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女性雇用により厳しいコロナショック

今春に新型コロナウィルスの感染が拡大して以降、我が国は不況の真っただ中を彷徨っています。

実はこの間、労働市場ではある大きな変化が起きています。

それが、労働市場における女性労働力需要の相対的な低下です。

そして、その結果としてリーマンショック後に起きた「男性不況」と逆の状況が引き起こされている可能性があります。

実際、コロナショック後の労働市場では男性雇用減の1.5倍のペースで女性雇用減が進行してまして、社会のあり方をも変えようとしている可能性があります。

こうした女性の就業環境の急激な悪化が生じた背景には、大きく三つの要因があります。

① 非接触化の進展によるサービス関連産業や卸小売業の雇用者数減少で、女性比率が高い職場が減った。

② 不況により、相対的に女性の多い非正規労働者の雇用機会が減少した。

③ オンライン化・EC化の進展による運輸・郵便業や情報通信業の雇用者数の増加により、男性比率が高い職場が増えた。

特に、日本では今後も新しい生活様式で非接触化が求められるため、EC化率は上昇を続けることが確実でしょう。

また、多様なサブスクサービスが出現していることや無人レジが普及していること等もあり、対面販売の雇用ニーズは今後も低下を続けるでしょう。

一方で、運輸・郵便や情報通信分野で今後も男性が雇用され続ければ、女性との就業率の差をさらに広げることになり、労働市場における女性需要の低下をさらに加速させることになりかねません。

このため、リモート活動の拡大等により人の移動が元に戻ることがなければ、従来の女性比率が高い労働需要も元に戻らない可能性があり、雇用調整助成金による雇用の維持だけでは支えきれない可能性があります。

となりますと、政府が現在対応している雇用調整助成金などの雇用維持策だけでなく、企業が業態転換しやすい規制緩和や女性がデジタル化関連業種に対応できるような就業支援の重要性が増してくるといえるでしょう。

感染の恐怖が払しょくされなければサービス関連産業の需要は元に戻らないでしょうから、コロナショックに伴う女性雇用減を最小限に食い止めるためにも、政府は予備費を有効活用して、迅速で大胆な更なるワクチン・治療薬開発に加えて雇用創出に対する追加の対策が求められます。

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