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イノベーション イノベーション イノベーション

日本としての温暖化問題に対する長期戦略が出ましたね。背景のご説明から。

京都議定書は、短い約束期間(第1約束期間は2008年から12年)での削減目標を掲げ、その達成を法的に義務付ける仕組みでした。それだと、目の前の短期的な目標達成に足を縛られて長期的な技術開発に資金が向かないという欠点が指摘されていました。排出権取引市場で排出権を買ってくれば目標達成できちゃいますからね。
でもいま必要とされているのは大幅な削減を可能とするイノベーション(今は無い技術を生みだすことだけでなく、既存の技術を圧倒的に安く便利に快適にするというのも含みます)。京都議定書の欠点を反省し、パリ協定の下では長期的なビジョンを掲げることが求められました。特に先進国は早く出すよう要請されていたものの、数十年後を責任もって語ることはできませんよね。実現可能性はさて置き、ビジョンを掲げることに慣れた欧米諸国はさっさと提出しましたが、日本は出遅れてしまいました。さっさと出せばよかったんですけどね。

ということで、G7の中で出してないのはイタリアと日本だけ。イタリアは・・・まぁそれどころではないし、ということかもしれませんが、日本は裏付けのあるものしか出せない、出したくないという律義さが邪魔した感。https://unfccc.int/process/the-paris-agreement/long-term-strategies
G20をホストするにあたって、これではいけないということで今回取りまとめられたのがこちら、ということです。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/parikyoutei/dai5/siryou1.pdf

日本人の性としては、「どうやんの?」が気になるでしょうが、とにかく今の技術でこれほど大幅な削減をするのは無理なので、「ビジョン掲げて、イノベーション起こしていこうぜー」(なぜか部活の掛け声風)ということです。

この提言とりまとめを報じる日経の記事「日本、CO2排出ゼロ目標
70年ごろ、回収新技術や水素利用 革新頼み、実現未知数」
にも出てくるIPCCの1.5℃レポートは「1.5℃をもし目指すなら」ということで、必要なコストについてはほとんど触れていません。コスト負担を度外視するエネルギー政策(例えば、CO2を1トン排出したら炭素税50万円!なんて言われたら、国民の生活も経済も成り立ちません)などというものは、実際にはあり得ないのは十分理解されてはいるのですが、考えると方程式として成立しなくなってしまうので、無視したというところでしょう。
IEAも「World Energy Outlook2018」の中で、1.5℃レポートと整合的なシナリオを書いてはいますが、とりあえず実現可能性には目をつぶったというところでしょう。

ということで、必要なのはイノベーション。イノベーション。イノベーション。
でも、これを理由に補助金による実証事業とかが乱立しないように、選択と集中・検証を進めながらですね。

パリ協定の下での長期戦略についての(若干)マニアックな記事はこちらを。


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