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デジタル変革したくない、日本の経営者

DXに関しての意識が低すぎる日本企業

 2019年は、「デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)」という言葉が、多くの場所で聞かれたし、私もさまざまなところで、デジタルトランスフォーメーションの必要性について語った。ところが、日本の経営者は、まだ意識においてレベルが低いのかもしれない。この記事を見て、私はあまりにも衝撃を受けた。

 この記事では、

国内企業約900社のうち、DXを「推進している」との回答は36.5%、「全く推進していない」が61.6%だった。3社に1社がDXを推進しているという結果だった。

と、まだまだDXを自企業のテーマとは考えていないようだ。そして、取り組んでいる企業でも、

経営トップがDXに関与していない企業も5割近い。「重要性を理解しているものの、現場任せ」とする回答は41.6%あり、「重要性を理解していないし、無関心」(5.2%)と合わせると、46.8%になる。

と、経営者がDXに低関与の企業も多い。これでは、日本がいくら、Society5.0を目指していても、「かけ声」だけで終わるのではないだろうか。2020年は、すべての企業が、DXを自分事と捉えて、新しい事業や新しい産業を創造しないといけないはずなのであるが。

デジタル・トランスフォーメーションは難しい。でも、デジタルに触れるのは簡単

 デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるには、机上の議論を行う前に、「デジタルに慣れる」ことが重藤だ。そして、この「デジタルに触れる」「デジタルに慣れる」ことは、経営者でも、さぼらず行うことが必要だ。

 例えば、経営者の会議に、もっとネットーワークを使った、Video会議を導入してみよう。多くの企業で、経営者の会議が30分から1時間のフォーマットが多い。これは、経営者の会議には、かならず出席者がが会議室に移動して、会議に集まるという行動が必要なことが理由の一つだろう。しかし、Video会議であれば、移動という時間が省略でき、開始時間ももっと柔軟に設定できる。そして、短い時間での会議でも問題ないだろう。今までは、交通費や出張費を使って会議を行うことが多く、そのために最低30分は会議時間に使っていたと思われるが、その配慮が不要なのである。さらには、多拠点の会議も開催可能であり、今まで以上に参加者の調整が柔軟に行える。Video会議というデジタル化だけでも、会社の会議はもっと生産的に変えられるのである。

 さらには、役員会議室で、リアル・タイムに経営に関するデータを表示してみてはどうだろうか。米国P&Gの役員会議室の画像がBusiness Sphereの説明ページに出ている。役員会議室で、リアルタイムに売り上げデータや生産データが見られるようになれば、経営者自身の会議の質も、絶対に向上するはずだ。

 この2つの例は、デジタルトランスフォーメーション(DX)ではなく、まだ会議のデジタル化である。しかし、このように経営者自らデジタルに慣れることが、デジタルトランスフォーメーションの第一歩である。デジタル化すべきこと、デジタル化してはいけないことを経営者が理解できるからである。そして、デジタル触れることで、経営者にしか考えられないアイディアも生まれるのではないだろうか。

 そして、デジタルトランスフォーメーションの取り組み方には、絶対的な正解などない。各社各様の取り組み方になるはずである。そのためには、経営者自らデジタルに触れ、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる背中を、従業員に見せることこそが、その企業のデジタルトランスフォーメーションを推進することになるのではないだろうか?

 2020年は、日本企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組み、世界を驚かせるような取り組みの出現を期待したい。

#COMEMO #NIKKEI

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