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リーダーが2人いるチームは成立するのか?

部長は1部門に一人、課長は1課に一人というのがこれまでの常識でした。部門や課のマネジメントの活動をマネージャー1人で請け負い、事業もやり、人材一人一人もケアし、上司には詰められ、部下には文句を言われ板挟み…なんて辛い状況では、誰もマネジメントなんてやらなくなってしまいます。「管理職だけにはなりたくない」という声を聞くことも多いです。

そんななか、日揮ホールディングスでは、3人の部長が同じ部門をリードしているといいます。

中長期ビジョンを実行するリーダーに徹する。そのためにプロジェクト管理、人材育成に専念する2つの管理職ポストを新設した。「3人の部長」が役割を分担し、人材と組織の成長を両立させる。

日揮、3人で分ける「部長職」 高まる管理職負担にメス(日経新聞)より転載

MIMIGURIにおけるリーダー2人体制

非常にユニークな事例であるとともに、大変共感しました。かくいうぼくも、株式会社MIMIGURIで、一つのチームを2人のマネージャーで責任を分担しているからです。(MIMIGURIではマネージャーという呼び方はなく、「リード」と呼ばれていますが、分かりやすくするためにここではマネージャーと書きます。)

MIMIGURIでは、事業推進を担う事業マネージャーと、人材育成やチーム開発・業務サポートを担う組織マネージャーの2名が3~10名のチームを持ち事業を推進しています。これによって、事業推進と人材開発とを両立したチーム運営ができるのが何よりのメリットです。

事業推進と人材開発の両立

ぼくは組織マネージャーのほうを担当しています。組織マネージャーからすると、事業はひとつの「機会」です。それを活用してメンバー一人ひとりが探究を深め、レンズやスキルを磨くことができるよう支援することが一つの責務です。

しかし、それは単に事業を社員の自己学習の場としてハックするわけではありません。ひとりひとりが学習することによって、よりお客様にとって良い価値を提供できると考えています。中長期的な事業成長に資するのです。そのような視点から事業側に意見を伝えることも多々あります。逆に、事業側からプロジェクトをメンバーの学習機会になるように配慮し、行動してもらうこともあります。このようにして、事業と組織の両側面から活動をすすめられるメリットは大きくあるのです。

マネジメントをみんなでやる

ほかにも、事業側と組織側でマネジメントを分担する利点があります。それは、マネジメント=マネージャーがやるものというバイアスをゆるめる点です。

このシステムでは、2人のマネージャーが「マネジメント」という活動を分かち合いながら推進していきます。そうすることで、マネージャーに「マネジメント」がベッタリと張り付くことがなくなります。「マネジメント」が一つの活動であり、分かち合いうるものなのだということが顕在化するので、他のメンバーも「マネジメント」という活動に参加しやすくなるのです。

メンバーはプロジェクトに専念すればよい。マネジメントなんてやる必要がない。確かにそのような意見もあるでしょう。しかし、チームがうまく機能していれば、一人では出せない価値を生み出すことができます。チームがうまく連携し協働できるように、「マネジメント」という活動が有効です。これを一人孤独に辛い思いをして担わせるのではなく、2名以上で協力して推進し、組織も事業も豊かになるのです。

複数リーダーのデメリットがあるとすれば

ただし、当然のことながらデメリットがある可能性もあります。ぼく自身はメリット以外感じていないのですが、場合によっては共に進めるリーダー同士の意見の食い違いや、スタイルの噛み合わなさなど、適応的な問題が起こる可能性もあります。

そうした時にお互いの関心に心を寄せ合い、対話によってマネジメントを見直していく必要があります。随時、お互いの感じていることを対話しあい、さまざまな試行錯誤を協働できるようなコンビであることが理想です。そしてそのような関係を続け、発展させることは簡単ではありません。そのような対話のコストを厭わないのならば、2名以上のリーダー体制を導入することを、ぼくはおすすめしたいです。


#日経COMEMO #NIKKEI

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臼井 隆志|Art Educator
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