日経COMEMOはnoteではなく、独自サイトで運営されていた。そのサイトができるときに、前職に在籍していたころ、上司から書いてみないかと提案されて書き始めた。そのため、私のnoteはほとんど日経COMEMO専用だ。2018年6月からスタートして、5年以上、毎月5本の記事を書いている。おそらく、独自サイトの頃から休まず毎月書いている私は最古参の1人ではないだろうか。
今や日経COMEMOは総投稿数が12,000本を超え、フォロワー数も31,000人以上という一大コンテンツになっている。いまや私の投稿も1記事あたり数千人、多い時は万単位の方の目に触れている貴重な情報発信の場となっている。
300本以上のコラムを書き続けてきた中で、私なりに決めているルールが3つかある。今回は、日本経済新聞とnoteが共同で募集しているお題企画「#仕事のポリシー」に応える形で書いてみたい。

キミに足りないのは駄作を作る勇気だ!!

見出しは私の言葉ではなく、漫画家 島本和彦氏の作品『新・吼えろペン』第16話で主人公の漫画家 炎尾 燃が新曲を作れなくなったミュージシャンに語った言葉だ。納得のいくものができずに新曲を出せていないミュージシャンに対して、炎尾は駄作を作る勇気がないと叱咤激励する。駄作覚悟で世に出した作品が代表作と言われることもある。3回に1回いいものができれば良くて、3回ともいいものを出そうなんて欲張りは『おれが許しても天が許さん』と言い切る。

何かを生み出すクリエイティブな仕事では、完璧で自分の納得のいくものまで作りこみたいという思いが出てくる。特に、未経験や経験の浅い若者ほど、完璧なものができるまで世に出したくないと思いがちだ。しかし、作品は世に出て初めて良し悪しが決まる。いきなり高評価を得ることができればよいが、多くの作品は何度も批評を受けて手直しを繰り返す中で品質が上がる。完璧に納得のいくまで時間をかけるのなら、批判を覚悟して、駄作でも良いので締め切りまでに作り上げることが大切だ。依頼主がおらず、締め切りのない場合には自分で締め切りを設定して厳守する。
なお、私のCOMEMOで最も閲覧数の多い投稿も、私としては予期せずにバズってしまい驚いた。

実体験の裏付けがないことは語らないが経験だけでも語らない

学者の書くコラムで度々みられるが、他人の言葉の受け売りや研究の紹介で、自分が体験したことのない事象について論を展開することがある。それはその人のスタイルなので否定はしないが、私個人としては、自分が実体験したことのない事象や分野については書かないようにしようと決めている。

自分が体験したことのない物事でも、それらしいことを言うことはできる。しかし、独自の観点から分析をしたり、尖ったことを言うときにも自分の言っていることが現実から離れていることを理解して言っているときと、そうではないのでは説得力に大きな違いを生む。自分が体験していることなので、読者から「現状はそうとは言えないけど、たしかに将来的にはこうなりそうだ」という納得感を引き出しやすくなる。

加えて、経験だけで語ることもしないようにしている。自分が経験したことは、ただの一事例でしかなく、一般化するには危険だ。自分の経験は参考程度に留めるべきだ。

特定の個人や企業を批評しない

年間60本以上もコラムを書いていると、公私問わずに「〇〇社について書いてください」「〇〇社の現状の解説お願い出来ますか」とリクエストをいただくことがある。リクエストをいただくこと自体はありがたい一方で、そういった依頼はお断りしている。

そもそも、当事者ではない自分が知り得ることは二次情報ばかりで一次情報ではない。そのため、企業や個人の取組みを優れた事例として紹介することはあっても、評価や批評できる立場にはないと考えている。

また、企業の現場を観て思うことは、基本的にどの企業も現場で働く人々は一生懸命だ。やり方が非効率だったり、物事の進め方に巧拙があったり、そもそも方向性が怪しかったりすることもあるが、一生懸命に頑張っていることには変わりない。そのことを他人がとやかく言うべきではないだろう。

まずはバッターボックスに立つことが大事

ここまで、コラムを書く上で大切にしていることを書いてきたが、最も大切なことは初めに紹介した「駄作を作る勇気」だと思う。どのようなものでも良いから、まずは世の中に公表して、場数を踏むべきだ。それで批判されて、自分の信用やブランドに傷がついたと思うかもしれないが、たいていの批判は早ければ3か月、長くても3年もすれば多くの人が忘れる。それよりも、行動しないことで見逃す機会の損失の方が深刻だ。

特に、若手に活躍して欲しいと考える企業は、20代から挑戦できる機会を作ることが大切だ。それは20代から課長にしろと言っているわけではない。失敗しても構わない、挑戦の場を与えて、場数を踏ませることが、若手の成長を促進し、社内での活躍の場を与えることにもつながる。実際に、日経新聞の記事にもあるように、就職活動のときに20代から活躍できる場があるかどうかが会社選びで重視されるようにもなってきた。

若手をバッターボックスに立たせ、経験を積ませ、成長できる環境の整備が企業には求められている。

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