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サブスク向きなサービス

これまで企業は、情報システムなどのソフトウェアを活用したい場面で、本当に役に立つかわからない段階ではあっても、期待値の高さから大きな投資を決断してきました。

作り上げたシステムが、結果的に役に立つ場合もあれば役に立たないこともありますが、費用は同様に発生し一定の期間で償却を繰り返してきました。

このようなモデルでは、システム構築を請け負う側は損をすることはありませんが、発注をする側は無駄な投資を行ってしまうリスクを背負ってしまいます。

提供者と顧客の関係がWin-Loseになる確率を減らし、常にWin-Winの状況を成り立たせることを目指して、ソフトウェアをサービスとして捉え、契約を例えば年単位として、利用企業は価値がないと判断をすればその時点で支払いを止めることができるといった、サブスクリプション型のソフトウェア(SaaS = Software as a Service)が誕生しました。

顧客側のメリットは、

■ 利用前に価値があるかどうかわからない製品やサービスを購入する際のリスクを軽減できる
■ 提供者に利用継続のための改善動機があるため、常により良いサービスを享受できる

があり、デメリットとして、

■ 所有できないため、自分に最適なカスタマイズがしづらい
■ 自分が所有している満足感、安心感は得られにくい

などが、挙げられます。

そのため、初期投資が大きく実利を追求することが一般的な、企業が購入する情報システムなどのソフトウェアやオフィスは、サブスクリプション型のサービスが適しています。

反対に、所有欲求を満たす必要があったり、自分だけのカスタマイズを施したいような、自家用車や個人住宅は一括購入型が向いていると考えられます。

ただし、何事も供給過剰な現代においては、所有にこだわる必要性が低下しており、カスタマイズへのこだわりが大きくなければ、住宅に関しても、車に関しても、サブスクリプション型を選択する人も増えてきているのではないでしょうか。

また、上記とは別の流れで、NetflixやSpotifyのような映画や音楽のデジタルコンテンツを扱うサービスは限界費用を抑えられるため、どれだけ利用しても月額定額制で提供されるサービスが実現されてきています。

使い放題は利用者にとってお得感が強いため、サブスクリプションサービスはますます一般的になってきています。しかし、ここで気を付けないといけないのが、なんでも使い放題のサブスクリプションにすれば良いというわけではありません。

「サブスク」の波、外食にも 収益管理が課題

流行にのるというのは悪いことではありませんが、限界費用を低減しづらい、利用量がそのまま費用になりやすい飲食業において、使い放題サービスを提供するのはリスクが大きいはずです。

そんな中で、吉野家の月額300円の定期券は上手な事例です。一回当たりの利用において利益がでなくとも、定期券分の売上を利益として確保できれば成り立つモデルになっており、限界費用が抑えづらいサービスにおけるサブスクリプションを考察する上で参考になります。

吉野屋 定期券(2019年4月1日→5月6日)

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遠藤 直紀(ビービット 代表)
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