聴ける人になるために今日からできる、たった1つのこと
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
在宅勤務などにより以前より「対面」で人と話す機会がぐんと減りました。社外だけでなく社内の会議もリモートで行うことも多くなってきました。移動時間がなくなり効率的に会議がスケジュールできることは大きなメリットですが、画面上の情報しかなくニュアンスが汲み取りにくかったり、エレベーターホールまで案内する間のちょっとしたトークみたいなものがなくなってしまったというデメリットもあります。
このような時代背景もあり、会話の質を上げることがより重要になってきたなと感じます。以前書いた「聞くこと」に関する新著を題材にした記事は、先月のわたしの記事の中で一番いいねをいただいたものでした(ありがとうございます!)。
私は本業では「LinkedIn(リンクトイン)」というビジネスコミュニティの運営をしているのですが、メンバーの中には非常に高い専門性を持った方もいらっしゃいます。ほぼ毎週金曜日にやっている「#しごトーク」という生放送の対談番組では、そのような方々をゲストに迎えて1つにテーマについて40分間集中的に議論するということをやっています。
実はこの『LISTEN』を監訳した篠田真貴子さんはLinkedInのインフルエンサーとしても活躍されています。このようなご縁もあり、先週の対談番組にお招きして「チームを強くする聴く力」というテーマを中心にいろいろお伺いしました。
組織の中で「聞く」というと「傾聴」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。マネージャーからの一方的な指示や指導ではなく、メンバーの相談に対応したり悩みを聞いたりする「1on1」というフィードバック面談。これを効果的にするためにはマネージャーの傾聴力が大事になるということです。
1on1というフィードバック面談手法は、2017年に出版された「ヤフーの1on1」や「フィードバック入門」などで紹介されて広まってきました。上司と部下との面談頻度を高めるとともに、上司による指導ではなく、部下側の悩みを聞いたり相談に対応したりする場として活用する手法です。
その中でも特に重要なことが、部下が上司に気兼ねなく相談できる状態をつくることです。けれどもビジネスの場での面談となれば、それが評価につながるかも、などの警戒心が出てきて当然です。
だからこそ、上司は部下が話しやすい状況をつくらなければいけません。そのための手法として、部下の言葉を引き出すため傾聴というテクニックを活用します。
篠田さんは『LISTEN』の中ではこの「傾聴」という言葉をあえて使わないようにしたということです。最近では傾聴スキルを高めるような管理職向け研修もあるようで、上記の記事のようにどうしてもスキルやテクニックの話と勘違いされてしまうからという理由です。
また、1on1でもチームの会議でも一番根底にあるべきなのは、お互いの信頼関係。それを良好に保つためには心理的安全性、つまりいつでも自由に意見が言える環境が大事である、と指摘されていました。
チームにおける心理的安全性を提唱したのは、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン氏です。同氏はこれを「対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」と定義しています。以下にご本人による解説TED動画がありますので、紹介しておきます。
この動画の中の最後の方にはまとめとして、心理的安全性を高めるために個人ができる3つのことを提唱しています。
1. 仕事を実行ではなく、学習の機会として捉えること
2. 自身の誤りやすさを認めること
3. 好奇心を形にして、たくさんの質問すること
相手に好奇心をもって質問することの重要性は、篠田さんも指摘していました。相手が自分の興味を持っているということだけで、話しやすさはグンとあがることでしょう。
番組の最後に「聴ける人になるために、今日からできることはなんですか?」という質問をしました。このアドバイスは個人的に非常に心に残りました。
「相手の言ったことに対して何か言いたくても、まず1分は言うのを我慢」
間を恐れない、ともいうのかもしれません。人は得てして気まずい沈黙を恐れて、ポンポンと言葉を返してしまいがちです。それをぐっと我慢することで相手により考える余地を与え、また聞こうという姿勢をも示すことが大事なのですね。
他にも素晴らしいアドバイスをたくさんいただきましたので、ぜひ紹介した番組動画もチェックしてみてください!
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タイトル画像提供:takeuchi masato / PIXTA(ピクスタ)
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