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AI時代こそ、「人の価値」が上がるという話

米国のイラストレーターの女性が、インタビュー途中で泣き出してしまうという動画を見ました。「AIの台頭で、若手クリエーターが希望を失いつつある。みんなあれだけ絵を描くことが好きだったのに、AIに圧倒され、仕事に自信をなくしてしまった」と。これは、とても考えさせられる告白でした。


AI開発を取り巻く現状に対しては、いろいろな考え方があると思います。世間の大勢は、日増しに高まっていくAIの能力に驚嘆しつつ、新しい時代が来たと肯定的なようです。今のところは。

僕も、ChatGPTなどの文章生成AIの活用について試行錯誤を続けていますし、うまく使えば作業効率が上がることも実感しています。新たなAIツールも毎日のように発表されますが、動画生成AIや作曲AIのようなものも試してみたいと考えています。


一方で、AIによって失われてしまう仕事はなにか、などという議論もよく見られるようになりました。ですが今のところはまだ「恐怖をあおるセンセーショナルな記事」くらいに受け止められていて、多くの人にはまだ自分ごととしての実感がないようです。

が、冒頭のインタビュー動画を見たときに、ああ、もうリアルにその世界が来たのだなという強い印象を持ちました。とうとう来たか、そしてもうこんなに早く来たのか、という感想です。

絵の領域は、その性質上、AIに脅かされやすいこともあるのでしょう。しかし、文章作成をはじめとするその他の分野においても、人間の仕事が徐々にAIに侵食されていくのも時間の問題でしょう。


AIは、少し前までは、その事務処理能力を活かして人間のサポートや雑用補助としてうまく使えばいい、くらいの楽観論が大勢を占めていたと思います。

しかし最新のAI技術の発展と成果を見ると、人間こそが得意と思っていた「クリエイティブ」ど真ん中の分野での活躍が目立ちます。

これは、いままさに多くの人に衝撃を与えている現実です。

「クリエイティブの力こそが人間たる証明」だと思い込んでいたのが、まさか人間の本丸であるべき部分までがAIに取られてしまうとは、ということです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE08D0Z0Y3A200C2000000/


一方、この状況を見るにつけ、自分の中ではまた別の思考が深まっていくようになりました。人間の、本来の強みや役割とは一体なにか。AIには持つことのできない、人間だけの価値とはなにか。

それは、「人を鼓舞する」というようなことではないか。そういう方向にこそ、人としての可能性があるのではと考えるようになりました。


▶この時代において、「人としての価値」を再考する


たとえば、冒頭のインタビュー動画もそうです。途中まで泣いていた女性イラストレーターは、しかしその後に続けて「いま、こういう状況だからこそ、クリエイターは決してあきらめてはいけない」と若手に対して強く訴えはじめます。

その姿を見て、大きく心を動かされました。人間として共感したというか、直感的に「仲間」だと感じられたのです。性別も、国籍も、仕事も、あらゆる点で自分とは違う人物なのに、です。

そしてこの力こそが、人間が発揮すべき力なのだと気が付きました。人だからこそ、人の心を動かすことができる。まさにそれだと思うのです。

たとえば、僕自身の仕事を振り返ってみます。顧客の要望に応じて、パーソナルブランディングや、SNSで発信を続けるためのコーチングも手がけています。

SNSでの発信というのは、続けるのは簡単ではありません。多くの人が、途中で挫折してしまいます。だから、技術的な部分などよりも「まずはきちんと長く続ける」ことこそが最も大切です。


僕がサポートしているクライアントからよくもらうのは、「松本さんに言われたらもうやるしかないですよね」というような言葉です。そしてこれこそが、実は最大の価値だと思うのです。

SNS発信については細かい技術論などもたくさんあり、それが大事なノウハウだと自負する一方で、結局は「がんばろう」と思えるように背中を押してもらうということ。それこそが、実は最も大切な部分なのだと考えています。

この「応援の力」に関しては、いかにこれからAIがものすごく発展しようとも、僕は将来に渡ってAIに負ける気がまったくしていません。そしてそういう気持ちこそ、人間たるものが持つべき矜持だと考えています。

これからの世界、AIを駆使することが普通になります。それは一方で、「誰がやってもサービスレベルが同じ」という世界観をもたらすかもしれません。

実はいま、すでにそういう現象が起き始めていると感じています。まだ気づいていない人も多いかもしれませんが、各種のSNS投稿には、ChatGPTで作られた(下書きされた)と思われる記事が大量に増えてきています。


もしも「誰が作っても同じレベルの文章」なのであれば、まさに「誰が」その発信者なのかという事実が大事です。その人が言うからこそ、自分は鼓舞される。その人の発信することだからこそ、信用できる。そういうことでしょう。

「誰」の言葉なのか、その背景にはどういうストーリーがあるのか、どういうビジョンや意志があるのか。

自動的に作られた文章やコンテンツそのものよりも、その後ろにいる「人」の存在が重要なのです。技術やスキルではなく、人そのものの価値が、次の時代において再認識されていくのだと考えています。



僕のコンサルティングやコーチングも、「あなただからこそ価値がある」、そう思ってもらえるように精進していきたいと思います。

そのためには、自分の生き方に真摯に向き合うこと。そういうことこそが大切なのではと、あらためて決意する次第です。

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Voicyで、この内容についてさらに掘り下げました。よろしければぜひお聞きください


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