大企業の新規事業担当者、必見!高等専門学校生に学ぶイノベーションを興す力
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大企業の新規事業担当者、必見!高等専門学校生に学ぶイノベーションを興す力

 「産業界のデジタルトランスフォーメーションをAIと人の協調により実現する」株式会社ABEJAの岡田です。
 2019年のプレ大会からメンターとして関わらせて頂いている「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2022(高専DCON)」の第3回が、4月29日に行われました。
 予選を勝ち抜いた10チームにより白熱したプレゼンテーションが繰り広げられ、私がメンターを務めた⼀関⼯業⾼等専⾨学校が最優秀賞に選ばれました。
 最優秀賞の受賞は、⼀関⼯業⾼等専⾨学校の皆さんの創意工夫と努力の賜物であり、私もメンターとして、非常にエキサイティングで心に残る経験をさせて頂きました。



高専DCONについて

 JDLA主催のもと、2019年のプレ大会から続く「高専DCON」は、高専生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテストです。
 審査員である、ベンチャーキャピタリストが評価し、企業評価額が最も大きいチームが優勝となり、技術力だけではなく「事業性」が重視されることが特徴です。
 本選出場チームは、テック系の経営者やコンサルタントなど事業経験豊富なメンターのサポートを約半年受け、本選の当日を迎えます。
 今年、私がサポートしたのは、一関工業高等専門学校でした。
 彼らは、インソール型の足圧センサーを靴に挿入し、加速度センサーを搭載するスマートフォンを持って歩行するだけで、学習データをもとに認知症の推論を容易に行うことができる「D-walk」を開発。技術力に加え、ビジネスモデルやプレゼンテーションも高い評価を受け、最優秀賞を受賞しました。
 一関工業高等専門学校は、企業評価額は過去最高となる10億円、5億円の出資という評価を獲得し、チームには起業資金として100万円を授与されました。


なぜ対象が高専生か

 現在、DX・AI業界において、高専出身者のエンジニアが非常に増えてきています。

 高専の学生や出身者であるエンジニアは、総じて技術力や業務へのコミットメント力が高く、優秀な人材が多い印象で、私自身、採用において非常に注目しています。
 なぜ優秀な人材が多いか、というと、中学卒業時点で「エンジニアリングでやっていく」と進路の方向を決め、社会に出る時を見越して在学5年間でスキルを磨き上げるからではないかと考えます。
 意思決定のスピードと覚悟、信念。これは事業を進める上でも同様、重要なことです。

※「高専」についての記事はこちらを。高専DCONについても触れられています。


なぜ企業評価額で競うのか

 一方、現在、高専出身者を雇用して彼らをフェアに評価している日系企業はまだ十分ではないように思うのです。
 DXやAI、特にディープラーニングの市場は、まだまだ大きくなるフェーズです。優秀な彼らこそ、この業界に飛び込んでいただき、もっと気軽に起業という選択肢をとってほしいという想いがあります。
 まずはやってみる、うまくいかなければ別の方法を考えればよいのですから。
 「高専DCON」は企業評価額で競い、優勝者に起業資金が提供されるため、在学中に起業する参加者も徐々に出てきています。
 私がABEJAを創業したのは23歳でしたが、「ビジネス」について実践的に学べる機会にはなかなか恵まれませんでした。この点は日本における若者の起業の最大のネックだと思います。
 RPGに例えると「仙人」に出会うと急にゲームが進みます。それと同じで、キーマンとの出会いが事業を前に進めるターニングポイントになります。
 私はまだまだ仙人にはなれていませんが、挑戦する次世代に、サポーターとして関わりたいと考えています。


大企業の新規事業担当者は高専生から学ぶべき

 DCONで一番驚かされるのは、多くの企業協賛をうけながら運営をしている中で、企業の新規事業担当者の度肝を抜くような事業プランが次々と生まれていることです。
 これは、実際にものづくりを担い、手触り感がある状態で、事業を進めるイメージを持つことができる高専生の圧倒的な強みに基づくものでしょう。
 実際にプロダクトを開発することととExcel上でシミュレーションを行うことには、天と地ほどの差があります。手を動かし、ものをつくって、検証を重ねることのハードルがどれほど高いかもイメージできると思います。
 そういった意味で、高専というバックグランドがある人材は極めて希少性が高く、まさに新規事業を担う人材として最適かもしれません。
 また、経験のある大人が、高専を卒業したばかりの人材をサポートすることで、日本という国を変えるほどのインパクトを起こすことができるかもしれません。


混乱の時代こそ新しいものは生まれやすい

 激変する時代には、時代の先を見据えたスキル習得や進路決定が必要となります。
 高専者は、中学卒業時に自分の進路を決め、エンジニアとしてスキルを磨いていきますが、それ以外の人も必須科目として、コンピュータサイエンス教育は受けるべきでしょう。
 今年度から高校で新設の「情報Ⅰ」が必修になるなど状況は変わりつつありますが、単なるプログラミングだけではなく、もう少し大枠の「課題をテクノロジーの力で解決すること」に取り組むことで、問題解決、創造性、チームワークなど将来、誰しもにとって必要となるスキルが身に付きます。


 高専DCONのサポートを経て、私自身、毎回、発見と学びが得られます。
 これからは、変化に対応していくだけでは不十分で、大きな枠組みで世界をどのように変化させていくのかというビジョンをもとに、まずは課題を発見し、それを分析・解放し、デプロイすることによって、新しいニーズと価値を生み出せる人材が活躍していく時代です。
 ゆたかな世界、より良い未来を構築するために、大人はどう貢献できるのでしょうか。
 次世代を担う人材育成のサポートは必須であり、そしてまた、私自身も解のないテーマに向き合い、様々な立場の人の意見を解釈しながら、最適な意志決定を追い続けたいと考えます。


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岡田陽介(株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 兼 創業者)
株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO 兼 創業者 / 一般社団法人日本ディープラーニング協会 理事 / 那須塩原市 DXフェロー / 聖マリアンナ医科大学デジタルヘルス共創センター アドバイザリーボード / 日経COMEMO キーオピニオンリーダー