スルガ銀行の不祥事の背景を、コーポレートガバナンスの視点で考えてみた!
みなさま、こんばんは。エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。
おかげさまで、新刊「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」も重版となり、応援の声を頂いてます。これも、みなさまの支えのおかげです。今回は新刊にも登場してきたコーポレートガバナンスについて、スルガ銀行の話を軸に記していきます。実は、大学院での研究領域も、ここがメインなんです。
*スルガ銀行に何が起きている?
昨年、スルガ銀行はシェアハウス投資向けの不適切融資が発覚して株価が低迷中です。しかし、今日の午前、同社株は下記のニュースで急騰したのです!新生銀行から出資も受けつつ、新生銀行では融資が難しい先にスルガ銀行が受け皿にという提携とのことです。
しかし、その中身も少しきになる上に、スルガ銀行にとって大きな影響力を持つ創業家系経営陣の関与や、同社へのコーポレートガバナンスの在り方に対して懸念が払拭されないこともあり、午後には再び同社株は再びマイナスに転じとのことです。さて、このコーポレートガバナンスとはなんでしょうか?
*コーポレートガバナンスとは?
コーポレートガバナンスとは、一言で表現すると「経営者に対して企業価値を損なわせるような経営をさせないように定めた制度」です。なぜ、そのような性悪説とも思えるような制度が必要なのでしょうか?それは、経済学でいう情報の非対称が関係しています。こちらの表は、新刊から抜粋したコーポレートガバナンスについても意味を記載したものです。
(出展: 崔真淑「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」)
そして日本では、下記のように経営者を監視するために、投資家と経営陣に規制を設けました。
(出展: 崔真淑「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」)
*スルガ銀行のコーポレートガバナンスについて
実は、スルガ銀行は不適切融資が発覚する前は、コーポレートガバナンスの超優等生企業と言われていました。理由は、経営者を牽制するための社外取締役を積極的に登用するなどしていたからです。でも、なぜこのような事件が起きたのでしょうか?
背景には、2つの要素が考えられます。一つは、社外取締役がそもそも情報を入手できない状況だった可能性です。海外のコーポレートガバナンス研究では経営者が大株主などを兼任している場合は、そもそも社外取締役に社内情報を提供しない傾向も報告されています。もう一つは、社外取締役が経営者としゃんしゃんなお仲間だったかも‥ Cai, Nguyen, Walking(2017)では、米国株価指数S&P500に組み込まれている企業の94%の社外取締役が経営者の同級生だったり過去の同僚など、何かしらで懇意にしていたことを報告しています。仲が良すぎて経営社に物が言いにくいのでは?と海外研究では報告されることもあります。同社も同様かは、わかりませんが‥
今後は、自分の会社や取引先さのコーポレートガバナンス状況を知るためのツールも紹介して行く予定です。
今日もよんで頂きありがとうございます!
応援いつもありがとうございます!新刊への励ましのお言葉に感謝です!
崔真淑(さいますみ)